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キーワード: SAS, シリアル接続SCSI, PHY, PHYカウントエキスパンダ, NexSAS, エンクロージャ管理, バックプレーンコントローラ, インテリジェントマルチプレクサ/デマルチプレクサ, 高レート, 信号処理, エキスパンダ接続マネージャ, エキスパンダ接続ルータ, 放送プリミティブプロセッサ
関連製品
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次世代SASシステムを実現する先進のエンタープライズ機能
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筆者: |
Sam Barnett, Business Manager |
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要約:マキシムのNexSAS™製品ファミリは、次世代シリアル接続SCSI (SAS)システム向けに設計されており、エクスパンダ技術、SAS/SATAサポートデバイス、サーバ/エンクロージャ/ベースボード管理、および信号調節の4つの機能分野に分類されます。このアプリケーションノートでは、第1.5世代NexSASエクスパンダに採用された新技術を取りあげます。
このアーティクルはマキシムの「エンジニアリングジャーナルvol. 63」(PDF、906KB)にも掲載されています。
はじめに
シリアル接続SCSI (SAS)技術を採用した第1世代のシステムが市場に登場し、サーバやストレージのOEM大手各社が次々と新しいグループのプラットフォームを提供するようになりました。マキシムでは、第1世代システムをリリースするとともに、人気の高いNexSAS™製品ファミリの改良を行いました。
1.5世代のNexSASファミリ製品は高性能ストレージソリューションを中小企業用システムおよびエンタープライズ用システムに提供するもので、今まで超高性能な高可用性ファイバチャネルシステムにしか採用されていなかった機能を採用しました。NexSASラインには3種類の新しい高PHYカウントのエキスパンダがあり、拡張されたインテリジェントなマルチプレクサ/デマルチプレクサ、新しいエンクロージャ管理/SASバックプレーンコントローラ、および業界最速を誇るシグナルコンディショナといった製品があります。
マキシムのNexSAS製品ファミリは、エキスパンダ技術、SAS/SATAサポートデバイス、サーバ/エンクロージャ/ベースボード管理、および信号調節という4つの機能分野に分類されます。このアプリケーションノートでは、1.5世代のNexSASエキスパンダに採用された新技術を取りあげます。特に、NexSASのマルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジとSAS 2.0ゾーニングのサポートを中心に解説します。
NexSASエキスパンダ技術
NexSASエキスパンダファミリは高性能インターコネクト用に設計された単一機能型の製品です。このようなアプローチを採用することにより、少ポートカウントの製品から、ブレードサーバやストレージエンクロージャ、スイッチング/アイランドSANアプリケーションなどで必要となる多ポートカウントの製品までをカバーするスケーラビリティを実現しました。
マキシムのエキスパンダ製品はすべて、コアシステム機能をエキスパンダ機能と管理機能の2つに分解して実現しています。エキスパンダ機能ブロックに含まれるのは、エキスパンダコネクションマネージャ(ECM)、エキスパンダコネクションルータ(ECR)、ブロードキャストプリミティブプロセッサ(BPP)、デバイスへの物理インタフェース(PHY) (アプリケーションによって6本から36本)です。
このコア機能を補完するのが管理機能ブロックです。管理機能ブロックには、エキスパンダ管理機能と各種ベンダに対応するエンクロージャ管理機能があります。また、システム全体とのやりとりに用いるさまざまな周辺機器インタフェースとして、2線式シリアル、JTAG、UART、汎用I/O (GPIO)、シリアル周辺機器インタフェースなども用意されています。使用できるインタフェースの数と種類は、使用するエキスパンダとその動作モードによって変化します。

図1. マキシム 1.5世代NexSASエキスパンダファミリのファンクションダイアグラム
図1は、マキシムのNexSASファミリの全エキスパンダに採用されている基本的な機能ブロックダイアグラムです。1.5世代のエキスパンダでは、さまざまなシステムの要求に応えられるように幅広い機能が用意されています。また、以下の機能は全製品に共通しています。
- 高性能スイッチングアーキテクチャ。待ち時間が少ないノンブロッキングスイッチングマトリクスにより、最大54Gbpsという高い総合スイッチング能力を提供します(多ポートカウントのエキスパンダの場合。少ポートカウントのエキスパンダはリニアなスケーリングとなります)。
- マキシムの汎用PHY。自己構成、速度自動調節型のPHYで、SASイニシエータとSAS/SATAターゲットについて、1.5Gbpsと3.0Gbpsという2種類のデータレートをサポートしています。また、マキシムでは20年以上に渡り技術開発を行ってきており、その経験を活用して、PHYごとのプリエンファシス/デエンファシス機能とPHYごとの出力レベル調整機能も内蔵しています。複数のポートをまとめると、n 個のPHYワイドのSAS「ワイドポート」とすることができます。
- 仮想イニシエータ/ターゲット機能。SMP (シリアル管理プロトコル)、SSP (シリアルSCSIプロトコル)、およびSTP (シリアルATAトンネリングプロトコル)のイニシエータとターゲット機能が用意されており、自己構成、自己発見、SESマスタリング、および不正ドライブ特定など堅牢な付加価値サービスを実現することができます。
- 統合エンクロージャ管理(EM)サブシステム。堅牢なエンクロージャ管理機能が用意されており、レガシーのファームウェア/ソフトウェア/カスタム機能に対してOEM各社が投じてきた過去の投資を最大限に活用するとともに、柔軟なインシステム設計を可能にします。
- 統合Ethernetインタフェース。2系統の10/100 EthernetMACがEMサブシステムに用意されており、エキスパンダにEthernetでアクセスする必要のあるブレードサーバなどのアプリケーションをサポートすることができます。
- マルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジ。オリジナルのSTP/SATAブリッジを拡張し、マキシムのエキスパンダ技術によって、イニシエータとターゲットの間でNCQアフィリエーション、2系統(アクティブ/アクティブ)を同時並行に実現します。SAS 1.1のシングルアフィリエーションではイニシエータの入力が不足するという問題がよく発生しますが、このアプローチはそのような問題を解消できる画期的なものです。
- エンドツーエンドSAS 2.0ゾーニング。セキュリティ、制御性、性能を高めるため、NexSASエキスパンダは、SAS 2.0によるPHY解決型ゾーニングとアドレス解決型ゾーニングの両方をサポートしています。
- 第1世代デバイスから拡張された他の強化機能。追加された機能としては、EPOW、内蔵A/Dコンバータ、トラステッドプラットフォームのモジュールインターコネクト用LPC、オンチップメモリのパリティ保護などがあります。
比較的新しいNexSASファミリ製品は、VSC7156 24-PHYエキスパンダ、VSC7157 36-PHYエキスパンダ、VSC7158 18-PHYエキスパンダです。これらはいずれも、先行モデル(第1世代エキスパンダであるVSC7153、VSC7154、VSC7155)と同じように、エンタープライズサーバ、ストレージエンクロージャ、ブレードアプリケーションをターゲットとしています。
上記の機能の追加によって、現行のSAS 1.1仕様と今後登場する予定のSAS 2.0仕様とのギャップが埋まります。ここからは、鍵となる2つの機能、マルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジとSAS 2.0ゾーニングについて詳しく考察します。
NexSASマルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジを理解する
従来の設計が持つ公平性とパフォーマンスに関する制限
SAS 1.1仕様では、STP対応イニシエータとSATAターゲット(HDD)を結ぶエキスパンダコンポーネントという形でSTP/SATAブリッジを定義しています。STP/SATAブリッジがなければ、SASでシリアルATA (SATA)ドライブをサポートすることができません。
SAS 1.1仕様では、STP/SATAブリッジの機能を基本的に以下のように定義しています。
- STP/SATAブリッジとは、SASエキスパンダにおいてSATAドライブをSAS領域に接続できるようにするものです。
- ホスト(イニシエータ)とSTP/SATAブリッジとの間の接続は、SASプロトコルによって確立/切断を行います。
- 接続中、STP/SATAブリッジは、ネイティブSATAプロトコルのみをSATAドライブへ渡します。
- エキスパンダは、通常PHYごとに1つのSTP/SATAブリッジを持っていますが、SATAデバイスが接続されたブリッジのみが有効になります。

図2. STP/SATAブリッジは、STP対応のイニシエータとSATAドライブをつなぐことができます。
図2はSTP/SATAブリッジのコンセプトを示したものです。SASドライブとは異なり、SATAドライブは複数のホストを認識することもできなければ、複数イニシエータによる並行アクセスもできません。セッション中は、1つのSTPイニシエータがSATAターゲットとのアフィリエーションを維持します。このアフィリエーションが維持されている間に別のSTPイニシエータが同じSATAデバイスにアクセスしようとすると、OPEN_REJECT (STP RESOURCES BUSY)を受信し、接続をリトライすることになります。これはシンプルで排他的な方法であり、当該ドライブに対してアクティブとなるコマンドが特定の1つのホストのみに制限されるため、混乱する心配がありません。
あるイニシエータからのコマンドがすべて処理されたら、イニシエータは特殊なCLOSE (CLEAR AFFILIATION)プリミティブをSTP/SATAブリッジへ送るはずであるため、アフィリエーションを解放して当該ドライブ/リソースに他のホストがアクセスできるようにします。
おわかりのとおり、第1世代のエキスパンダは、このSAS1.1仕様に準拠しており、シングルアフィリエーションしかサポートしていません。
新技術というものは、実際に使用してみるといろいろと不都合な点が発見されるものです。オリジナルのSTP/SATAブリッジメカニズムもそうでした。このブリッジの場合、公平性とパフォーマンスに制限が生じることがわかりました。具体的には以下のとおりです。
公平性
- アフィリエーションを維持する時間に制限が設けられていないため、アフィリエーションをいつまでも維持することができます。
- SATAデバイスに対して公平にアクセスできるようにイニシエータ側で処理する必要がありますが、ホスト間通信がない状態でこれを確実に実現することはできません。
- ソフトウェアアルゴリズムによって公平性を実現するという方法が考えられますが、これはOEM各社にとって大きな負担となることがわかりました。
- 実際のSTPイニシエータは「公平」とは限らず、アフィリエーションをリリースしない場合があります。
- エキスパンダのSTP/SATAブリッジとイニシエータとの間にアフィリエーションが確立されていると、診断を含め、他のホストがドライブへの照会を行うことはできません。
パフォーマンス
- ホストがシングルスレッドでSATAディスクにアクセスするという方法は、負荷バランスを行うと遅くなります。
SASにおけるSATAアフィリエーションの概念を図3に示します。

図3. SAS 1.1仕様ではシングルアフィリエーションしかサポートされておらず、公平性とパフォーマンスの面で不測の制限が発生しました。
パフォーマンスの制限を突破する新しいアプローチ
1.5世代のNexSASエキスパンダ製品は、SAS 1.1準拠のSTP/SATAブリッジが持つ公平性およびパフォーマンスに関する制限の両方とも解決することができます。1台のSATAドライブに対し、2つのホストが同時にアクティブコマンドを発行できるようにブリッジ機能が改善されています。このマルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジの動作を図4に示します。

図4. 1.5世代NexSASエキスパンダはマルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジ動作をサポートしており、1台のSATAドライブに対し、2つのホストが同時にアクティブコマンドを発行することができます。
新型ブリッジは、以下のように動作します。
インテリジェント接続管理
- 柔軟で非排他的な切断ポリシーには以下のもの(オーバーラップ可)があります。
- 時間による切断(複数のモードとレンジ)
- どのようなものであれ、FIS転送後に切断
- データFIS転送後に切断
- インターロック動作後に切断
- キュータグ/コンテキストにより、適切なイニシエータ(ホスト)へ自動コールバック
NCQとPIOのコマンドをサポート
- SATAドライブに対し、32種類のNCQコマンドタグのすべてを使用可能(一部が使えない構成もある)
- 複数ホストからのNCQコマンドとPIOコマンドのインターリーブを管理
- 異なるイニシエータでタグ番号が重複しないようにタグを透過的に管理し、ドライブとの関係を再マッピング(特殊なソフトウェアやファームウェアをホスト側に持つ必要がありません。)
マルチアフィリエーションSTP/SATAブリッジは1.5世代NexSASエキスパンダ全製品に内蔵されており、公平性とパフォーマンスが改善されるとともに、システムの設計がやりやすくなっています。また、複数のホストが共有するSATAディスクを利用しているSAS領域にとってもメリットがあります。将来的にアクティブなアフィリエーションの数を増やさなければならなくなった場合も、現在のSAS1.1仕様と提案されているSAS 2.0仕様の両方に完全準拠したまま、スケーリングすることができるアーキテクチャとなっています。
SAS 2.0ゾーニングの基礎を理解する
ストレージ関連のOEM各社およびインテグレータ各社がSASベースのシステムを導入および展開し始めたとき、そのようなシステムがトラフィック管理(パフォーマンス)とセキュリティに関して提供するファイバチャネルなどのエンタープライズ機能が使える日が早く来て欲しいと願ったものです。
提案されているSAS 2.0仕様では、そのようなニーズに対応するため、エンドツーエンドゾーニングというコンセプトが採用されました(ゾーニング仕様の現状については、www.t10.orgをご覧ください)。
SASプロトコルは、その定義から、1つの領域で最大16,384個のデバイス(イニシエータ、ターゲット、エキスパンダ、仮想デバイス)をサポートすることができます。しかし、これほど巨大なトポロジを実際に設計するとなると、さまざまな問題が発生します。このように物理的に巨大なトポロジを(セグメントに分割した)小さな論理的グループとして管理するメカニズムが、エンドツーエンドのゾーニングであり、SASゾーニングでは、この機能とともに、グループ間のアクセスを制御するメカニズムも提供します。
提案されているSAS 2.0仕様では、PHY解決型とアドレス解決型と大きく2つのゾーニングに分かれています。いずれのアプローチもアクセス管理の方法は同じですが、ゾーングループの割当て方法が異なります。
PHY解決型ゾーニング
PHY解決型ゾーニングでは、ゾーニング対応エキスパンダの各PHYにひとつのゾーングループが割り当てられます。このPHY (PHYをワイドポートにグループ化している場合はポート)に取りつけられたデバイスは、そのゾーングループの一部であるとみなされます。エキスパンダにはアクセス管理に関する情報を持つ許可テーブルが用意され、異なるゾーングループのデバイス間で実行するセッションのプロトコルの概要が記述されます(デフォルトでは、同じゾーングループに属するデバイスは互いにやりとりが可能な設定となります)。
PHY解決型ゾーニングは、小規模トポロジ、ブレードサーバ、クラスタといったアプリケーションに最適です。
アドレス解決型ゾーニング
アドレス解決型ゾーニングでは、PHY解決型ゾーニングにはない抽象層が用意されています。アドレス解決型スキームでは、自己発見型エキスパンダが互いのデバイスアドレスを解釈し、テーブルに記述します。このテーブルには、ルーティング情報とゾーン許可情報も記述されます。テーブルに記述されたゾーングループ割当て情報と許可情報を組み合わせると、任意のデバイス間でどのようなレベルのインタラクションが可能であるのかを知ることができます。
通常、アドレス解決型ゾーニングは大規模トポロジやグラニュラ制御が必要な場合に使用します。
まとめ
SASであろうが何であろうが、1つですべてに対応することはできません。アプリケーションや接続性要件、スケーラビリティ、パフォーマンス、予算への影響などによって適切なアプリケーションは大きく変化しますし、それらの要因はいずれもイノベーションによって変化します。マキシムのストレージネットワーキング製品の充実した製品構成は、このことを念頭に置き、設計課題に対して最適の機能組み合わせを選択するにあたって他に例をみない柔軟性を設計者に提供します。
サーバシリーズのエキスパンダ、エンクロージャシリーズのエキスパンダ、SAS/SATAサポートデバイス、バックプレーン/エンクロージャ管理/ベースボード管理のコントローラなど、NexSASストレージ製品ファミリの全製品リストについては、ストレージ製品をご覧ください。
同様の記事が「Serial Storage Wire」の2008年1月号に掲載されています。
NexSASはMaxim Integrated Products, Inc.の商標です。

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