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アプリケーションノート1037

直列接続または並列接続の白色LEDに電力を供給するためのチャージポンプとステップアップDC-DCコンバータのソリューション

要約:白色LEDは、CCFLバックライトに比べて、より単純、より安価、さらにより小さいため、ポータブル機器のLCDバックライトとしてよく使われています。PDA、携帯電話、およびディジタルカメラなどのポータブル機器は、カラーLCDディスプレイに変わりつつあるため、バックライトが必要となります。このアプリケーションノートでは、直列または並列構成の白色LEDに電力を供給するためのチャージポンプとインダクタステップアップコンバータのソリューションを取り上げます。安定化電圧コントローラまたは安定化電流コントローラを使用しています。サイズ、効率、バッテリ寿命、およびLEDマッチングのトレードオフについて説明します。

携帯電話、PDA、およびディジタルカメラではカラーLCDディスプレイの使用が増大しつつありますが、これに伴いその照明源として白色LEDがよく使われるようになっています。白黒ディスプレイでは、EL (エレクトロルミネセンス)バックライトやカラーLEDなどのカラー光源を使用することができますが、カラーディスプレイでは、カラーを正しく表示するために白色光源が必要となります。

白色光源を得るには、2つの主要な方法があります。すなわち、白色LEDとCCFL (冷陰極蛍光ランプ)です。CCFLはノートパソコンで長年使用されてきましたが、サイズ、複雑さ、およびコストの点で有利な白色LEDが、小型ハンドヘルド機器の光源として、より多く使用されるようになっています。

白色LEDは低DC電圧(3V~4V)を必要としますが、これはインダクタやコンデンサを用いた単純な回路を電力供給に使用することができるということです。対照的にCCFLでは、電力供給用として高AC電圧(200VRMS~500VRMS)と、トランスを用いた高価でかさばる回路が必要となります(図1)。


図1. CCFL回路では蛍光管に高電圧を供給するためにトランスが必要となります。

赤色と緑色のLEDの順方向電圧降下は一般的に1.8V~2.4Vです。これは、標準のバッテリ電源でじかに駆動するのに十分に低い値です。しかし、白色LEDの順方向電圧降下は通常3V~4Vであるため、別個の電源が必要と思われます。

LEDの駆動

光度は、LEDを流れる電流とともに増加します。約20mAで最大光出力に達します。ディジタルカメラと携帯電話は通常、2~3つのLEDを使用していますが、PDAは3~6つのLEDを使用しています。

LEDは並列または直列にて駆動されます。これを図2に示します。並列駆動の欠点は、LED電流と輝度が機械的に対応(マッチング)しないことです。また、直列駆動は本質的にマッチングしますが、より高い電源電圧を必要とします。


図2. 方法A (並列LED)では電源電圧が最小となり、方法B (直列LED)では最大限のマッチングが得られます。

ほとんどのハンドヘルド機器のバッテリ電圧は非常に低いため、どちらの方法でもブーストコンバータが必要となります。チャージポンプコンバータが最も小型で低コストのソリューションとなります。これは、小さなコンデンサだけを利用して電圧変換を行っているためです。ただし、チャージポンプコンバータは、入力電圧の離散的な倍数(たとえば1.5倍や2倍)を生成するときにのみ有効になります。したがって、LEDの直列駆動では一般にインダクタを用いたコンバータが使用されます。インダクタを用いたコンバータを使用すると、より高いステップアップ比が容易に得られ、広範囲の入力/出力電圧にわたって高効率が維持されます。

並列LEDの駆動

図3は、並列接続のLEDを駆動する3つの主要な方法を示しています。

  1. 既存の電源を使用して、各LEDを流れる電流を個別に調整します。
  2. 電源電圧だけを調整し、電流マッチングについては、LEDのマッチングと直列抵抗器に依存します。
  3. 1つのLEDを流れる電流を調整し、残りのLEDのマッチングについては、LEDのマッチングと直列抵抗器に依存します。

図3. 並列LEDを駆動する3つの方法を示します。A) 各LEDを流れる電流を個別に調整する、B) 出力電圧を調整し、電流のマッチングについては直列抵抗器に依存する、C) 1つのLEDの電流を調整し、残りの電流のマッチングについては直列抵抗器に依存する

方法A:各LEDを流れる電流を個別に調整する

内蔵のLED電流レギュレータ
順方向降下のLEDを駆動するだけの高電源電圧があれば、唯一の設計上の課題は、電流を制御し、すべてのLEDを十分な輝度で駆動するだけの追加電流を供給することになります。

図4は、MAX1916を使用して定電流で3つの白色LEDを駆動する様子を示しています。これによって、MAX1916は、LED輝度のマッチングのための低コストなソリューションとなります。絶対電流は、所望の最大輝度とLEDの最大定格の間に設定する必要があります。一様なディスプレイ照明を維持するだけの良好な電流マッチングが必要となります。標準的な電流マッチングは0.3%で、絶対電流精度は±10%です。20mAの電流を維持するため、各出力でのドロップアウト電圧は410mV未満になります。このため、3.8VのLEDを搭載したこの回路を駆動するには4.2Vのみが必要となります。LEDピンの電流は、SETピンに流れる電流の230倍に設定されます。バイアス電流をSETピンに供給するため、RSETは、1.215VのSETピンのバイアス電圧よりも大きな電圧に接続されます。


図4. MAX1916はSOT23パッケージで提供され、0.3%の電流マッチングが得られます。


図5. MAX1916を用いて白色LEDの電流を調整する3つの方法

図5に示すように、LEDの輝度を動的に調整する方法がいくつかあります。

1つの方法は、DACでRSETを駆動する方法です(図5A)。LED電流は、「DAC出力マイナスSETピンのバイアス電圧」の関数となります。この手法で使えるDACとして、SOT23パッケージによる低コストのMAX5360~MAX5365シリーズがあります。

コントローラのI/Oピンによって駆動されるいくつかの抵抗器を使用した単純な調光器を図5Bに示します。所望のSETピン電流を得るため、ハイ(オン)とトライステート(オフ)の間でピンを切り替えます。

最後の方法は、ロジックレベルのPWM信号でENABLEピンを駆動するものです(図5C)。多くのプロセッサには、0~100%のデューティサイクルで低周波のPWM信号を供給することのできるポートが備わっています。MAX1916のENABLEピンの応答時間によって、PWMは、約2kHzまでの動作が可能となります。

内蔵のチャージポンプブースト電源と電流レギュレータ
既存の電圧源が利用できない場合、専用のLED電源を使用する必要があります。低コストのMAX1574/MAX1575/MAX1576チャージポンプコントローラは、ブースト電源と電流レギュレータの機能を兼ね備えています。これらの製品には、高出力電流、良好な電流マッチング、高効率のための適応モード切替え、過電圧保護、および最大8つのLED駆動ピンが用意されています。

適応モード切替えは、入力電圧を検知し、使用すべき最も効率的なステップアップ比を決定します(たとえば1x、1.5x、2x)。シリアルパルスコード方式を使用することで、プログラム可能な調光機能(設定電流のパーセント値で表す)がDualMode™イネーブルピンを通して利用可能です。

図6は、最大180mAの合計電流で、3つのLEDを駆動するMAX1574チャージポンプを示しています。スイッチングレートが1MHzであるため、小さなセラミックコンデンサをチャージポンプで使用することができるようになっています。

図7は、最大480mAの合計電流にて、4つのLEDからなる2つのグループを駆動するMAX1576チャージポンプを示しています。このフラッシュ用LEDグループは、LED当り最大100mAが可能です。各グループには、独立した設定電流、シリアルパルスの調光、2線式のログ調光制御が備わっています。適応モード切替えの場合、1つのリチウム電池の放電曲線全体にわたる平均効率は83%です(図8)。MAX1576は、LEDフラッシュを使用するディジタルスチルカメラのアプリケーションに理想的です。

MAX1575は、最大120mAの合計出力にて、2つのLEDグループ(4つのメインLEDと2つのサブLED)を駆動する製品です。


図6. 1つのLED電流源グループを備えたMAX1574のチャージポンプ


図7. 2つのLED電流源グループを備えたMAX1576のチャージポンプ

Figure 8. MAX1576 efficiency at typical lithium battery voltages.
図8. 公称リチウムバッテリ電圧におけるMAX1576の効率

方法B:安定化出力電圧を備えた電源を使用する

方法Aと同様、既存の電圧源が利用できる場合に方法Bを使用します。方法Bは、非常に経済的ですが、方法Aより精度は悪くなります。方法Bでは電流が調整されていないため、各LEDを流れる絶対電流を、所望の最大輝度とLEDの最大定格の間で維持する必要があります。均一な照明を維持するだけの良好な電流マッチングが必要となります。

上の図3の方法Bに注目すると、いずれのLEDを通過する電流も、電源の出力電圧(VOUT)からLEDの順方向電圧(VD)を減算し、これをRで除算することによって求めることができます。

I = (VOUT - VD)/R (式1)

図9Aは、標準的なハンドヘルド機器で使われる2つの白色LEDのI-V曲線を示しています。同じ電流について、ダイオード両端の電圧は等しくありません。図9Bは、LED間の電圧差を電流の関数として示しています。


図9A. 標準的なハンドヘルド機器で使われる2つの白色LEDのI-V曲線


図9B. 2つの白色LED間の電圧差対電流

LED電流のミスマッチ
順方向電圧でのミスマッチが、電流マッチングに影響する程度を把握するため、式1を使用してLED電流の比率を算出することができます。たとえば、I1対I2の比率は、以下の式で与えられます。

I1/I2 = R2/R1 ((VOUT - VD1)/(VOUT - VD2)) (式2)

簡単にするため式2でR1 = R2と仮定すると、式2は次のように単純化されます。

I1/I2 = (VOUT - VD1)/(VOUT - VD2) (式3)

VOUTが非常に大きな値に近づくため、式3はユニティに近くなります。このように、より良好な電流マッチングを得るためには、より大きなVOUT値が有利となります。定電流を保つためには、「VOUT - VD」に比例してRを増やす必要があります。VOUTが大きくなると、その犠牲としてRでの消費電力が大きくなります。効率対電流マッチングがトレードオフとなります。

例として、3.60VのLEDを備えた5V電源の場合、1.40VがR用になります。このLEDを3.42VのLEDに交換した場合、R両端の電圧はほぼ1.58Vに増加し、LED電流は13%増大します。LED電圧は5%しか変化していないことに留意してください。この例は、効率とマッチングの間の妥当なトレードオフを示しています。

絶対精度
上の図3での方法BにおけるLEDの絶対電流の誤差は、式1を使用して計算することができます。選択したLEDのVD対IDのグラフ(図9A)を使用してください。

式1に、所望の動作電流I、電流Iにおける公称電圧VD (グラフから)、および選択したVOUTを代入します。Rが求まります。このRを利用し、LEDデータシートのワーストケースのVDを使用して式1を解きます。必ずVDの温度変動を考慮に入れるようにしてください。これで、LED電流の想定範囲が得られます。LEDの最大定格よりも少なくなるようにしてください。

調光方法
図3の方法BのLED電流は、VOUTを変更することによって調整することが可能です。ただし、この方法は、電源を共有している場合にはお勧めすることができません。代わりの方法として、簡単な調光器として、MOSFETを使用して並列の抵抗器を切り替えることができます(図10)。ただし、この方法は、多数の調光レベルが必要になると、たちまち高価な方法になってしまいます。したがって、図6の内蔵手法、または直列配置手法(以下で説明)を検討する必要があります。


図10. MOSFETを用いた調光(R1a~R3aに並列な抵抗器R1b~R3bを切り替える)

方法C:安定化出力電流を備えたコンバータを使用する

図3の方法Cは、電圧の代わりに電流を調整するコンバータを示しています。この設計では、LEDの1つを流れる電流が抵抗器R1の両端で検知され、コンバータによって調整されます。コンバータは、インダクタを用いたコンバータ、チャージポンプコンバータ、またはリニアレギュレータのいずれでも使用可能です。

LED電流の式は、式1の場合と同じですが、便宜を図って、ここでもう一度記載します。

I = (VOUT - VD)/R (式4)

ただし、上のケースとは異なり、VOUTでなくてI1が調整され、以下の式で与えられます。

I1 = VFEEDBACK/R1 (式5)

1つの電流しか調整されないため、前述のように、残りのLEDの順方向電圧の違いによって電流に誤差が生じます。ここでも、ソリューションはR1を増やすことですが、図11に示す修正した方法で行います。


図11. 図3の方法Cの回路での電流マッチングは、R1Aを増やすことによって改善されます。R1Bは、選択した電流について一定でなければなりません。R2とR3は、R1A + R1Bに設定します。

電流を一定にする必要があるため、R1をR1AとR1Bに分割しています。R1Bは電流を制御し、R1Aは所望の電流マッチングを得るため追加の出力電圧を制御します。式4にR1 = R1A + R1Bを代入します。式5にR1 = R1Bを代入します。R2とR3は、電流をマッチングさせるためR1A + R1Bに設定します。

この最後の方法に類似した方法として、MAX1910/MAX1912チャージポンプを用いた方法を図12に示します。調光入力が追加され、また検知抵抗器がすべてのLEDと共有されて、合計電流を調整しています。これらのコントローラには、効率改善のため、1.5xと2xのステップアップオプションが用意されています。入力電圧に応じて、最大120mAの出力電流が利用可能です。詳細については、データシートを参照してください。


図12. 調光制御を用いたMAX1910/MAX1912のアプリケーション

直列LEDの駆動

直列で白色LEDを駆動すると、各LEDを同じ電流が流れるため、輝度が一様になるという本質的に大きな利点が得られます。この設計には欠点もあります。順方向降下が加算されるため、より高い電圧が必要になります。この構成では、インダクタを用いたコンバータがよく使用されます。高電圧を生成するときの効率が優れているからです。このタイプのコンバータを選択するときには、Lxピンの出力電圧定格を考慮する必要があります。

表1に示すように、Lxピンの電圧に基づいて、いくつかの製品がさまざまな数の直列LEDをサポートしています。Lxピンの最大定格と直列配置のLEDの最大電圧との間のガードバンドには過電圧シャットダウンを考慮に入れる必要があります。

表1. 所望する直列LEDの数の製品選択
PART Lx PIN RATING (V) # SERIES LEDs PACKAGE
MAX1848 14 3 8-SOT23
MAX1561/MAX1599 30 6 8-TDFN
MAX8595Z/MAX8596Z 37 8 8-TDFN
MAX8595X/MAX8596X 40 9 8-TDFN

たとえば、MAX8596Zは、最大8つの直列の白色LEDを駆動するように特別に設計されたスイッチングレギュレータです(図13)。このデバイスの入力電圧範囲は2.6V~5.5Vであり、1つのリチウム電池または3つのNiCd/NiMHバッテリでICに電力を供給することができます。MAX8596Zは、省スペースの8ピンTDFNパッケージで提供されます。高速の1MHz PWM動作を特徴とし、小さな外付け部品を使用することができます。万一LEDがオープンになった場合には、スレッショルド32V~36Vの過電圧ロックアウトによってICを保護します。デバイスのその他の機能として高温ディレーティングがあります。室温が42℃を超えると出力電流が減少し、LEDの電力損失が低減されます。


図13. MAX8596Zスイッチングレギュレータは最大8つの直列の白色LEDを駆動します。

LED電流は、任意のDC電圧またはフィルタリングされていないPWM信号を用いてCTRLピンを駆動することによって調整することが可能です。0.24V~1.72VのCTRLピン電圧によって、最小輝度~最大輝度のLEDを駆動します。1.72Vを超えると出力電流は最大値でクランプされます。200Hz~200kHzのPWM信号を使用することができます。誤差アンプと補償コンデンサは、PWM信号のフィルタとしての役割を果たすため、入力フィルタリングは不要となります。

さまざまな数のLEDを駆動するMAX8596Zの効率を図14に示します。最大効率は85%を超えています。


図14. 図13の回路でのMAX8596Zの効率

Dual ModeはMaxim Integrated Products, Inc.の商標です。


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