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アプリケーションノート 2877

アプリケーションノート2877:テストレジスタを使用してDS315xのパルス形状を変更する方法

要約:このアプリケーションノートでは、DS3151、DS3152、DS3153、およびDS3154のパルス形状を変更する方法について説明します。DS315xのパルスは必ず仕様内に収まりますが、パルス形状が、お客様の希望に完全に一致しない場合があります。このアプリケーションノートでは、T3、E3、およびSTS-1モードでのパルス幅と振幅、またT3とSTS-1モードでのパルス波形を変更する方法について説明します。これらはすべて、内部のテストレジスタの値を変更することによって達成することができます。このアプリケーションノートで使用されたオシロスコーププロット図は、DS3154DK設計キットを使用して得られたものです。

はじめに

このアプリケーションノートでは、DS3151、DS3152、DS3153、及びDS3154 (DS315x)のパルス形状を変更する方法について説明します。DS315xのパルスは必ず仕様内に収まりますが、パルス形状が、お客様の希望に完全に一致しない場合があります。このアプリケーションノートでは、T3、E3、及びSTS-1モードでのパルス幅と振幅、またT3とSTS-1モードでのパルス波形を変更する方法について説明します。これらはすべて、内部のテストレジスタの値を変更することによって達成することができます。このアプリケーションノートで使用されるオシロスコーププロット図は、DS3154DK設計キットを使用して得られたものです。

図1a. E3とT3の標準的な伝送パルス

図1b. E3とT3の標準的な伝送パルス
図1. E3とT3の標準的な伝送パルス

図1は、テストレジスタを使用せずにE3とT3のモードで伝送されるパルス形状を示しています。パルス幅とパルス振幅は、E3、T3、またはSTS-1モードで、テストレジスタのレジスタ値を変えることで変更することができます。このテストレジスタのアドレスは、ラインインタフェースユニット(LIU)のポート1では0Ah、LIUポート2では1Ah、LIUポート3では2Ah、LIUポート4では3Ahです。

E3、T3、またはSTS-1モードで伝送パルスのパルス幅を変更する方法

LIUは、11段の遅延ロックループ(DLL)回路または12段のDLL回路を使用することができます。DLL内の段数が多くなるほどパルス幅は狭まり、またその逆も成立します。レジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ah (それぞれLIUポートの1、2、3、及び4)を01hの値に設定すると、LIUは11段のDLL回路を使用します。テストレジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを02hの値に設定すると、LIUは12段のDLL回路を使用します。

デフォルトでは、E3モードのLIUは11段のDLLを使用し、TLBOは無視されます。T3とSTS-1モードのLIUは、TLBO = 1のときに11段のDLLを使用し、TLBO = 0のときに12段のDLLを使用します。

E3モードでパルス幅を減らしたい場合は、LIUポート1、2、3、及び4に対して、それぞれレジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを02hに設定することで、LIUに12段のDLLを強制的に使用させることができます。図2は、標準のパルス形状から幅の狭いパルス形状へのE3パルス幅の変化を示しています。

T3とSTS-1モードでは、TLBO = 0のときにLIUは12段のDLLを使用します。パルス幅を増やすため、LIUポート1、2、3、及び4に対して、それぞれレジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを01hに設定することで、LIUに11段のDLLを強制的に使用させることができます。図3は、標準のパルス形状から幅の広いパルス形状へのT3パルス幅の変化を示しています。

図2a. 標準のE3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いE3パルス

図2b. 標準のE3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いE3パルス
図2. 標準のE3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いE3パルス

図3a. 12段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び11段のDLLを使用した幅の広いT3パルス(TLBO = 0のとき)

図3b. 12段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び11段のDLLを使用した幅の広いT3パルス(TLBO = 0のとき)
図3. 12段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び11段のDLLを使用した幅の広いT3パルス(TLBO = 0のとき)

同様に、T3とSTS-1モードでは、TLBO = 1のときにLIUは11段のDLLを使用します。パルス幅を減らすため、LIUポート1、2、3、及び4に対して、それぞれレジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを02hに設定することで、LIUに12段のDLLを強制的に使用させることができます。図4は、標準のパルス形状から幅の狭いパルス形状へのT3パルス幅の変化を示しています。

図4a. 11段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いT3パルス(TLBO = 1のとき)

図4b. 11段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いT3パルス(TLBO = 1のとき)
図4. 11段のDLLを用いた標準のT3パルス、及び12段のDLLを使用した幅の狭いT3パルス(TLBO = 1のとき)

E3、T3、またはSTS-1モードで伝送パルスの振幅を変更する方法

DS315xのテストレジスタのアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahをいろいろな値に設定することにより、E3、T3、及びSTS-1モードでの伝送パルスの振幅を増減することができます。レジスタアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを08hの値に設定すると、それぞれLIUポート1、2、3、及び4の振幅が2%増大します。図5は、E3パルスの振幅が2%増大した様子を示しています。

図5a. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を08hに設定して振幅が2%増大したE3パルス

図5b. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を08hに設定して振幅が2%増大したE3パルス
図5. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を08hに設定して振幅が2%増大したE3パルス

テストレジスタのアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを10hの値に設定すると、それぞれLIUポート1、2、3、及び4の振幅が4%増大します。図6は、E3パルスの振幅が4%増大した様子を示しています。

図6a. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を10hに設定して振幅が4%増大したE3パルス

図6b. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を10hに設定して振幅が4%増大したE3パルス
図6. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を10hに設定して振幅が4%増大したE3パルス

レジスタのアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを20hの値に設定すると、それぞれLIUポート1、2、3、及び4の振幅が8%増大します。図7は、E3パルスの振幅が8%増大した様子を示しています。

図7a. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を20hに設定して振幅が8%増大したE3パルス

図7b. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を20hに設定して振幅が8%増大したE3パルス
図7. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を20hに設定して振幅が8%増大したE3パルス

レジスタのアドレス0Ah、1Ah、2Ah、及び3Ahを40hの値に設定すると、それぞれLIUポート1、2、3、及び4の振幅が8%減少します。図8は、E3パルスの振幅が8%減少した様子を示しています。

図8a. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を40hに設定して振幅が8%減少したE3パルス

図8b. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を40hに設定して振幅が8%減少したE3パルス
図8. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を40hに設定して振幅が8%減少したE3パルス

10hの値を用いるとLIUの振幅は4%増大し、20hの値を用いると8%増大します。この2つの値を加算して30h (10h + 20h)にすると、LIUのパルス振幅は12%増大します。50h (10h + 40h)の値を選択すると、振幅は4%減少します。図9は、E3パルスにおいて振幅が4%減少した様子を示しています。60hの値は、電流リミッタが作動するまで振幅が増大することになるため、お勧めできません。

図9a. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を50hに設定して振幅が4%減少したE3パルス

図9b. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を50hに設定して振幅が4%減少したE3パルス
図9. 標準のE3パルス、及びテストレジスタの値を50hに設定して振幅が4%減少したE3パルス

T3またはSTS-1モードで伝送波形のタイミングを調整する方法

T3またはSTS-1モードでの伝送波形のタイミングは、テストレジスタのレジスタ値を変更することで調整することができます。このレジスタアドレスは、LIUポート1では0Bh、LIUポート2では1Bh、LIUポート3では2Bh、LIUポート4では3Bhになります。図10は標準のT3パルスを示しています。LIUポート1では0Bh、LIUポート2では1Bh、LIUポート3では2Bh、LIUポート4では3Bhのアドレスにおけるテストレジスタの値をT3またはSTS-1パルス上で変更することによる影響を説明するため、T3パルスを12の区間に分割しています。

図10. 12の区間に分割した標準のT3パルス
図10. 12の区間に分割した標準のT3パルス

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを01hの値に設定すると、区間3の幅が350psだけ増大します。したがって、区間1~4の全体幅も350ps増大します。また、パルス振幅も増大します。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは減少します。図11は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhに01hの値を書込んだ場合のパルスの変化を示しています。

図11a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを01hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図11b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを01hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図11. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを01hの値に設定した場合のT3パルスの変化

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを81hの値に設定すると、区間2と3の幅がそれぞれ350psだけ増大します。したがって、区間1~4の全体幅が700ps増大します。また、パルス振幅も増大します。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは、レジスタを値01hに設定したときよりも減少します。図12は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhに81hの値を書込んだ場合のパルスの変化を示しています。

図12a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを81hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図12b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを81hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図12. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを81hの値に設定した場合のT3パルスの変化

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを02hの値に設定すると、区間4の幅が350psだけ増大します。したがって、区間1~4の全体幅も350ps増大します。パルスの振幅は増大しません。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは減少しますが、その減少量は、レジスタ値が01hのときよりも少なくなります。図13は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhに02hの値を書込んだ場合のパルスの変化を示しています。

図13a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを02hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図13b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを02hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図13. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを02hの値に設定した場合のT3パルスの変化

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを04hの値に設定すると、区間5の幅が350psだけ増大します。したがって、区間5~8の全体幅も350ps増大します。パルスの振幅は減少しません。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは増大します。図14は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを04hの値に設定した場合のパルスの変化を示しています。

図14a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを04hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図14b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを04hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図14. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを04hの値に設定した場合のT3パルスの変化

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを08hの値に設定すると、区間7の幅が350psだけ増大します。したがって、区間5~8の全体幅も350ps増大します。パルスの振幅は少しだけ減少します。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは、レジスタ値が04hのときよりも増大します。図15は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを08hの値に設定したときのパルスの変化を示しています。

図15a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを08hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図15b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを08hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図15. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを08hの値に設定した場合のT3パルスの変化

レジスタアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを88hの値に設定すると、区間6と7の幅がそれぞれ350psだけ増大します。したがって、区間5~8の全体幅が700ps増大します。また、パルス振幅が減少します。区間9と10におけるパルスのアンダーシュートは、レジスタを値08hに設定したときよりも増大します。図16は、標準のT3パルスと、テストレジスタのアドレス0Bh、1Bh、2Bh、及び3Bhを88hの値に設定したときのパルスの変化を示しています。

図16a. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを88hの値に設定した場合のT3パルスの変化

図16b. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを88hの値に設定した場合のT3パルスの変化
図16. 標準のT3パルス、及びテストレジスタを88hの値に設定した場合のT3パルスの変化

結論

波形、パルス幅、またはパルス振幅の変更の決定はお客様のご使用のボードで得られるパルス形状に基づいて行ってください。

DS315xのパルス形状やDS315xの動作の詳細については、Dallas Semiconductor Telecommunicationsアプリケーションサポートチームまで、電子メール()またはお電話(972-371-6555)にてお問い合わせください。 (英語によるサービスとなります。)


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