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アプリケーションノート3044

おもりを用いた重量センサのキャリブレーション

要約:おもりを使用してセンサを較正する場合の正しい手順を示すとともに、誤差の増大を招く一般的な誤りについて説明します。ゲージの検討によって性能上の優位性が得られています。

歪みゲージを用いた重量センサのキャリブレーションおよび温度補償に、MAX1452およびMAX1455高精度センサ信号コンディショナの集積回路が使用されることが多くなってきています。セーフティ製品を提供する大手自動車メーカは、乗員の体格や展開状況の厳しさに合わせてエアバッグの展開力を最適化することを追求していく中で、ますます力センサを使用する傾向が強くなっています。

MAX1452とMAX1455は、16ビットのデルタ-シグマのディジタル-アナログコンバータ(DAC)によって非常に高精度なトリミングとキャリブレーションを実現しますが、キャリブレーションの手順やテストのセットアップの不十分さを補うことはできません。このアプリケーションノートでは、重量センサを較正するときに配慮すべき重要点を、主要なテストオペレータの役割と併せて取り上げています。また、特性測定と初回プロトタイプ製作のための標準的な荷重テスト方式についても紹介します。この方式が特性測定と初回プロトタイプの製作に広く用いられているからです。

標準的な重量センサの特性測定には、センサに対して正確かつ再現性のある荷重を与えることができるよう、荷重テストスタンド(変形試験機とも呼ばれる)が必要となります。所望の結果を得るためには、順守しなければならないことがいくつかあります。
  • テストスタンドに正および負の荷重をかけたときのテストフィクスチャの方向
  • センサとケーブルの方向
  • センサ取り付けボルトのトルク
  • おもりの番号付け
  • 軸-おもり間の隙間(おもりを取り外すのに自動おもりリフトを使用する場合)
  • センサを取り付けた後のセンサとフィクスチャの事前調整
  • 単調なおもりの取り付けと取り外し
  • 高品質なサンプルとデータのトラッキング(SPC)

安全性

最初に注意すべき点は安全性です。重量センサのキャリブレーションに使用されるおもりは、正しく取り扱わなければ、危険を伴う可能性があります。以下の事項を順守して取り扱うことをお勧めします。
  • つま先が鋼製の安全靴、または鋼製の靴カバーを常に着用してください。
    • これらは作業服または作業靴の販売店で入手することができます。作業に用いられるおもりやフィクスチャは非常に重く、誤って足の上に落とすと足の骨を骨折するおそれがあります。
  • おもりを3~4個積み重ねるごとに、おもりの取り付けスロットの方向を常に交互に入れ替えるようにしてください。
    • 同じ方向に積み上げられたおもりは、おもりの取り外しの際に傾いて、吊手から外れてオペレータの足の上に落下する可能性があります。おもりは安全上の理由から、このように交互に積み重ねられるよう設計されています。
  • おもりを持ち上げる、または降ろす場合は、常に足を曲げて作業を行うようにしてください。
    • 腰を曲げて20LB (約9kg)のおもりを持ち上げるということは、腰部分の関節におもりそのものの圧縮荷重がかかるのに加え、およそ720IN-LB (約8.3?-m)の持ち上げトルクがその骨と筋肉にかかることになります。
  • フィクスチャおよび棒は、必ずねじの許容最大噛み合わせで固定するようにしてください。
    • 1~2山のねじの噛み合わせ(すなわち1~2回のねじ込み)だけでねじを結合した場合、ねじの噛み合わせが不十分であり、負荷がかかったときにおもりやフィクスチャが外れて落下するおそれがあります。
残念なことに、上記に示した安全上の注意事項は、オペレータやその近くにいる人が足に大怪我を負って緊急処置室で治療を受けることが必要となるまで注目されることがないのが通例です。その負傷する最初の人物にならないように注意してください。

フィクスチャの方向

正の重量をかけたときの、標準的な二重固定式S字曲げ型重量センサの正しいフィクスチャの方向を図1に示します。記号「A」のゲージは引っ張り荷重、記号「B」のゲージは圧縮荷重です。

「非荷重」状態は実際にはゼロではなく、カンチレバーのセンサ重量と吊手の重量によって正の値となります(吊手にはねじ棒、チェーン、おもり皿が含まれます)。

図1. 正の重量を加えるときのフィクスチャの方向
図1. 正の重量を加えるときのフィクスチャの方向

負の重量をかけたときの正しいフィクスチャの方向を図2に示します。記号「A」のゲージはここでは圧縮状態にあり、記号「B」のゲージは引っ張り状態になります。これにより負のセンサ出力信号が生成されます。センサの方向は変わりませんが、フィクスチャの長さは1インチ(約2.54センチ)程度長くなります。C型ブラケットを取り外して上下を逆にし、さらに水平方向に回転させると、フィクスチャの方向がこのようになります。

図2. 負の重量を加えるときのフィクスチャの方向
図2. 負の重量を加えるときのフィクスチャの方向

「非荷重」状態はこの場合もゼロではなく、カンチレバーのセンサ重量と吊手アセンブリの重量によって負の値となります。この非荷重状態の値は、正の非荷重状態の場合とまったく同じですが、極性は反転します。

非荷重から正の荷重、非荷重から負の荷重に循環させるときは、通常4つの荷重状態が存在することになります。事実上、非荷重状態はプラスの非荷重とマイナスの非荷重で定義されます。

図3は、誤ったフィクスチャ配置を示しています。センサは逆にされて回転されていますが、フィクスチャは変更されずそのままになっています。一見したところでは、負の荷重をかけているようですが、ゲージ「A」とゲージ「B」をよく観察すると、上の図1と同じ引っ張り/圧縮構成であり、同じ出力信号極性が生成されることがわかります。

図3. 負の重量を加えるときの誤ったフィクスチャの方向
図3. 負の重量を加えるときの誤ったフィクスチャの方向

センサとケーブルの方向

センサをすべてのテストで同じ方向にすることが重要です。これにはいくつかの理由がありますが、まず1つ目はセンサ本体がカンチレバーの荷重となるためです。二重固定式S字曲げによる荷重は、一般的な方式のカンチレバー効果を相殺する傾向にありますが、フィクスチャの方向に気をつけるだけで問題をすべて排除することができる場合は、相殺に関してセンサの特性に依存しないのが最良の方法です。

2つ目の理由は、ケーブルの重量とケーブルの張力が荷重を与えることがあるためです。これは非荷重状態にわずかな誤差を加えるだけですが、ケーブルを正しく固定することによってまったく懸念の必要がなくなる誤差です。ケーブルがセンサに引っ掛けられている、あるいはセンサの「非アクティブ」荷重側に支えられている場合は、正しく固定されています。センサの非アクティブ荷重側とは、C型ブラケットがテストスタンドの上側取り付け部に接続されている側です。

図4は、テスト時の正しいケーブル固定と誤ったケーブル固定の両方を示しています。上側軸に単純な洗濯ばさみ型クリップを取り付けることによって、ケーブルをすばやく固定することができます。

図4. 正しいケーブル固定と誤ったケーブル固定(上側が正しい方法)
図4. 正しいケーブル固定と誤ったケーブル固定(上側が正しい方法)

おもりの番号付け

すべてのおもりが等しく作られているわけではありません。通常、おもりは、NISTの1次標準に対してトレーサブルで、認定されたキャリブレーション研究所による2次または3次のトレーサブル標準を経ています。低価格のおもりはまったくトレーサブルでないことがあり、互いに10%も重さに違いがある場合があります。どのような場合でも、おもりを順番に繰り返して加えたり、外したりすることができるよう、おもりには一意の識別番号を端部と上面に記す必要があります。重量が同じでないおもりを用いるとセンサに加えられる力がわずかに非単調(増減がある)になります。このようなおもりが順不同に加えられた場合、センサの出力曲線は直線性に関して再現不能となってしまいます。図5はこれを強調して示しています。上述したとおり、この不規則に生じる変動による誤差は微量ではあるものの、おもりを毎回同じ順序で加えれば、まったく気にする必要のないものです。

図5. 不均等なおもりが不規則な順番で加えられることによって生じるセンサ出力の変動
図5. 不均等なおもりが不規則な順番で加えられることによって生じるセンサ出力の変動

軸-おもり間の隙間

自動おもりリフト装置を使用する場合、おもりの溝内での軸位置を慎重に調整する必要があります。図6は、吊手に取り付けるための、あるいは吊手から取り外すための溝があるおもりを示しています。おもりリフトがおもりを持ち上げて吊手から取り外す場合、ねじ棒の軸とおもりの溝の間でどこかが接触していると、ヒステリシスによる影響や非荷重状態の測定の誤りを招く結果になります。

図6. 吊手の軸に接触するおもり
図6. 吊手の軸に接触するおもり

荷重テスタを変形テストに使用する場合も、この点が重要になります。力センサの変形テストは、センサが長期間、または異常温度下で特定方向の荷重を受けているときに生じる半永久的なオフセットの変化量を測定するために行うものです。変形の様子をグラフで図7に示しています。変形のテストには、非荷重測定(適切な事前調整の後)、テスト荷重測定値の連続モニタリング、最終非荷重測定、およびその後に続く応力緩和特性が含まれます。

図7. 非荷重状態の正確な適用が要求される変形テストの測定
図7. 非荷重状態の正確な適用が要求される変形テストの測定

取り付けた後のセンサとフィクスチャの事前調整

センサとフィクスチャのアセンブリは、各センサを取り付けた後、フィクスチャボルトにトルクを加えた後、および作業を中断した後、フルスケールまで荷重をかけて非荷重に戻すという作業を3回繰り返し行う必要があります。これは、フィクスチャとセンサの各接触面の周辺に小さな摩擦成分があり、これによってセンサ取り付け位置での応力特性がわずかに変わる可能性があるためです。荷重がかけられたとき、この摩擦域は、非荷重状態と最大荷重状態の間の、最も安定した位置に移動します。また、センサ自体にも、ゲージを覆っている保護ポリマーコーティングでの応力緩和が見られます。荷重状態を3回循環させることによってこれらの応力が緩和され、テスト実施を開始することができるように真の非荷重でセンサ出力ゼロの状態が確立されます。

非荷重から最大荷重に循環するときに関連して生じる現象が、歪みゲージセンサアセンブリの標準ヒステリシスです。このタイプのヒステリシスは通常0.01%未満の誤差を引き起こしますが、これは既知の誤差要因であり、可能ならば回避すべきものです。断続的な特定の荷重値でテスト手順を中断してもう一度やり直す必要がある場合には、上記で説明した3サイクルのフルスケール荷重手順を使用し、この手順を常に適用することによって、誤差の発生を回避することができます。

単調なおもりの取り付けと取り外し

一連のテスト手順において、荷重を加える場合には、荷重が連続的に増大するようにおもりを加え、また荷重を取り除く場合には、荷重が連続的に減少するようにおもりを取り除く必要があります。こうすることによって、上記で説明した3サイクルの事前調整によって確立されたヒステリシスループが変動しないようにすることができます。この手順を図8に示します。

図8. 常に増加または減少するようなおもりの適用
図8. 常に増加または減少するようなおもりの適用

不注意におもりを吊手の上に落としてセンサに大きな力を生じさせることがないように、おもりは慎重に取り付けるようにしてください。吊手上に落下した場合、30LB (約13.6?)のおもりによって、何百または何千ポンド(数十~数百キログラム)もの力を生成する可能性があります。また、おもりが慎重に取り付けられていれば、測定値を読み取る前に吊手にかけられたおもりを安定させることも非常に簡単になります。

高品質なサンプルとデータのトラッキング(SPC)

テストグループまたは品質保証グループでは、いくつかの「高品質サンプル」センサ(電子回路あり/なし)を維持管理し、テストスタンドの使いやすさを確認および検証する必要があります。これらのサンプルは定期的にテストスタンド上で測定を行い、データをログに記録することが必要です。機器のリリースは、「高品質サンプル」を使用し、結果のデータが基準を満たしていると見なされた場合にのみ認めるようにしてください。このログは、テスタの全寿命期間にわたって機器の能力をトレースすることのできる重要な記録となります。「高品質サンプル」は、以下の状況の1つが当てはまる場合は必ず実行してください。
  • テストスタンドが移動されている
  • テストスタンドまたはフィクスチャが変更された、または取り替えられた
  • おもりが取り替えられた、または変更された
  • 顧客向けのセンサをテストする前に、設計またはプロセスの検証テストを行う
  • テスタ間での再現性のチェック

最後に

テスト手順を文書化して保有し、オペレータにおもりテスト機器に関するトレーニングを実施すれば、重量センサのプロトタイプを製作するときの時間と労力を節約することができます。MAX1452とMAX1455デバイスのキャリブレーションと温度補償の手順は、全体的なキャリブレーションの手順に統合されています。MAX1452EVKITとMAX1455EVKITは、センサのプロトタイプを迅速に評価することのできる評価キットです。全体手順にしたがうことによって、信頼性のある、新しいセンサ設計の特性データが得られると同時に、信頼性と再現性が向上することによって、技術設計とコンセプトの評価時間が改善されます。最も重要なことは、おもりやフィクスチャの落下によってオペレータが負傷する危険性を回避することができるということす。


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MAX1452 低コスト、高精度センサ信号コンディショナ フルデータシート
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MAX1455 低コスト、自動車用センサ信号コンディショナ フルデータシート
(PDF, 368kB)
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MAX1463 低電力、2チャネル、センサ信号プロセッサ フルデータシート
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