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アプリケーションノート3513

LCD TVのバックライトについての設計課題

要約:LCD (液晶ディスプレイ)は、電子制御式のライト真空管です。LCD TV (液晶ディスプレイテレビ)は一般的に、白色「バックライト」の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を使用してカラー画面を照らしています。発光ダイオード(LED)などのその他の技術も検討されていますが、コストが高いため採用は制限されています。

この記事では、LCD TVのように大きなLCDパネルのバックライトにおいて多数のCCFLを駆動および制御する場合の設計課題について説明しています。


設計課題

LCD TVは民生品であるため、最も重要な設計の要素はコストですが、少なくともある一定レベルの性能は維持する必要があります。CCFLインバータは、ランプ寿命を著しく短縮させないようにランプを駆動しなければなりません。また、ランプを駆動するときには高電圧が発生するため、安全性も考慮する必要があります。この記事は、LCD-TVアプリケーションで複数のCCFLを駆動するときの3つの主要な設計課題を取り上げています。すなわち、「最適な駆動アーキテクチャの選択」、「複数ランプの駆動」、および「ランプ周波数とバースト調光周波数の厳密な制御」です。

最適な駆動アーキテクチャの選択

CCFLを駆動するために必要な高電圧交流波形は、ロイヤー(自励発振)、ハーフブリッジ、フルブリッジ、およびプッシュ/プルなどのいくつかのアーキテクチャによって生成することができます。表1は、これら4つのアーキテクチャの長所と短所について詳しく示しています。

表1. CCFL駆動アーキテクチャの比較
Drive Architecture Advantages Disadvantages
Royer
  • Least expensive
  • Cannot tightly control the lamp current
  • or frequency
  • Requires tight DC-supply regulation
  • Requires a special transformer winding
  • Requires a ballst capacitor
  • Low efficiency
Full Bridge
  • Does not require a center-tapped
  • transformer
  • Works over a wide DC-supply range
  • (greater than 3:1)
  • Requires four MOSFETs
  • May require p-channel MOSFETs,
  • which are higher cost and less efficient
Half Bridge
  • Requires only two MOSFETs
  • May require p-channel MOSFETs,
  • which are higher cost and less efficient
  • Requires a higher turns ratio transformer,
  • which increases cost
Push-Pull
  • Requires only two n-channel MOSFETs,
  • which are lower in cost and more highly efficient than p-channel MOSFETs
  • Easily scales to higher DC supply
  • voltages (up to 120V)
  • Low transformer turns ratio
  • Lower efficiency when the DC supply
  • goes beyond a 2:1 range

ロイヤーアーキテクチャ
ロイヤーアーキテクチャに最適なアプリケーション(図1)は、ランプ周波数および輝度を厳密に制御する必要のない場合です。ロイヤーアーキテクチャは成分値に変動を含んだ自励発振であるため、ランプ周波数とランプ電流を正確に制御することは困難です(どちらもランプの輝度にじかに影響します)。このため、ロイヤーアーキテクチャはLCD-TVアプリケーションでほとんど使用されていません。ただし、ここに示した4つのアーキテクチャの中で、ロイヤーアーキテクチャの実装が最も安価です。

図1. ロイヤー駆動は簡単ですが、あまり正確ではありません。
図1. ロイヤー駆動は簡単ですが、あまり正確ではありません。

フルブリッジアーキテクチャ
フルブリッジアーキテクチャは、非常に広範囲のDC電源電圧を必要とするアプリケーションに最適です(図2)。このため、ほとんどすべてのノートブックPCはフルブリッジ制御を使用しています。インバータのDC電源はノートブックのDC主電源と直結されますが、このDC主電源は7V (ローバッテリ)から21V (ACアダプタ充電)まで変動します。一部のフルブリッジ実装では、pチャネルのMOSFETを必要としますが、これはnチャネルのMOSFETよりも高価です。また、pチャネルのMOSFETは、本質的にオン抵抗が高いため、あまり効率的ではありません。

図2. フルブリッジ駆動は、DCインバータの広い電源範囲にわたって良好に動作します。
図2. フルブリッジ駆動は、DCインバータの広い電源範囲にわたって良好に動作します。

ハーフブリッジアーキテクチャ
ハーフブリッジアーキテクチャの最大の長所は、フルブリッジアーキテクチャに比べて、1つの駆動チャネルで必要なMOSFETが2つ少ないということです(図3)。ただし、ハーフブリッジアーキテクチャでは、巻数比の大きなトランスが必要となるため、トランスのコストが増大します。また、フルブリッジアーキテクチャと同様、ハーフブリッジアーキテクチャもpチャネルのMOSFETを必要とする場合があります。

図3. ハーフブリッジ駆動はフルブリッジ駆動よりもMOSFETが2つ少なくなります。
図3. ハーフブリッジ駆動はフルブリッジ駆動よりもMOSFETが2つ少なくなります。

プッシュ/プルアーキテクチャ
検討すべき最後のアーキテクチャはプッシュ/プル駆動です。これには多くの長所が備わっています。このアーキテクチャは、nチャネルのMOSFETだけを使用しているため(図4)、コストが削減され、インバータの効率が向上します。また、より高いDCインバータの電源電圧に容易に適合します。より高いDCインバータの電源電圧を使用するときに必要なことは、適切なドレインソースのブレークダウン電圧を備えたMOSFETを選択することだけです。DCインバータの電源電圧に関係なく、同じCCFLコントローラを使用することができます。これは、nチャネルMOSFETを使用するフルブリッジやハーフブリッジのアーキテクチャについては当てはまりません。

プッシュ/プルアーキテクチャの最大の短所は、DCインバータの電源範囲が2:1未満でなければならないということです。この範囲になければ、DCインバータ電源電圧が高い場合に、AC波形の波高率が大きくなるため、システムの効率が低下することになります。このため、プッシュ/プルアーキテクチャはノートブックPCにはふさわしくありませんが、DCインバータの電源電圧が±20%以内に規制されているLCD TVには理想的なアーキテクチャとなります。

図4. プッシュ/プル駆動は簡単ですが、正確な制御が得られます。
図4. プッシュ/プル駆動は簡単ですが、正確な制御が得られます。

複数ランプの駆動
CCFLは長年にわたって、ノートブックPC、ディジタルカメラ、ナビゲーションシステム、および小型LCD画面を備えたその他の機器で使用されています。通常、このタイプの機器にはCCFLが1本しかなく、従来の技術では、この1本のCCFLに対して1つのCCFLコントローラを使用しています。多数のCCFLが必要となる大きなLCDパネルが出現したことによって、新しい手法が必要になります。可能な1つの手法として、シングルチャネルのCCFLコントローラを使用して複数のランプを駆動するという方法があります(図5)。この手法では、CCFLコントローラは、ランプの1つを流れるランプ電流だけを監視し、ほぼ同じAC波形で並列ランプのすべてを駆動します。ただし、この手法にはいくつかの短所があります。

図5. シングルチャネルのCCFLコントローラで複数のランプを制御することは、特に輝度が不均一になるおそれがあるため、理想的ではありません。
図5. シングルチャネルのCCFLコントローラで複数のランプを制御することは、特に輝度が不均一になるおそれがあるため、理想的ではありません。

1番目の問題は、すべてのランプ全体にわたって等しい輝度を維持するということです。すなわち、明るい点や暗い点が、見る人にはっきり見えないようにすることです。同じ波形ですべてのランプを駆動するということは、異なる電流(すなわち異なる輝度)で各ランプを駆動することになります。また、同じ波形を使用するということは、ランプのインピーダンスに違いがあるため、不均一な輝度を生じる可能性があります。さらに、CCFLの輝度は温度とともに変動します(図6)。熱が上昇するため、パネルの最上部にあるランプ(補足の図12)は、パネル最底部にあるランプよりも熱くなり、やはり不均一な輝度を生じることになります。

図6. CCFLの輝度は周囲温度によって変わります。
図6. CCFLの輝度は周囲温度によって変わります。

シングルチャネルCCFLコントローラを使用して複数のランプを駆動することの2番目の短所は、1つのランプの故障(ランプの破損など)によってすべてのランプが消灯されるということです。3番目の短所は、すべてのランプが並行して駆動されて、同時に点灯および消灯されるため、大容量のキャパシタンスでDCインバータの電源を大量にデカップリングする必要があります。このため、インバータのコストが上昇します。

これらのいくつかの問題を解決する1つの方法は、各ランプに別々のCCFLコントローラを使用することです(図7)。ただし、この手法の大きな短所は、CCFLコントローラを増設することによって余分な費用が必要になるということです。LCDパネルのバックライトのための理想的なソリューションは、各ランプを別々に駆動して監視することのできるマルチチャネルCCFLコントローラです(図8)。マルチチャネルCCFLコントローラによって、不均一な輝度や単一ランプ故障の問題を解決することが可能で、必要なデカップリングを減少し、費用対効果が向上します。

図7. 各CCFLにシングルチャネルコントローラを使用すると、費用対効果が悪くなります。
図7. 各CCFLにシングルチャネルコントローラを使用すると、費用対効果が悪くなります。

図8. マルチチャネルコントローラで複数のランプを制御するのが理想的な手法です。
図8. マルチチャネルコントローラで複数のランプを制御するのが理想的な手法です。

ランプ周波数とバースト調光周波数の厳密な制御
LCD TVディスプレイは動的なもので、常に動画を表示しているため、コンピュータのモニタやノートブックPCなどの静的ディスプレイのアプリケーションには存在しない特別な要件がいくつかあります。まず、CCFLを駆動する周波数が、LCD画面に表示される画像を妨害する可能性があります。ランプ周波数がビデオ更新レートの一定倍数に近いと、ゆっくり移動する線やバーが生成される場合があります。ランプ周波数を±5%内に厳密に制御することによって、これらのアーティファクト(画質劣化)を解消することができます。

等しい厳密な制御がバースト調光周波数に必要であり、これによってランプの輝度を調整します。通常、30Hz~200Hz範囲のパルス幅変調(PWM)の信号では、短期間だけランプが消灯されます。ただし、電離がなくなるほどの長期間ではありません。バースト調光周波数が垂直同期レートの倍数に近い場合、なだらかに起伏する線が生成される場合があります。この場合も、バースト調光周波数を±5%のレベル以内に制御することで、この問題を解消することができます。また、一部のLCD-TVアプリケーションでは、LCDパネルの画像応答を向上させるため、CCFLの低速なバースト調光周波数を垂直同期レートに同期化させることも必要となります。

LCD TVのバックライト課題のソリューション(DS3984/DS3988)

DS3984 (4チャネル)およびDS3988 (8チャネル)のCCFLコントローラが、この記事で提起したすべての設計課題を解決します。これらのデバイスは、チャネル当り1つのランプ(図9)、またはチャネル当り複数のランプ(図10)を駆動するように構成することができるため、コストパフォーマンスの目標に合わせてユーザが設計を適合させることができます。複数のDS3984/DS3988を簡単にカスケード接続することができるため、LCD TVパネルのバックライトに必要なだけのランプをサポートすることが可能です。

DS3984/DS3988はプッシュ/プル駆動を使用しているため、低コストで高効率のnチャネルMOSFETの利用が可能です。また、DCインバータの電源電圧をより高い電圧に容易に適合させることもできます。ランプを個別に制御および監視することによって、均一なランプ輝度を得ることが可能で、インバータを設計するときの全体的な部品点数を削減することができます。個別にランプを制御することによって、ランプが故障した場合でも、故障したそのランプが使用不可になるだけです。他のランプは引き続き動作します。厳密に±5%レベルに規定されたオンボードのランプ発振器およびバースト調光発振器によって、目に見える画質劣化(アーティファクト)が排除され、外部のクロック信号源に同期させることができます。

図9. DS3984/DS3988は、各ランプを個別に駆動および監視することによって、LCD TVやPCモニタで均一な輝度が得られます。
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図9. DS3984/DS3988は、各ランプを個別に駆動および監視することによって、LCD TVやPCモニタで均一な輝度が得られます。

図10. DS3984/DS3988は、チャネル当り複数のランプを駆動することもできます。
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図10. DS3984/DS3988は、チャネル当り複数のランプを駆動することもできます。

CCFL

冷陰極蛍光ランプ(CCFL)は、密閉された小口径の長いガラス管で、不活性ガスで満たされています(図11)。管の両端に高電圧が加えられると、ガスが電離して紫外線(UV)が生成されます。この紫外線によって内側にコーティングされた蛍光体が励起され、可視光が生成されます。CCFLには、以下に示すような、多くの優れた特性があります。

  • 優れた白色光源
  • 低コスト
  • 高効率(電力の入力-->光の出力)
  • 長寿命(25,000時間以上)
  • 安定した、予測可能な動作
  • 輝度の容易な変更
  • 軽量

図11. CCFLは不活性ガスで満たされたガラス管です。
図11. CCFLは不活性ガスで満たされたガラス管です。

CCFLには、いくつかの固有の特性があり、最大限の効率、寿命、および有用性を得るためにはこれらの特性を明らかにする必要があります。ただし、これらの特性は、設計の課題をもたらすことになります。たとえば、ランプの寿命をできるたけ延ばそうとすれば、AC波形でCCFLを駆動する必要があります。そのDC成分によって、少量のガスが管の一端に蓄積する可能性があり、管の一端が他端より明るくなる、取り戻しの不能な光の変化が現れます。また、効率(電力の入力→光の出力)を最大化するには、正弦波に近い波形でランプを駆動する必要があります。これを実現するには通常、DC電源電圧を40kHz~80kHzのAC波形に変換するDC-ACインバータ(動作電圧500VRMS~1000VRMS)がCCFLに必要となります。

LCD TVにおける一般的なCCFLの配置
図12は、LCD TVにおける一般的なCCFLの配置状態を示しています。このTV内の12本のランプはLCDのバックプレーン全体にわたって等間隔で配置され、できるだけ最適な光の分布が得られるようにしています。すべてのランプが同じ輝度で動作することが重要となります。バックライトを均一に分散させるため、CCFLランプとLCDパネルの間に散光器が設置されていますが、それでもランプの輝度は不均一な場合があり、TV画像の品質を落とす可能性があります。LCDパネルのサイズによっては、最大30本、あるいは40本ものCCFLランプが必要になることがあります。

図12. LCD TVには、4~40本のCCFLが搭載されています。
図12. LCD TVには、4~40本のCCFLが搭載されています。


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