ENGLISH 简体中文 日本語 한국어  


アプリケーションノート3920

高精度CLKジェネレータMAX945xの部品選択および性能試験

要約:MAX9450/MAX9451/MAX9452は、内蔵VCXO、同じPLLコア、および3種類の出力(LVPECL、HSTL、LVDS)を備える高精度クロックジェネレータです。クロックジェネレータのMAX945xには、内蔵VCXO、広い動作周波数範囲、粒度が超細の広いPLL分周器、および機能豊富な入力リファレンスモニタという4つの主要機能があります。このアプリケーションノートでは、外付け水晶と外付けループフィルタ部品の選択の仕方を説明します。各種水晶の同調範囲、ジッタ、および位相ノイズの性能測定について検討します。

はじめに

クロックジェネレータ1MAX9450/MAX9451/MAX9452は、SONET/SDHシステム、ギガビットEthernetシステム、および3G基地局のADC/DACにおいてタイミング用の高精度クロックを供給します。また、これらのデバイスをジッタアッテネータとしても使用可能で、3種類の出力(LVPECL、HSTL、およびLVDS)とともに同じコアを備えています。このチップのブロック図は、図1に示されています。

図1 MAX9450/MAX9451/MAX9452のブロック図
図1 MAX9450/MAX9451/MAX9452のブロック図

MAX945xデバイスに内蔵されるVCXOによって外付けVCXOが不要になり、高精度クロックを生成するコスト効率の高いソリューションが提供されます。VCXOの周波数と同調範囲は、外付け水晶と同じパラメータから求められます。VCXOは、15MHz~160MHzの広い範囲の水晶周波数で動作可能であるように設計されています。適切な周波数のVCXOを見つけることに比べて、同じ周波数の水晶を得ることはごく容易であるため、各種アプリケーションが柔軟になります。各デバイスの分周器は1~32,768と十分に幅広い範囲を備えているため、クロックジェネレータの160MHz出力を8kHzリファレンス入力と同期させることができます。さらに、これらのデバイスは、入力リファレンスクロックの品質を監視するリファレンスモニタ機能も搭載しています。

これらのチップを正しく使用するには、設計者は適切な水晶とループフィルタ部品を選択する必要があります。このアプリケーションノートでは、これらの外付け部品の選択について説明します。各種水晶で測定された性能結果が紹介されています。

水晶の選択

図1に示すように、VCXOの能動回路はチップに組み込まれ、水晶とループフィルタRC部品のみが外付けです。上述のように、水晶周波数は、希望する出力周波数と同じである必要があります。ただし、水晶の発振モード、カットタイプ、負荷容量(CL)、周波数許容誤差範囲、シャント容量(C0)、および等価容量(C1)も考慮する必要があります。

MAX945xの水晶はATカットで、基本モードで発振する必要があります。すなわち、水晶には広い同調範囲と少ない温度変動が必要です。マキシムのアプリケーションノート2127「Modeling of Quartz Crystal」は、水晶の等価回路を示しています(図2)。

図2. 水晶等価回路
図2. 水晶等価回路

VCXOの発振周波数は、次式から求められます。

Equation 1

この式から、CLに対するfPの変動解析が得られ、次式が得られます。

Equation 2

式2から、同調感度が、C1値の増大とC0およびCL値の低減とともに増加するのがわかります。このため、クロックジェネレータのMAX945xに広い同調範囲を持たせるには、C1、C0、およびCLの相対値が同じである水晶選択する必要があります。実験によると、優れた同調範囲を得るには、C1 > 6fF、CL = 8pF、およびC0 < 2.5pFである必要があります。(これについては、データを使って後で示します。)ただし、CLの値が8pFより小さい場合は、同調範囲においてプラスの損失が発生します。マキシムでは、KDS (www.kds.info/index_en.htm)²のDSX321S水晶とFortiming (www.4timing.com)³のXHFF45水晶を試験しましたが、その測定結果は後で紹介します。試験した両水晶、このPCBのボードで使用されたシャントコンデンサの値は、表1に示されています。

フィルタループ部品の選択

MAX9450は外付けループフィルタを備え、このフィルタによってPLLループフィルタの部品を柔軟に設定することができます。ループフィルタ帯域幅の選択に関しては原則があります。すなわち、リファレンス入力から発生するジッタを抑制するには、狭いPLL帯域幅を選択し、VCXOから発生するジッタを抑制するには広いPLL帯域幅を使用してください。このため、VCXOのジッタが入力のジッタ帯域幅によりもはるかに低いと確認される場合は、適切なPLLフィルタ帯域幅を求めることができると想定するのが一般的です。従って、この例ではPLLフィルタ帯域幅は入力のジッタ帯域幅よりも狭くなります。ただし、実際には、入力のジッタ帯域幅とVCXOのジッタレベルを一般的に把握していません。このため、ループフィルタ部品がPLL帯域幅にどのように影響を与えるかを把握することによって、通常、最適なループフィルタ部品が実験で判明します。

オープンループユニット利得帯域幅ωoは、PLLの3dBの帯域幅、ω3dbと同じであると示すことができます。すなわち、ωoをPLLのジッタ減衰要件から求めることができます。以下の各式は、部品の選択を任意のωoによって示します。ωoは、次式で表すことができます。

Equation 3

ここで、IPはチャージポンプ電流、RPはループフィルタ抵抗、Nは分周器比、KVCOはVCXOの感度です。RPCP1の時定数が以下を満たす場合は、この式は有効です。

Equation 4

また、この関係によってループ安定性を実現する優れた位相マージンが確保されます。CP2の機能は、電流チャージポンプが切り替わる時に電圧リップルをフィルタリングすることです。CP2の選択に関する原則は、以下の通りです。

Equation 5

部品の値を得るには、例をたどると便利です。ω3dbは、5000rad/S、N = 4、およびIP = 80µAとして想定されていると仮定します。測定された平均KVCOは15KHz/Vです。式3から、以下が得られます。

Equation 6

RP = 16kΩを選択します。次に、CP1の値は、以下から求めることができます。

Equation 7

式5に従って、CP1 = 66nFおよびCP2 = 6.6nFを選択します。MAX9450のデータシート¹の10ページの式を使って、規定の80µAのチャージポンプ電流を得るには、RJの値を30kΩとして求めます。ループフィルタ部品の決定に関するに一般論ついては、末尾の参考資料を参照してください。4

測定結果

KDSおよびFortimingの水晶を試験しました。表1は、水晶の同調範囲とMAX9450のジッタ性能を示しています。ジッタは水晶ごとに測定されず、期間ジッタはRMSおよびピーク間の値で示されます。位相ノイズは、12kHz~20MHzの帯域の積分で測定されました。

表1 MAX9450の同調範囲およびジッタ性能
KDS Crystal DSX321S
  Tuning Range Upper Limit Tuning Range Lower Limit Upper Tuning Range (PPM) Upper Tuning Range (PPM) Jitter (RMS/P-P) (ps) Phase Noise 12kHz-20MHz (ps)
155.52MHz Crystal CL = 8pF, no shunt caps
Crystal 1 155.534 155.5052 90 -96
Crystal 2 155.5348 155.5044 95 -101
Crystal 3 155.5332 155.5036 84 -106
155.52MHz Crystal CL = 6.5pF, no shunt caps
Crystal 1 155.5276 155.5 48 -129
Crystal 2 155.5248 155.496 30 -155
122.88MHz Crystal CL = 8pF, no shunt caps
Crystal 1 122.8936 122.8692 110 -88
Crystal 2 122.8944 122.87 117 -82 5.1/40
155.52MHz Crystal CL = 16pF, with two 10pF shunt caps
Crystal 1 155.558 155.5276 244 48 2.75/20 0.65
155.52MHz Crystal CL = 14pF, with two 10pF shunt caps
Crystal 1 155.528 155.5168 51 -20
Fortiming Crystal XHFF45
155.52MHz Crystal CL = 16pF, with two 10pF shunt caps
Crystal 1 155.5564 155.5292 234 59 4.0/31 0.544
Crystal 2 155.5568 155.5304 236 67 4.48/35 0.79
Crystal 3 155.5569 155.5294 237 60 4.5/34 0.58
155.52MHz Crystal CL = 8pF, with two 5pF shunt caps
Crystal 1 155.5292 155.5096 59 -67 2.8/20 0.414

図3から図5までは、KDSおよびFortimingの水晶でのMAX9450の位相ノイズ図を示しています。

図3 CLが16pFのKDSの155.52MHz水晶
図3 CLが16pFのKDSの155.52MHz水晶

図4 CLが8pFのKDSの155.52MHz水晶
図4 CLが8pFのKDSの155.52MHz水晶

図5 CLが8pFのFortimingの155.52MHz水晶
図5 CLが8pFのFortimingの155.52MHz水晶

まとめ

上記の測定結果から以下を観測することができます。
  1. 適切で対称的な同調範囲を得るには、水晶負荷(CL)容量に8pFが推奨されます。最大同調は、約±100ppmです。
  2. 12kHz~20MHz帯域のMAX9450の位相ノイズは両水晶とも1ps以下で、負荷容量とは関連性がありません。
  3. 負荷容量が大きい水晶の同調範囲は狭くなります。
  4. 平均して、KDSの水晶は、Fortimingの水晶によりも広い同調範囲を備えていました。
MAX945xの評価(EV)ボードが利用可能です。EVボードをお求めの場合は、お問い合わせください。

参考資料
  1. MAX9450/MAX9451/MAX9452のデータシート
  2. KDS DSX321S data sheet at: http://www.kds.info/index_en.htm
  3. Fortiming XHFF45 data sheet at: http://www.4timing.com/specification/xhff45p.pdf
  4. W. O. Keese, "An Analysis and Performance Evaluation of a Passive Filter Design Technique for Charge Pump Phase-Locked Loops," at: http://www.sss-mag.com/pdf/pllfil.pdf


フィードバックをお寄せください。
内容に満足されましたか、あるいは満足されていませんか?もっと良いページにできると思いますか?あるいは、単なるコメントでも結構です。フィードバックをお待ちしています。—マキシムはお客様からいただく訂正、提案を元に改善していきます。 このページを評価し、フィードバックを送信する。


自動アップデート
お客様が関心のある分野でアプリケーションノートが新規に掲載された際に自動通知Eメールの受信を希望する場合は、EE-Mail™にご登録ください。



その他の情報  APP 3920: Mar 05, 2008
MAX9450 VCXO内蔵の高精度クロックジェネレータ フルデータシート
(PDF, 316kB)
MAX9451 VCXO内蔵の高精度クロックジェネレータ フルデータシート
(PDF, 316kB)
MAX9452 VCXO内蔵の高精度クロックジェネレータ フルデータシート
(PDF, 316kB)
 

ダウンロード、PDFフォーマットダウンロード、PDFフォーマット (246kB)
 AN3920, AN 3920, APP3920, Appnote3920, Appnote 3920



         


      プライバシーポリシー    法的お知らせ

      Copyright © 2008 by Maxim Integrated Products, Dallas Semiconductor