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アプリケーションノート4056

MAX4929Eを使用したHDMI/DVI低周波数スイッチ

要約:MAX4929Eは、モニタまたはHDTVレシーバで使用するために設計された、低周波数HDMI/DVIスイッチです。このデバイスは、切替えが必要なすべての低周波数信号を対象とするものであり、新しいTMDSスイッチMAX4886または2組の入力を備えた任意のTMDSレシーバと組み合わせて使用します。

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HDMI/DVIの基本動作

ビデオ伝送の世界は、近年アナログ接続からディジタル接続にほぼ完全な移行を遂げました。VGAおよびコンポーネントビデオ(アナログビデオ接続)は、HDMI™とDVI™に取って代わられようとしています。これら2種類のディジタルビデオ規格は、要件がほとんど同一であり、1組の高周波数と低周波数の信号を同時に取り扱う必要があります。DVI仕様は1999年に確定され、HDMI仕様は本稿執筆時点でバージョン1.3になっています。どちらの仕様も、データの高周波数(ビデオ)部分にはTMDS® (Transition Minimized Differential Signaling)を使用します。TMDS信号は4組の差動ペアを通してR、G、B、およびクロックを搬送するもので、19ピンコネクタ内の8本のピンを占有します。HDMIとDVIはともに、モニタ(シンク)とソースがリンクアップして、一緒に最高の性能で機能する方法を見つける「プラグアンドプレイ」を実現するように設計されています。新しいTMDS HDTVチップの多くには、2組の完全なTMDS (高周波数)入力が含まれていますが、LoF (低周波数)信号には対応することができません。

HDMIおよびDVIシステムにおいて「プラグアンドプレイ」機能を達成するために、ソース(通常はコンピュータ、DVDプレーヤ、またはゲーム)とシンク(通常はモニタまたはレシーバ)がリンクアップする必要があります。HDMIとDVIはともにVESA (Video Electronics Standard Association)オープン規格を借用しており、DDC (Digital Display Channel)、HPD (Hot-Plug Detect)と呼ばれる新しい信号、およびソースからシンクへ50mAの供給が可能な標準の5V信号を使用します。通常のVESA方式では、ソースがEDID (Extended Display Identification Data) EPROMにアクセスします。このEPROMデバイスには、シンクのブランド、モデル番号、およびサポートしている解像度モードのデータが格納されています。ソースとシンクが機能するためには、両者が少なくとも1つ共通のディスプレイモードを備えている必要があります。図1は、HDMI/DVIコネクタを通してソースからシンクへの接続を行うEDID EPROMの使用法を示しています。

Figure 1. Schematic shows a HDMI/DVI connector joining an EDID EPROM from source to sink.
図1. HDMI/DVIコネクタによってソースからシンクへEDID EPROMの接続が行われる様子を示した図。

図1において、TMDS信号は4つの差動ペア(+5V、HPD、およびDDC信号)として接続されています。DDC信号は、EDIDに接続されています。EDIDへの給電は、シンクによって内部的に行われます。この図は、ソースとシンクの間の一般的な接続モードを示しています。ソースとシンクは、I²C互換のDDCライン上で通信を行います。1980年代に制定されたI²C仕様は、+5Vの仕様です。24LC22のような標準的なEDID EPROMは、必要な情報を格納するために2kbのEPROMを備えており、2.5V~5.5Vの範囲で機能します。+3.3Vで動作させた場合、標準的な低コストEDID EPROMは+5Vに対して耐性がありません。EDID EPROMデバイスは+5V電源で動作させるか、または外部的に+5Vに対する保護を行う必要があります。

2つのHDMI/DVIソース間で切替えを行う場合、設計者はまったく異なる2種類の信号を扱う必要があります。それはTMDS高周波数信号と、前述したすべてのLoF信号です。最新のHDMIプロセッサのいくつかは、高周波数のTMDS信号を扱う2組のTMDS入力を備えていますが、LoF信号で遭遇する比較的高い電圧を扱うことはできません。マキシムではMAX4929Eの設計に当たって、LoF信号に関して最大の柔軟性と選択肢を許容するようにしました。

LoFビデオソース間の切替え

MAX4929Eの場合、外部コネクタにつながる可能性のあるすべての信号が、±15kV HBM (Human Body Model)まで保護されています。この非常に高レベルのESD保護があるため、通常はこれらの端子にそれ以上の保護を行う必要はありません。MAX4929Eでは2組のDDC信号の存在が許され、いずれかの入力が選択されます。このソース切替えによって、いくつかの機能が実現されます。すなわち、信号がESDから保護され、一度に1つのソースだけが選択され、ソースより高い電圧からEDID EPROMを保護するためのロジックレベルのクランプが提供されます。MAX4929Eは極めてわずかな電流しか使用せず、ソースデバイスから供給される+5Vの要求を満たすことが可能です。

MAX4929Eには電圧シーケンスの要件が存在せず、このメリットによって、他方がオフのときに特定のソースデバイスがオンになった場合に何かが起こることを設計者が心配する必要がなくなっています。いくつかの理由から、ソース間の切替えは非常に望ましいものです。切替えを行う場合、どのデバイスが接続可能かをシンクが管理することになります。また、第2のケーブルによってI²Cバスに負荷がかかるのを防ぐ効果もあります。この後者のメリットは、同一の負荷に両方のソースが同時に接続される場合に生じる2つの問題を解決します。
  1. マスタ競合の可能性
  2. 過大な容量性負荷(各ケーブルが200pf/mの容量を示すことが考えられます)
2m長の第2のケーブルを、第1のケーブルに加えて使用すると、700pfという最大容量の仕様に反することになります。スイッチの使用によって、I²Cドライバには一度に1つの負荷だけが「見える」ようになります。このアプローチでは、たとえ3mのケーブルを2本使用しても700pfの仕様に違反しません。

ほとんどのシステムでは、MCUがイベントの制御を行います。MCUは、入力がアクティブであるか判定し、EDIDのハンドシェイクが発生した後で、TTL互換のHPD信号を返す必要があります。この機能に関して、MAX4929Eは3つの問題を解決します(図2)。
  1. HPD出力のESD保護
  2. 選択されたHDMI入力が実際に接続されているかどうかに関してMCUによる判断を可能にする
  3. 低電圧のMCU信号から5VのTTL互換信号へのロジックレベルの変換を提供する
Figure 2. Schematic shows the typical circuit hookup of the MAX4929E. This device provides all the switching, logic-level matching, and ESD protection required to complete a 2:1 HDMI or DVI switch.
図2. この図は、MAX4929Eの標準的な回路の接続図を示しています。このデバイスは、2:1のHDMIまたはDVIスイッチを完成させるために必要となる、すべての切替え、ロジックレベルのマッチング、およびESD保護を提供します。

ESD保護についてはすでに検討しました。HPR信号がロジックハイ(公称+5V)である場合、MCUに配線されている端子にロジックハイが現れます。MAX4929Eのリファレンス端子はMCUの電源に接続されているため、この後者の端子はMCUとロジックレベル互換であることが保証されます。選択した入力に+5V信号が存在する場合、MCUはロジックレベル互換の信号を検出することになります。その信号を受け取ったMCUは、HPD信号を出力します。MAX4929EはHPD信号が適切なHDMIデバイスに届くよう「舵取り」を行い、完全にTTL互換な信号をそのデバイスに提供します。MAX4929Eは低電圧のMCUロジック1またはロジック0を受け取って、TTL互換な非反転の0または1をHPD用に生成します。リファレンスがMCUと同じ電源に接続されているため、入力と同様、この信号もロジックレベル互換であることが保証されます。

2組の高周波数入力を備えたTMDSデバイスとの動作が可能であることに加えて、MAX4929Eは2組のTMDS入力を受け取って単一組の出力に回すMAX4886 HDMI/DVIビデオスイッチとともにチップセットを形成することも可能です。MAX4886/MAX4929Eチップセットは、単一入力のデバイスに2組目の入力をシームレスに追加します。

結論

MAX4929Eは、2:1のHDMI/DVIスイッチに必要な、すべてのLoF信号の切替えを管理します。すべての外部ラインに、高水準のESD保護を追加します。MAX4929EはEDID EPROMと接続し、+5Vの信号レベルを入力として受け取って、EDIDに合わせて出力を+3.3Vにクランプします。さらに、MAX4929Eは一方のラインの容量を除去し、DDC出力に対して一度に1つのDDC接続だけが行われるようにします。MAX4929Eは第3の入力電圧を備えており、システムMCUと同じ電源に接続することができます。この機能によって、SEL、HPR、およびHPDの各信号がMCUとロジックレベル互換であることが保証されます。MAX4929Eは、2:1のHDMIまたはDVIスイッチを完成させるために必要な、すべての切替え、ロジックレベルのマッチング、およびESD保護を処理します。また、MAX4929EをMAX4886の機能と組み合わせることによって、単一入力デバイスの切替え機能が完成します。

DVIはDigital Display Working Group (DDWG)の商標です。
HDMIはHDMI Licensing, LLCの商標です。
TMDSはSilicon Image, Inc.の登録商標です。


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