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アプリケーションノート4153

MAXQ3210を使用した光ビームアラームシステム

要約:このアプリケーションノートでは、MAXQ3210 RISCマイクロコントローラと、アラーム用トリガとして外付けの光電センサ使用したアラームシステムを実証します。光ビームが遮断されると、大音量でアラームが鳴動します。さまざまな光電検出方式と性能パラメータを取り上げています。アセンブリ言語のソースコードとPCBガーバーファイルが利用可能です。

概要

光ビームの遮断で警報音が鳴るという興味深いアプリケーションは数多くあります。このアプリケーションノートでは、このようなシステムについて説明します。MAXQ3210マイクロコントローラおよび内蔵の圧電ホーン/トランスデューサドライバを使用することで、最小の部品点数でシステムを実現しています。

市販の光電型光センサモジュールが、アラームシステムへの入力になります。数多くのタイプの光センサを利用することができます。このためこのアプリケーションノートでは、アプリケーションに最適なセンサの選択について取り上げます。小型で市販のウォール変圧器電源が、このシステムに電力を供給します。

MAXQ3210 RISCマイクロコントローラがシステムの心臓部であり、追加部品はほとんど必要ありません。3ピンの小型圧電オーディオトランスデューサが警報音を生成します。リニア電圧レギュレータが電子部品のすべてに電力を供給します。ただし光電モジュールは外部の電源からじかに電力を供給されます。このシステムの回路図を以下の図2に示します。両面プリント基板(PCB)は、プロトタイプと相互に接続することができます。このPCBの製造用ガーバーファイルをダウンロード(ZIP)してご利用いただけます。このファイルには、このアプリケーションのソースコード、関連プロジェクトファイル、およびロード可能な16進ファイルが含まれます。

このデモシステム用のソフトウェアは、MAXQ®のアセンブリ言語で記述されています。このアプリケーションの開発に使用したツールは、MAX-IDEのバージョン1.0です。MAX-IDEは、無料で使いやすいWindows®ベースの開発環境で、MAXQプロセッサファミリ用の完全な適合ツールです。

このアプリケーションのファームウェア開発で使用したハードウェアは、MAXQ3210の評価キットボードです。このボードは使いやすくて実績のある、ファームウェアのテスト用プラットフォームです。このボードとMAX-IDEツールセットを使用することで、開発とデバッグのための完全な環境が得られます。

考えられるアプリケーション

盗難警報器は、このアプリケーションノートで説明する光ビームアラームシステムの、よく知られたアプリケーションです。光センサで警戒された通路を侵入者が通ると、光ビームが遮断されて警報が鳴ります。光を反射するごみが空気中にほとんど存在しない環境では、光は目に見えないままであり、遮断されてはじめて侵入者はセンサの存在に気付きます。このタイプのシステムは、誰かが店に入ったことを店主に通知することができます。このセンサは、誰かが、あるいはペットのような何かが、ある領域内にとどまっているかどうかを監視するために使用することもできます。ある領域の通路の外側にセンサを設置した場合、誰かが出て行ってビームが遮断されるまでセンサは気付かれないままになります。台所のカウンターに巧妙にセンサを設置すれば、このアラームによってカウンターの上に家のペットが飛び上がるのを防止することができます。

民生用の設備では、このアラームシステムで移動コンベアベルト上の品目を検出することができます。発光体と向かい合わせに受光体または反射体を設置して、対象物が通過してビームを遮断するとアラームが鳴るようにします。ベルト上の対象物のサイズが異なる場合、最も大きい品目のみがビームを遮るようにセンサを設置することができます。さらに複雑なシステムでは、複数のセンサをベルト上の異なる高さに取り付けて、通過する対象物のサイズを見分けます。対象物の外形と反射率が十分であれば、十分な光が受光体に反射して戻り、センサを作動することができます。ソフトウェアの軽微な変更によって、ベルトが停止したときに作動するようアラームシステムを変更することが可能で、また対象物の数を数えるようアラームシステムを変更することもできます。

この光ビームアラームシステムのアプリケーションの可能性は幅広く多様で制限がありません。制限があるとすればユーザの想像力でしょう。ここに実装したアラームシステムは、一般化した設計であるため、多くのアプリケーションに適用することもできれば、より特定のアプリケーションを対象とした独自システムの基盤として使用することもできます。

光電センサ

光電センサでは、光源である発光体が生成したビームが感光性デバイス、すなわち受光体で検出されます。ビームの供給源は通常、変調LEDであり、これに駆動回路と光学素子が組み込まれています。受光体は、受光用の光学素子とともに増幅回路と復調回路で構成されます。市販のユニットが、さまざまな特定のアプリケーションを対象として、多くの構成で製造されています。たとえば、対象物が存在するときに、あるいは存在しないときにセンサが作動するように設計することができます。また、特定タイプの表面のみで反射するよう、その他の表面では反射しないように設計することができます。細い糸のような非常に精細な物体に焦点を絞って対象にしたり、より広い領域や大きな対象物を扱えるように焦点をぼかしたりすることが可能です。アプリケーションにはそのように範囲があるため、正しい光電センサを慎重に選択する必要があります。以下では、センサの選択に影響する要素について考察します。

検出方式

光電センサは通常、検出方式によって透過、再帰反射、および拡散という3つの大まかなカテゴリに分けることができます。透過方式の検出は、「スルービーム」方式とも呼ばれており、発光体と受光体は別々のパッケージに収納されていて互いに向かい合って配置されます。発光体からの光が受光体をじかに照らすため、ビームが対象物によって遮断されるとその対象物が検出されます。再帰反射方式でも、ビームが遮断されて対象物が感知されます。ただし、この方式では発光体と受光体が同じパッケージに収納されています。特殊な反射体(再帰反射)が、発光体からの光を受光体に返します。鏡がビームに対して垂直な場合にのみ光を反射して光源に返すのとは異なり、再帰反射型のデバイスは、入射角(当然ですが、ある制約の範囲内)に関わらず光を光源に反射して返します。この単一パッケージに収める方式では、再帰反射型センサの電子回路を1つの区域に集めることで、パッケージが1つと、それに伴うケーブル配線が不要になります。近接方式とも呼ばれる拡散方式の検出では、発光体と受光体の両方が同じパッケージに収納されていますが、光ビームは検出対象物によって反射されます。この方式は、放出された光のかなりの割合がセンサに戻るよう、対象物の反射性と外形が十分に大きいアプリケーションでよく使われます。

光学素子

特殊なセンサで使用される光学素子は、特定のアプリケーションの有効性に非常に大きく影響します。標準的な拡散方式の検出では、最小限の光学素子を使用して、発光体には広いパターンを、受光体には広い視野を与えています。収束モード検出と呼ばれる特別な場合では、異なる光学素子を使用して、絞ったビームと明確な検出領域を作り出しています。この手法によって、通常の標準拡散方式の検出では反射が不十分な対象物を検出することができるようになります。利用可能な空間が制限されている場合、光ファイバのより線または、より線の束を用いて光エネルギーを発光体から受光体に導くことができます。光ファイバは腐食性の強い環境で対象物を検出する必要がある場合にも使用することができます。これは、光ファイバの材料として多くの場合で使用されるガラスが、極めて高温かつ腐食性の強い環境に対して、標準の光電センサモジュールの能力をはるかに上回る耐性を備えているからです。

センサの出力

光電センサのもう1つの顕著な特性は出力のタイプです。デバイスの構成によって、受光体は光ビームを検出したときにアクティブ出力を生成したり(「入光オン」動作)、あるいは検出が中止されたときに(「入光オフ」動作)アクティブ出力を生成したりすることができます。受光体出力もアクティブ時に、電源電圧に対してハイにプルアップ(ソーシング)したり(「PNP出力」と呼ばれます)、あるいはグランドに対してローにプルダウン(シンキング)したりすることができます(「NPN出力」と呼ばれます)。デバイスによっては、入光オンまたは遮光オンをユーザが選択可能であり、またPNPとNPNの両方が利用可能です。

波長

センサから放出される光の色すなわち波長も顕著な特性です。放出される光の波長に基づいて、特定アプリケーションのセンサを選択することができます。検出対象物の反射率または吸収率がその特定波長に対してより大きくなる場合があるからです。多くの標準センサは、可視スペクトル(赤 = 650nm)の上側または赤外線スペクトル(赤外線 = 880nm)の下側を使用します。

変調

不要な光源を検出する可能性を最小限に抑えるには、一般的に光源を変調します。次にこの変調信号を受光体で不要な信号を除去して使用します。変調周波数は通常、数キロヘルツの範囲内で、システムの応答時間にじかに影響します。

距離

光電センサは、数センチメートルから最大数百メートルの距離まで動作可能です。透過方式のシステムは通常、再帰反射方式や拡散方式の設計距離の最大10倍でも動作します。一部の発光体は光を平行にするレンズを使用します。つまり光線を平行にしてビームの強度を高め、動作距離を向上させます。その他の発光体は、光の自然な拡散特性を利用することで、より広い領域に対応します。ただし、この発散のため、発光体は通常、検出距離がかなり短くなります。平均すると、再帰反射型のデバイスの検出距離は単純な反射型デバイスの約4倍になります。遠距離の検出を必要とする特殊なアプリケーションでは、レーザ光源を使用することができます。レーザ光は、ビームの発散を最小限にして生成されるため、発光体エネルギーの大部分を受光体に返します。検出対象物の表面の反射性が高いアプリケーションでは、偏光反射体が使用されます。この場合、センサに返される非偏向の光はすべて検出対象物から反射されたものです。

過剰利得

光電センサの重要な仕様は過剰利得で、これによって所定の環境で動作するセンサの信頼性を予測します。特にこのパラメータは、検出に最低限必要な量を超える光を検知してアクティブ出力を生成する受光体の能力の目安になります。過剰利得の値は、1.5 (レンズまたは反射体に汚れが沈着していない清浄な空気の環境)から、50まで(煙、霧、またはほこりで極端に汚染された環境)の範囲になる可能性があります。

実例システムのセンサ

この実例システムで使用する特定の光電センサは、PCBと反射体を備えたKeyence™のPZ-G61Bです(図1の写真)。このセンサは再帰反射型のデバイスで、幅広いアプリケーションに対応可能なように設計されています。センサは、ユーザによる利得調整が可能で、PNPとNPNの両方の出力信号を提供します。この実例システムでは、PNP出力によって、アクティブ時にモジュールの電源(このケースでは+12V DC)をこの出力に切り替えます。さらにセンサは、ユーザが選択可能な2ポジションのスイッチを用意し、デバイスが遮光時オンのデバイスまたは入光時オンのデバイスとして動作することができるようにしています。このアプリケーションでは、センサは遮光時オンの動作に設定されています。Keyence PZ-G61Bは、指定の反射体を使用するとき、0.3フィート~13.8フィート(0.1m~4.2m)の距離にわたって動作するよう規定されています。この実例システムの反射体は、Keyence OP-84219 R-2L、2インチ x 2インチの正方形の再帰反射型デバイスです。

Figure 1. PCB, sensor, and reflector.
図1. PCB、センサ、および反射体

回路図

この設計の回路図を図2に示します。図でわかるように、PZ-G61BセンサとMAXQ3210マイクロコントローラを使用してシステムを実現するのに、部品はほとんど必要ありません。ウォール変圧器の12V電源がシステムに電力を供給しています。センサとマイクロコントローラに対する電源要件が異なるため、単一電源を選択しています。光電センサは、10V~30V DC±10%で動作するよう規定されています。MAXQ3210用の最大電源電圧は9.5Vと規定されています。両方のデバイスに単一電源を使用することで仕様の制限が下がり、変動に対するマージンはほとんど残らないと考えられます。このため、PCB上でレギュレータを使用することで、マイクロコントローラの5V電源を生成しました。リニア5Vレギュレータ(7805)を使用して、外部電源からの12Vの主電源入力をマイクロコントローラに必要な5Vに低減しました。MAXQ3210のディジタル電源入力(VDD、ピン17)をレギュレータ出力(REGOUT、ピン18)に短絡することで、事実上、内部レギュレータを停止しました。

プロトタイプシステムをテストしている間、この実装で使用され、部品表に記された特定の非安定化電源からの電圧出力が定格の12Vよりも極めて高いことがわかりました。負荷がない状態で、測定出力は、ほぼ16Vになります。これが十分に5Vレギュレータの最大定格範囲内であれば、完全に負荷をかけたときのレギュレータはかすかに熱くなります。この特定の実装では熱は問題ではありません。レギュレータが密封されておらず開放された環境にあるためです。ただし、異なる環境では、この電力消費の原因を明確にする必要があります。これはTO-220のレギュレータパッケージにヒートシンクを設けることで簡単に解決することができます。代わりに、少し高価な12Vの安定化出力電源を使用することもできます。基板はほとんど電力を必要としないため、どちらの方法でも5Vレギュレータの温度を管理し続ける必要があります。

この設計では、nチャネルFETを使用して、光電センサの出力をマイクロコントローラの入力ピンにバッファリングします。この手法によって、リモートセンサのケーブルを通じて基板に入りこむ可能性のあるESD事象からマイクロコントローラを保護します。有害なESD事象が発生した場合、おそらく(マイクロコントローラではなく) FETを交換する必要があると思われます。このバッファリング保護によってコストは最小限となり、さらに12Vセンサ出力信号をマイクロコントローラの入力ピンで想定される5Vの信号レベルから保護するという追加の利点もあります。

システムの警報音を生成するため、CUI CEP-1172圧電オーディオトランスデューサを使用しました。このデバイスは、30cmおよび12V DCにおける最小音圧レベルが81dbであり、また共振周波数は約3.3kHzです。このシステムでは、MAXQ3210がほぼ5Vのホーン駆動信号を生成すると同時に、トランスデューサは人の注意を引くのに十分なだけのかなり大きなアラームを生成します。少数の受動部品(2つの抵抗と1つのコンデンサ)によって、MAXQ3210はこの印象的な音圧レベルを生成することができました。

Figure 2. Board schematic.
図2. 基板の回路図

ファームウェアの詳細

このアプリケーションのファームウェアは単純です。1つのアセンブリ言語のソースファイル(LightBeamAlarm.asm)で構成されており、このファイルには、ハードウェアの初期化、メインプログラムのループ、およびいくつかのサブルーチンが含まれています。光センサのPNP出力は、FETを介してプロセッサのP0.0ポートピンに接続されています。信号レベルはソフトウェアによって読み出されます。センサの出力がアクティブの場合、アラームが鳴ります。

警報音を作成するには、サブルーチンを使用して圧電トランスデューサを「鳴かせ」ます。それぞれの出す音は固定のオン時間と固定のオフ時間で構成されます。これらのオン時間とオフ時間は実験的に決定されたもので、できるだけ警報音が注意を引くように主観的に選択されたものです。光センサの出力のアクティブ時間がどれほど短くても、トランスデューサは5回音を出します。センサの出力が5回出す音の時間よりも長くアクティブである場合、トランスデューサは出力が非アクティブになるまで音を5回出すことを繰り返し続けます。

「システム動作中」を表すため、LEDは点滅します。プロセッサのP0.7ピンに設計として組み込まれた大電流能力を使用することで、取り付けられたLEDからの電流をじかにシンクさせることができます。プロセッサのタイマ2は、0.5秒ごとにタイムアウトが起き、そのたびに割込みを生成します。割込みサービスルーチンは実行されるたびに、LED (P0.7)に接続されたポートピンを切り替えます。この動作によってLEDが1秒に1回点滅します。

ソフトウェアのタイミングループで作成された汎用の時間遅延を使用して、可変遅延間隔を作成します。遅延期間を確定するパラメータは、これ以外に使用されていないアキュムレータ内のサブルーチンに渡されます。これらの遅延期間を使用して、上記の鳴き声のオン時間とオフ時間を生成します。

結論

このアプリケーションノートで説明したシステムは、光ビームが遮断されたときに作動するアラームシステムを実現します。システムは、反射体を利用する市販の発光体-受光体のペアを1組使用して発光体から受光体に光を返します。システムが必要とする部品の数は最小限ですみます。これは、圧電ホーンドライバやLEDの直接駆動ポートピンなどのMAXQ3210マイクロコントローラに内蔵の機能をシステムが利用するからです。ソフトウェアは容易にプロセッサの2kBオンボードEEPROMメモリに格納することができます。また、外部のウォール変圧器電源が基板の5Vレギュレータに電力を供給します。

KeyenceはKeyence Corp.の登録商標です。
MAXQはMaxim Integrated Products, Inc.の登録商標です。
WindowsはMicrosoft Corp.の登録商標です。

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その他の情報  APP 4153: Jul 22, 2008
MAXQ3210 電圧レギュレータ、圧電ホーンドライバ、およびコンパレータ内蔵、マイクロコントローラ フルデータシート
(PDF, 400kB)
MAXQ3212 アナログコンパレータおよびLEDドライバ付きマイクロコントローラ フルデータシート
(PDF, 324kB)
 

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