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アプリケーションノート 4328

効率を高めてバッテリ寿命を延長し、システムのリーン化を進める低損失LEDドライバ

筆者:Keith Welsh

要約:高輝度LED (HB LED)の駆動方法は数多く存在します。最近のシステムはバッテリ駆動が多いため、充電効率とシステムの動作時間を最大化するためには、エネルギー効率が鍵となります。バッテリ効率の改善は、システムの「グリーン」化にもつながります。バッテリの寿命はある一定の充電サイクルの回数で尽きるため、1回の充電による動作時間が長くなれば同じバッテリを数百時間も長く使える可能性があることになります。これはつまり、埋め立て地や有害廃棄物の処理場に持ち込まれるバッテリの数の減少につながります。

このアーティクルは「マキシムのエンジニアリングジャーナルvol. 65」 (PDF、2.64MB)にも掲載されています。

低電力照明に対する一般的なアプローチは、定電流モードで動作するシンプルなリニアレギュレータです(図1a)。リニアレギュレータは、設計がシンプルである点がメリットです。これに対してデメリットは電力損失が大きいことです。これは、余分なヘッドルーム電圧が電流測定用抵抗とレギュレータそのものから熱として放散されるからです。発熱が大きいということは、システムの「グリーン」性能にも悪い影響を与える可能性があります。発熱量が大きくなるとしっかり冷却しなければならなくなり、(冷却ファンや大型の金属製ヒートシンクに必要な)エネルギー、スペース、および重量などの面で不利になるとともに、材料費や製造時間も余計にかかるようになります。

別の方法として、バックレギュレータやブーストレギュレータなどのスイッチモードレギュレーション方式があります(図1b)。このようなレギュレータはLEDに流す電流を制御するために、0.8V~1.3Vのフィードバック電圧が必要になります。この電圧を得るための電流測定は一般的にLEDと直列に接続した抵抗値の小さな抵抗を用います。この抵抗の両端に発生する電圧はLEDへの定電流電源を維持するフィードバック電圧を提供します。このようにしてレギュレータ本体における損失を小さくすることができますが、電流測定用抵抗で、ある程度のシステムの電力が失われる状況は変わりません。

Figure 1a. A simple linear regulation scheme experiences power losses due to both the regulator and the current-setting resistor. The advantages of this circuit are its simplicity and the fact that it generates no EMI. The circuit can, however, only lower voltage and it does generate some heat.
図1a. シンプルなリニアレギュレーション方式では、レギュレータと電流設定用抵抗で電力損失が発生します。シンプルでEMIが発生しないというメリットがある半面、電圧を下げる形でしか使えない、発熱があるというデメリットを持ちます。

Figure 1b. In a basic switch-mode-regulation approach the main source of power loss comes from the energy dissipated by the current-sensing resistor. This design is highly efficient and can boost voltages. It is, however, a more complex circuit and can generate EMI.
図1b. 基本的なスイッチモードレギュレーション方式では、電流検出用抵抗から放出されるエネルギーが電力損失の大きな原因となります。この方式は効率が高く、昇圧が可能であるという特長を持つ半面、回路が複雑になり、EMIを発生するおそれがあります。

抵抗を流れる電流による電力損失を小さく抑えるためには、抵抗とアンプを組み合わせるなどして低損失の電流測定方法を用い、必要となるフィードバック電圧をスイッチングコンバータへ与える必要があります。たとえば、直列に入れた電流測定用抵抗の電圧に対し、100V/Vのゲインが得られるMAX9938Hなどの高精度電流検出アンプを使用します。このアプローチでは、フィードバック回路における損失をわずか数ミリワット程度に抑えることができます。基板上の短い銅トレースを利用すれば追加コストなしで検出用の抵抗を実現することもでき、魅力的なソリューションだと言えます。

図2に示す回路では、電流検出アンプにMAX9938Hを、ステップアップコンバータにMAX8815Aを採用し、2つのNiMHセルを直列につないだ電源を使うブーストコンバータを構成しています。MAX8815Aは最大2MHzのスイッチング周波数で動作し、効率は最大で97%に達します。このようにスイッチング周波数が高いと、外付け部品を小型化することができます。また補償回路が内蔵され、外付け部品点数が少なくてすむため、コストやスペースの制限が厳しいアプリケーションに最適です。このコンバータは、2セルのNiMHまたはNiCd、あるいは1セルのLi+ (リチウムイオン)/Liポリマーバッテリを電源として、3.3V~5Vの範囲で任意の電圧を出力することができます。

Figure 2. Working from Figure 1b, a current-sense amplifier such as the MAX9938H lowers the power losses in the current-sensing resistor to just a few milliwatts vs. hundreds of milliwatts, or more, for the previous schemes in Figure 1.
図2. 図1bにMAX9938Hなどの電流検出アンプが追加された回路で、電流検出抵抗による電力損失を小さくすることができ、図1に示す回路では電力損失が数百ミリワット以上となるのに対し、この回路では電力損失を数ミリワットに抑えることができます。

MAX8815Aには、低電力モードと、重負荷に使用する固定周波数の強制PWMモードという2種類の動作モードがあります。低電力モードでは自己消費電流がわずか30µAに抑えられ、無負荷や軽負荷において必要となる場合にのみスイッチング動作を行います。低電力モードは軽負荷で最高の効率を実現し、電力消費の無駄を減らし、バッテリの消耗を抑えることができます。

もう1つのモードはもっと大きな負荷(90mA以上程度)に対応したもので、固定周波数による強制PWM動作となります。この場合、どのような負荷に対しても一定の周波数でスイッチングが行われます。このモードはノイズのフィルタリングがしやすく出力リップルを低く抑えることができますが、消費電力は大きくなります。

このアプリケーションでは、MAX8815Aを高出力の固定PWMモードとし、シャットダウン端子で駆動のオン/オフを行います。シャットダウンモードにするとMAX8815Aの消費電流が100nAに抑えられ、バッテリの動作寿命や充電間隔を延長することができます。

MAX8815Aによるコンバータ部のほか、電流検出アンプMAX9938Hは電流を制御しLEDへの電流を1Aに維持します。このアンプは100V/Vのゲインとなるように入力にゲイン設定抵抗を内蔵しています。また、VOSが500µV以下(max)、利得誤差が±5%以下(max)と高精度であるという特長もあります。MAX9938Hの消費電流は、休止状態で1µAとごくわずかです。なお、並列にチップ抵抗を入れて調整するなどしてシャント抵抗(銅トレースが利用可能)の値を変化させれば出力電流の値を変えることができます。

この設計アプローチでは、5つのコンポーネントを使用するソリューションを紹介しました。レギュレータ部と制御ループの両方における電力損失を最小限に抑えることによって、バッテリの動作寿命を最大化することができます。なお、MAX8815AおよびMAX9938Hのサンプルと評価キットが提供されています。



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