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アプリケーションノート 4349

Li+ (リチウムイオン)バッテリをリバース充電から保護するDS2726設計

筆者:Kristopher D Chelette

要約:このアプリケーションノートではDS2726 Li+プロテクタが負電圧に耐えて、リバース充電からバッテッリーを守る簡単な設計改良方法を紹介します。

はじめに

リバース(極性が逆)充電接続によって、DS2726 Li+保護回路が壊れることがあります。デバイスの端子の中には負電圧に対して敏感なものもあり、動作不安定な要因となります。DS2726のハイサイドPチャネルFETはターンオフになりますが、DS2726のいくつかのピンは、発生する負電圧に持ちこたえることができません。このアプリケーションノートではこれらのピンにショットキーダイオードを追加して電圧をクランプする方法、または、各ピンの抵抗を増やすことによって電流および消費電力を制限する方法について検討します。この簡単な設計改良により、DS2726はリバース充電に耐えられるようになります。

設計改良

全ての部品のリファレンスは図1の回路図を参照して下さい。

PKPピンの保護

PKPはリバース充電電圧に最もさらされるピンです。通常のアプリケーション回路では、このピンは過電流時にインダクティブ成分によってピンがグランド電位以下になるのを抑制するためにショットキーダイオードを内蔵しています。唯一必要な対策としては、PKPの抵抗を増加してショットキーダイオードを流れる電流を制限することです。

10セルスタックは42Vチャージャを用います。
60VのショットキーダイオードのVfは0.45Vです。
RPKPによる電圧降下は-42V - (-0.45V) = -41.55V
250mWの抵抗を使用すると仮定すると以下のとおりです。
250mW = (-41.55V)²/RPKP
RPKP = 6.905kΩ

バリスタを使用してCC FETを保護する

負の充電電圧にさらされる次のピンはCCピンです。通常動作ではCCはチャージコントロールFETのゲートをPKPピンの電圧までドライブし、FETをオフにします。CCがPKPより約10V低いときにFETをオンします。PKPピンは、-0.45Vにクランプされるため、CCはチャージFETをオンにすることができません。その上、チャージコントロールFETはゲートソース電圧の規格が±20Vとなっています。従ってバリスタV2をチャージコントロールFETのゲートとソース間に用いることで、CC FETをダメージから守ります。V2なしのゲートソース電圧は概ね-42Vなので、FETの規格を超えてしまいます。

バリスタは16Vでオンしてゲートソース電圧をクランプします。
CC FETのゲート電圧は-42V + 16V = -26Vとなります。
CCの抵抗による電圧降下は-26V - (-0.45V) = -25.55Vです。
250mWの抵抗を使用すると仮定すると以下のとおりです。
250mW = (-25.55V)²/RCC
RCC = 1.857kΩ
CCとPKPに大きな抵抗を使用すると、チャージコントロールFETのターンオン/ターンオフ時間が増加してしまいます。これはFETがターンオンする際に線形動作領域に長く留まっていることになります。しかしながら、チャージャによって電流値が制限されているため、この状態は問題にはなりません。

SNSピンのクランプ

CC FETがオフのときでもPK+の負電圧によってボディダイオードがオンになっています。この状態ではSNSに負電圧がかかってしまいますのでショットキーダイオードによるクランプが必要となります。

プロテクションFETのドレインの電圧は-42V + 0.6V = -41.4Vとなります。
SNSの電圧は-0.45Vでクランプされます。
SNS抵抗による電圧降下は-41.4V - (-0.45V) = -39.95Vです。
250mWの抵抗を使用すると仮定すると以下のとおりです。
250mW = (-39.95V)²/RCC
RCC = 6.384kΩ
SNSピンのコンパレータに約1µAの電流が流れるため
1µA × 6.384kΩ = 6.384mV
過電流トリップポイントに概ね6.4mVの誤差が生じることになります。高電力の抵抗を使用するのであれば、抵抗値を下げることができるため誤差を減らすことが可能です。

注:SNSのRCのフィルタ時定数は抵抗値の増加によって変わります。抵抗値を変えるのであればキャパシタの容量を変更することによって時定数の値を元通りにすることができます。SNSの時定数はRDOCとRSCの時定数に合わせておくことが必要です。これらのピンの時定数が異なる場合には過電流トリップポイントにさらに誤差を生じます。

Figure 1. Modified typical application so the DS2726 passes a reverse charger connection.
図1. DS2776のリバース接続充電器の標準的なアプリケーションの改良

まとめ

DS2776 Li+バッテリプロテクタはリバース充電でもバッテリを保護します。設計にはいくつかのトレードオフがありますが、全体としてプロテクタの動作に問題となる程のものではありません。このアプリケーションノートでは抵抗値の計算の際、抵抗の消費電力を250mWと仮定しました。より高電力の抵抗を使うことによって抵抗値を下げることが可能です。抵抗値を下げることにより、過電流スレッショルドのオフセット誤差およびCCのターンオン/ターンオフ時間の遅れの両方を低減させることができます。ただし、ショットキーダイオードに流れる電流が規格を超えないように注意して下さい。


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(PDF, 292kB)
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