Ericsson Mobile Communications AB (ルンド、スウェーデン)は、1994年に携帯電話とその周辺付属品との間の、低電力で低コストの無線インタフェースの実現可能性についての調査研究に着手しました¹。無線インタフェースの目的は、携帯電話とPC (personal-computer:パーソナルコンピュータ)カードやヘッドセットと間のケーブルをなくすことでした。当初は、このリンクはマルチコミュニケータ(MC)リンクと呼ばれていました。新しいワイヤレスリンクの研究が進むにつれ、どのような種類のアプリケーションでも短距離無線リンクを使用できることが明らかになりました。安価な短距離無線技術により、ポータブル機器間の通信が低コストで実現可能になるのです。しかし、このシステムを成功させるためには、相応する業界のサポートが必要でした。Ericssonは、1997年にこの技術への関心を高める目的で他のポータブル機器の製造業者との交渉を開始し、1998年には携帯電話とコンピュータ業界の企業(Ericsson、Nokia®、Intel®、Toshiba® (東芝)、およびIBM®)からなるSIG (special interest group:特別研究グループ)を創設しました。この団体は、エアインタフェースとシステムソフトウェアのデファクトスタンダード(事実上の業界標準)の確立、およびこの技術の促進を目的として結成されました。このSIGは、1998年5月に新しいワイヤレス接続ソリューションを公表しました。SIGはこの短距離ワイヤレス接続ソリューションを10世紀にデンマークを統一した王の名前にちなんで「Bluetooth」と命名しました。
このソリューションのもう1つの欠点は、かなり広いPCB (printed-circuit-board:プリント回路基板)面積が必要になるということです。ほとんどの場合、Bluetooth無線の実装は、モジュールなどの狭いスペースに収める必要があります。RFモジュール全体が占める実装面積は、おそらく10mm x 14mm程度の小さなものになると思われます5。図3の回路だけで、この面積を使い果たす可能性があります。また、PA用の大きなプラスチックパッケージ、外付マッチング、およびディスクリートの電力検出と制御回路を組み合わせると、最小占有面積は制限されます。
明らかに、MAX2240 PAの最も最新の形状は、チップスケールパッケージ(CSP)の使用です。このパッケージは、ICのダイレベルパッケージ技術であり、チップがまだ生ウェハーの状態のときに、特別な後処理手順を用いてハンダバンプをICのボンディングパッドに付けるものです。バンプは0.5mmの標準リードピッチでグリッドアレイ状に配置されます。MAX2240のグリッドは、3 x 3アレイの9個のハンダバンプで、チップ/ダイの正味の大きさは、1.56mm x 1.56mmという超小型です(UCSP™パッケージ)。ハンダボールを接着したら、ウェハーを切断し、ICをダイの形にします。ダイの形にすると、通常の表面実装素子と同様に、チップをPCBに直接実装することができます。この素子をパッドレイアウト上に配置し、IRハンダでPCB上の他の部品とともにリフローすることで、PCBにチップをそのまま実装できます。このチップスケールの素子は、テープとリールで出荷されており、他の表面実装素子と同じです。ダイのA1ピンを明示するための指標マークがダイの裏面に配置されています。CSP技術の使用により、業界最小のPA IC製品が開発されたことにより、携帯電話、ラップトップコンピュータ、PDA (personal digital assistant:携帯情報端末)、およびその他のポータブル機器へのBluetoothクラス1の組み込みが促進されています。
伝統的なPAソリューションとMAX2240のアプリケーションに必要なPCB面積の一次推定では、ソリューションの占有面積において大きな違いを示しています。伝統的なPA手法では、図3で示した例を実装するのに約10mm x 14mm (140mm²)のPCBスペースが必要です。これに対してMAX2240に必要な占有面積は、約4mm x 8mm (32mm²)であり、伝統的な手法の4分の1です。この小型サイズにより、MAX2240はモジュールへの組み込みに理想的なソリューションとなっています。
参考資料
Jaap Haartsen, "Bluetooth—The Universal Radio Interface For Wireless Connectivity," Ericsson Review, No. 3, 1998.
Specification of the Bluetooth System, Volume 1.0B, November 29, 1999.
Hans Eriksson and Raymond W. Waugh, "A Temperature Compensated Linear Diode Detector," RF Design, July 2000, pp. 40-44.
Bluetooth Developer's Conference, December 1999.
Ericsson PBA 313 01/2 Bluetooth Radio Module.
この記事と同じ内容が「Wireless Systems Design」の2000年7月号に掲載されています。
BluetoothはBluetooth Sig, Inc.の登録商標です。
EricssonはTelefonaktiebolaget LM Ericsson Corporation Swedenの登録商標です。
IBMはInternational Business Machines Corporationの登録商標です。
IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの登録サービスマークです。
IntelはIntel Corporationの登録商標です。
NokiaはNokia Corporationの登録商標です。
ToshibaはKabushiki Kaisha Toshiba DBA Toshiba Corporationの登録商標です。
UCSPはMaxim Integrated Products, Inc.の商標です。