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アプリケーションノート 902

WCDMA用に190MHz IFで動作するMAX2309/MAX2312

要約:このアプリケーションノートでは、190MHzのIFを用いたWCDMAシステムでMAX2309を使用した場合のアプリケーションデータについて説明します。MAX2309は110dBの利得制御範囲を備え、2.7Vで動作します。28ピンTSSOPパッケージのMAX2312と28ピンQFNパッケージのMAX2309を比較します。利得制御データ、IIP3データ、および位相ノイズデータについて示します。また、復調器の位相オフセットと振幅データを示します。さらにIF VGA入力インピーダンスについても説明し、テストのセットアップを記した回路図を示します。

追加情報 このアプリケーションノートでは、WCDMA受信経路アプリケーションにおいてMAX2309を190MHz IFで使用した場合のアプリケーションデータについて説明します。

MAX2309の概要

MAX2309は、CDMAとWCDMAセルラ電話機用に設計されたIF直交復調器です。信号経路は、可変利得アンプ(VGA)とI/Q復調器で構成されています。このデバイスは、+2.7Vでの動作が保証され、内蔵VCOとPLLシンセサイザ、110dB以上の可変利得範囲、及び高IF入力ダイナミックレンジ(35dBの利得で-33dBmのIIP3、-5dBの利得で+1.7dBmのIIP3)を備えています。

MAX2309はシングルIF及びデュアルIF復調器のMAX2310シリーズの1つです。これは28ピンQFN (5 x 5mm)パッケージに内蔵され、その先行モデルである、28ピンTSSOPパッケージで提供されるMAX2312と同じダイを使用しています。ベースバンド、RF、及びIFの性能は、この2つのパッケージ間で同じ値として決定されています。

MAX2309/MAX2312 IF LOシンセサイザの基準分周器とRF分周器は、3線シリアルバスを通じて完全にプログラム可能で、どのような共通の基準周波数とIF周波数を使用したシステムアーキテクチャも可能にします。差動ベースバンドのI/Q出力は、低帯域と広帯域の両方のCDMAシステムに適合するだけの帯域幅を備え、2.75Vの電源電圧で最大2.5Vp-pの出力レベルを提供します。

MAX2309とMAX2312の比較

MAX2309とMAX2312は同種類のダイを使用しているため、その動作機能や特性も同じです。オリジナルの28ピンTSSOPから28ピンQFNのMAX2309へのパッケージングの寄生変化を注意深く調べましたが、VCO同調タンク、IF入力インピーダンス、またはコモンモードのアイソレーションについて実質的な違いは見られませんでした。これは主に、VCOタンク部品とIF入力マッチング部品の実値が、リードフレームとボンディングワイヤの寄生よりもはるかに大きいためです。付随する寄生リアクタンスは、実質的に2つのパッケージ間で変化はなく(リード当たりおおよそ1nH/0.5pF)、回路に与える影響は最小限です。パッケージが小さくなったため、ボードスペースが50%も節約されています。

MAX2309のピン配列

図1. 28ピンQFN (5mm x 5mm)
図1. 28ピンQFN (5mm x 5mm)

MAX2309の性能測定

測定の大部分は、MAX2312を使用して実行しました。MAX2309には、このアプリケーションノートの執筆時点では専用のEVボードがなかったため、主要な電気動作特性は、マキシムのCDMA参照設計V2.0で確認しました。ここでは、183.6MHzのIFを使用しました。システム条件とアプリケーション固有の特定のパラメータを組み合わせて測定を実行しました。

表1. 利得の測定
Pin (dBm) Vin_RMS (mV) Vagc (V) Differential
Vop-p (Q) (mV)
Gain (dB)
-5 397.63536 1.21400 50 -27.04
-10 223.60680 1.24900 50 -22.04
-15 125.74334 1.28800 50 -17.04
-20 70.71068 1.32800 50 -12.04
-25 39.76354 1.36800 50 -7.04
-30 22.36068 1.40000 50 -2.04
-35 12.57433 1.43600 50 2.96
-40 7.07107 1.47400 50 7.96
-45 3.97635 1.51200 50 12.96
-50 2.23607 1.55000 50 17.96
-55 1.25743 1.59100 50 22.96
-60 0.70711 1.64100 50 27.96
-70 0.22361 1.75200 50 37.96
-80 0.07071 1.86400 50 47.96
-90 0.02236 1.98300 50 57.96
-100 0.00707 2.10000 50 67.96

表2. IIP3の測定
Pin/Tone (dBm) Pin Total (dBm) Vin_RMS (mV) Vagc (V) Differential
Vop-p (Q) (mV)
Gain (dB) IIP3 (dBm)
-15 -12.0 177.6172 1.246 50 -20.04 1.45
-30 -27.0 31.5853 1.355 50 -5.04 -2.6
-15 -12.0 177.6172 1.327 150 -10.50 -4.67
-30 -27.0 31.5853 1.43 150 4.50 -6.4
-60 -57 0.9988 1.684 150 34.5 -29.73
-15 -12 177.6172 1.348 200 -8 -5.75
-30 -27 31.5853 1.444 200 7 -7.08
-60 -57 0.9988 1.713 200 37 -32.08

図2. MAX2312の電圧利得対VGC (一定Vo = 50mVp-p)
図2. MAX2312の電圧利得対VGC (一定Vo = 50mVp-p)

図3. MAX2309/MAX2312のIIP3対電圧利得
図3. MAX2309/MAX2312のIIP3対電圧利得

図4. 位相ノイズ対周波数オフセット
図4. 位相ノイズ対周波数オフセット

図5. MAX2309/MAX2312 VCOタンク回路とループフィルタ
図5. MAX2309/MAX2312 VCOタンク回路とループフィルタ

ベースバンドのI/Q出力回路

MAX2309/MAX2312は、差動ベースバンドのI/Q出力用にエミッタホロワ出力バッファを備えた伝統的なギルバートセルを使用します。図6には、差動出力ピン用のOUTNとOUTPがQ8とQ7によって駆動されていることが示されています。また、INNとINPが可変利得IFアンプからの内部差動入力であること、さらにLONとLOPがオンチップIF VCOからの内部差動局所発振器の入力であることも示されています。

約3.0VDCのVCCを用いた場合、Q7とQ8での休止出力電圧は、250µAのバイアス電流によって3.1kΩのコレクタ負荷を通じて決定され(約0.75Vの降下)、Vbeの降下(約0.7V)と合計されます。

DCソースの出力能力は約7~10mAで接地短絡されることとなり、シンクは約250µAでVCCにプルアップされます。各ピンの出力抵抗は約120Ωとし、この結果、差動駆動インピーダンスは約240Ωになります。

図6を使用して、以下の許容誤差データを確認します。

VOUTの一般的な値:


VCC = 2.85で無負荷時のいずれのI/Q出力においても、約1.35VOUT DCが測定されるはずです。これは、3.1kのコレクタ負荷の両端での0.77ボルトのVCC降下と、約0.73ボルトDCのQ7/8Vbeの降下によるものです。

無負荷時のVOUT変動値:

  • プロセス変動による±60mV (25℃の一定温度)
  • 温度範囲による±90mV (特定の公称プロセスにて)
  • すべての温度変動とプロセス変動を加えた場合±150mV (ワーストケースでの限界値)

250µAの出力電流ソース(より正確には「シンク」)での変動値:

  • プロセス変動による204~317µA (25℃の一定温度)
  • 温度範囲による168~350µA (特定の公称プロセスにて)
  • すべての温度変動とプロセス変動を加えた場合138~459µA (ワーストケースでの限界値)
図6. MAX2309/MAX2312ベースバンドのI/Q出力回路
図6. MAX2309/MAX2312ベースバンドのI/Q出力回路

表3. I/Q振幅と位相不平衡(Flo = 190MHzを使用)
Frequency (MHz) I-&-Q Phase Offset Phase (deg) I-&-Q Phase |Δ| from 90 deg (deg) I-&-Q Amplitude Imbalance (dB)
185.0 89.93 0.07 0.12
186.0 90.20 0.20 0.08
187.0 90.45 0.45 0.09
188.0 90.24 0.24 0.09
189.0 90.14 0.14 0.09
189.9 90.26 0.26 0.13
190.1 89.80 0.20 0.20
191.0 90.20 0.20 0.04
192.0 90.40 0.40 0.09
193.0 90.40 0.40 0.10
194.0 90.46 0.46 0.09
195.0 90.72 0.72 0.13

入力インピーダンスZinの概略モデル

IF VGAの入力インピーダンスはハイインピーダンスであるため、50ΩのSパラメータテストセットを使用した測定は極めて困難になります。目的の操作を行うため、差動入力間に外付けの並列抵抗を使用して、広帯域のIFマッチングを形成します。SAWフィルタの場合、これは一般的に300~600Ωになります。低IFと中IF用の等価[Rpar||Cpar]入力ネットワークについては、以下の概略値が実験で求められました。

表4. 概略値
IF Frequency (MHz) Rin Parallel (kΩ) Cin Parallel (pF)
85 2.02 0.45
90 2.09 0.42
95 2.08 0.44
100 2.00 0.42
105 2.10 0.42
110 1.98 0.42
115 2.10 0.39
120 2.01 0.42
125 1.98 0.39
130 1.95 0.40
135 1.91 0.39
140 2.00 0.41
145 1.95 0.38
150 2.02 0.40
155 2.01 0.38
160 2.03 0.38
165 1.97 0.39
170 1.85 0.39
175 2.06 0.39
180 2.02 0.41
185 1.93 0.40
190 1.95 0.38
195 1.93 0.42
200 1.95 0.40
205 1.88 0.41
210 1.99 0.39
215 1.92 0.41
220 1.98 0.42
225 1.93 0.41
230 1.82 0.40
235 1.95 0.40
240 1.79 0.42
245 1.83 0.42
250 1.81 0.42
255 1.78 0.42
260 1.85 0.41
265 1.89 0.43
270 1.84 0.42
275 1.78 0.42
280 1.84 0.44
285 1.84 0.43
290 1.76 0.42
295 1.72 0.44
300 1.89 0.43

測定のセットアップ

図7. MAX2309/MAX2312利得測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)
図7. MAX2309/MAX2312利得測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)

図8. MAX2309/MAX2312 IIP測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)
図8. MAX2309/MAX2312 IIP測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)

図9. MAX2309/MAX2312 I/Q振幅と位相不平衡の測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)
図9. MAX2309/MAX2312 I/Q振幅と位相不平衡の測定のセットアップ(WCDMAアプリケーション用)

図10. 190MHz IF用の部品表
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(PDF, 12K)
図10. 190MHz IF用の部品表


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