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アプリケーションノート 936

充電前にバッテリのプレコンディショニングを行うアドオン回路

NiCdバッテリのアノード内のカドミウム微結晶は、放置されるとゆっくり変化します。金属中の微小な結晶が大きな結晶となってバッテリの抵抗を増加させ、端子電圧を低下させます。部分的な放電を繰り返すとカドミウムの下位層は影響されないため、この現象が目立ってきます。しかし、時折完全放電すると、カドミウムアノード全体が水酸化カドミウムに変化し、その結果アノードは(充電中に)望ましい微結晶状態に戻ります。

このように、完全放電によって端子電圧の低下を防ぐことができます(「メモリ効果」という不適切な表現で呼ばれることがあります)。図1の回路は、充電サイクルの開始前にバッテリを(1V/セルまで)完全に放電することによって「プレコンディショニング」を行います。プレコンディショナは点線内です(その他のバッテリ充電ICと併用することも、スタンドアロン回路として使用することもできます)。他の回路はIC1を使った通常のNiCdバッテリ充電器です。

図1. このNiCdバッテリ充電器用の追加プレコンディショニング回路は、充電前にバッテリを完全放電することによっていわゆる「メモリ効果」を防止します。
図1. このNiCdバッテリ充電器用の追加プレコンディショニング回路は、充電前にバッテリを完全放電することによっていわゆる「メモリ効果」を防止します。

スイッチS1を瞬間的に押すことによりプレコンディショニングが開始されるまで、充電回路は通常動作です。5セルバッテリは、容量(C)が500mAhrで、R4によってIC1がC/2の急速充電レートに設定されます(250mAhrを2時間)。急速充電の後、この回路は約33mAのトリクル充電を行います。

S1を押すとQ3がターンオンし、それによりプレコンディショニング負荷Q2がターンオンしてバッテリの放電が開始されます。R9を流れる電流がシャントレギュレータIC2の制御電圧を生成します。2.5V以上(バッテリ5V以上)の値ではIC2がオン状態に留まり、電流をシンクするためS1がリリースされた時にQ3が保持されます。バッテリ電圧が5V (1V/セル)になるまで放電すると、IC2がターンオフして、プレコンディショニングサイクルが完了します。この回路は、完全充電状態のバッテリをプレコンディショニング(完全放電)するために10時間を要します。その後約2時間かけてバッテリを充電します。

このICは通常の場合、電源投入時またはバッテリ取り付け時に急速充電モードに入りますが、(安全対策として)バッテリ電圧が0.5V/セル以下の場合急速充電を開始/継続しません。プレコンディショニングサイクル中は、急速充電がディセーブルされることに注意してください。これはバッテリ検出端子(ピン2およびピン12)がQ2のVCE(SAT)でクランプされるためです。IC1は、プレコンディショニングサイクル中はトリクル充電状態を維持するため、R9の値を計算する時には33mAのトリクル電流を考慮に入れる必要があります。

図に示すように、R9が60Ωの場合5Vで83mAの電流が流れます。そのうち33mAはトリクル電流であるため、5Vではバッテリから50mAだけ流れ出します。(前述のように、この50mAが完全充電状態の500mAhrバッテリを約10時間で放電します。) 従って、別のセル数、プレコンディショニング時間またはトリクルレートに合せて回路を修正するときは、R9を計算する時にトリクル充電電流を考慮に入れる必要があります。

シャントレギュレータIC2は2.5Vのバンドギャップリファレンスを含んでいるため、本回路はセル数が3以上のアプリケーションにのみ適用できます。これよりセル数が少ない場合は、IC2の代わりにNPNトランジスタを使用し、R8/R7の分圧器が1個分のベースエミッタ電圧降下に相当する電圧になるように設定すれば適用できます(精度と温度性能がやや劣化します)。

同様のアーティクルが「Electronic Design」誌の1996年1月22日号に掲載されました。


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