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アプリケーションノート1891

UCSP−ウェハレベルチップスケールパッケージ

要約:マキシムのUCSP™チップスケールパッケージを紹介するための詳細な説明が提供されています。これには信頼性についてだけでなく、構造、テープ&リールパッケージング、PCBレイアウト、アセンブリおよびリフローについての詳細も含まれています。

はじめに

ウェハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)はCSPの一種で、アンダーフィル材を必要とせずに各半田ボールを通してプリント基板のパッドにチップのパッドを接合し、プリント基板に伏せた形で集積回路(IC)を実装することができます(図1)。この技術は、ボンドワイヤやインターポーザの接続がないため、他のボールグリッドアレイやリード線付、およびラミネートベースのCSPなどと異なります。WLCSPが持つ最大の特長は、ICとプリント基板間のインダクタンスが最小限に抑えられていることです。また、パッケージサイズの小型化や製造サイクルの短縮、熱伝導特性の向上などの利点もあります。マキシムのWLCSPは、UCSPとして商標化されています。

図1. 4 × 4 UCSPの底面
図1. 4 × 4 UCSPの底面

UCSPの構造

マキシムのUCSPは、シリコンウェハサブストレート上に直接作成します。まず、ウェハ表面にBCB (ベンゾシクロブテン)樹脂を塗布します。このフィルムにより、半田ボール接合による応力を緩和するとともに、ダイ表面における電気的絶縁になります。次に、ICボンディングパッドと電気的に接続できるようにBCBフィルムにビアをマスクで形成します。ビア上に、UBM (アンダーボールメタル)層を作ります。また、通常は、BCBフィルムをもう一層形成してソルダーマスクとし、半田ボールをリフローするときの位置と直径を定めます。半田ボールの標準的な材料は、63% Sn/37% Pbという錫と鉛の共晶半田です。図2にUCSPの断面構造を示します。

図2. 標準的なUCSPの断面
図2. 標準的なUCSPの断面

UCSPボールアレイは、一定のグリッドピッチを持つ長方形のグリッドを基本として構成されています。UCSPのボールアレイの行(ND)と列(NE)は、6 &8805; ND ≥ 2、及び6 ≥ NE ≥ 2という範囲で任意です。UCSPの基本的構成を表1に、標準的なサイズを表2に示します。表2で使用されている記号の意味は図3のとおりです。ボールの一部を省略することもできるので、表1に示した他にもさまざまなボールアレイが可能です。

表1. UCSP構成
Ball Array*
Die Size in X, mm [mils]
Die Size in Y, mm [mils]
2 × 2
1.0 [40]
1.0 [40]
3 × 2
1.5 [60]
1.0 [40]
3 × 3
1.5 [60]
1.5 [60]
4 × 3
2.0 [80]
1.5 [60]
4 × 4
2.0 [80]
2.0 [80]
5 × 4
2.5 [100]
2.0 [80]
5 × 5
2.5 [100]
2.5 [100]
6 × 5
3.0 [120]
2.5 [100]
6 × 6
3.0 [120]
3.0 [120]
*注:デバイスによっては、一部のボールが省略されたボールアレイとなっている場合があります。UCSPの詳細図面は、マキシムのパッケージ情報ディレクトリ(http://japan.maxim-ic.com/cgi-bin/packages)にあります。

表2. 標準的UCSPサイズ
Item
Millimeters
Inches
Ball Pitch e
0.50 BSC
0.0197 BSC
Ball Diameter b
0.355 ±0.025
0.014 ±0.001
Silicon Thickness A2
0.330 ±0.025
0.013 ±0.001
Ball Height A1
(before board attach)
0.293 ±0.0125
0.0115 ±0.0005
Total Package Height A
(before board attach)
0.623 ±0.040
0.0245 ±0.0016
Mounted Package Height
(depends on assembly parameters)
0.65 Typical
0.026 Typical
ND
Number of Rows in Ball Matrix
NE
Number of Columns in Ball Matrix
Array Offset SD
SD = 0 if ND is an odd number
or
SD = 0.25 [0.0098] if ND is an even number
Array Offset SE
SE = 0 if NE is an odd number
or
SE = 0.25 [0.0098] if NE is an even number
注:デバイスによっては、一部のボールが省略されたボールアレイとなっている場合があります。UCSPの詳細図面は、マキシムのパッケージ情報ディレクトリ(http://japan.maxim-ic.com/cgi-bin/packages)にあります。

図3. UCSPパッケージアウトライン図面で使用される記号の指示部分(最大の6 × 6の例)
図3. UCSPパッケージアウトライン図面で使用される記号の指示部分(最大の6 × 6の例)

UCSPキャリアテープ

マキシムのUCSPの出荷形態は、すべてテープ&リール(T&R)です。UCSPテープ&リール要件はEIA-481規格に基づいています。テープ&リールの標準構造を図4に、また、その主要寸法と可変範囲を表3に示します。

図4. UCSPキャリアテープの典型例
図4. UCSPキャリアテープの典型例

表3. UCSPテープ&リールの主要寸法と寸法可変範囲
Key Dimensions (millimeters)
Tape Size
D0
E1
P0
P2
T1 Max
G Min
R Min (See Note 2)
8mm
1.5
+0.10
-0.00
1.75 ±0.10
4.0 ±0.10
2.0 ±0.05
0.10
0.75
25
Variable Dimensions (millimeters)
Tape Size
E2 Min
F
W Max
P1 (See Note 4)
A0, B0
T
8mm
6.25
3.5 ±0.05
8.3
2.0 ±0.05
or
4.0 ±0.10
See Note 1
1.6mm max

表3の注記

  1. 図4のA0、B0、Tで規定されるくぼみは、デバイス周辺に十分なクリアランスを持ち、以下の条件を満足していなければなりません。
    • キャリアテープのいずれの表面からもデバイスが出っ張らないこと
    • トップカバーテープをはがしたあと、機械的な制約なしにデバイスをくぼみから上向きに取り出せること
    • デバイスの回転が最大±10°以内に収まること(図5参照)
  2. 半径R minは、機械的な曲げが可能な最小半径で、テープの材質・構造によって異なります。R minよりも大きな半径のリールハブを使ってください。半径R minまでは、デバイスやテープを痛めることなく、平行にデバイスが並べられたキャリアテープを流すことができます。テープフィーダや他のテープの取扱い、出荷、保管状態は、テープの曲げ半径が半径R min以下にならないように配慮してください。
  3. バーコードラベルを貼る場合には、スプロケットホール反対側のリール脇に貼ります。詳細はEIA-556を参照してください。
  4. P1を2.0mmとすると、テープフィーダによってはインデックスが狂うことがあります。
  5. テープ&リールキャリアでは、ボールが下向きになっています。また、A1ピンの位置はキャリアテープのポケット内で一定です。左上にA1ピンIDを示す印があります。詳細は、以下の図6を参照してください。
  6. カバーテープをはがすのに必要な力は、0.1N~1.0N (はかりで10g~100g)です。はがす方向はキャリアテープの移動と反対方向で、カバーテープとキャリアテープ上面のなす角が165度~180度になるようにしてください。カバーテープをキャリアテープからはがす速度は300mm ±10mm/分です。
図5. テープ&リールポケット内におけるUCSPの最大回転角
図5. テープ&リールポケット内におけるUCSPの最大回転角

図6. UCSPの向きとテープのフィード方向の関係
図6. UCSPの向きとテープのフィード方向の関係

プリント基板のレイアウト

UCSPの実装では、プリント基板のレイアウトが重要です。プリント基板(PCB)のレイアウトと構成によって、UCSP実装歩留まりやデバイス性能、半田接合の信頼性などが左右されます。UCSPに適したPCB製造仕様やランドパターンの設計ガイドラインは、リード(線)付きデバイス用やラミネートBGA用と異なる場合があります。

表面実装パッケージでは、以下の2種類のランドパターンが使われます(図7参照)。
  • ソルダーマスクデファインド(SMD)。パッドのソルダーマスク開口部のほうが、金属パッドよりも小さくなっています。基板を設計する時点では、金属パッドの形状コードと位置、公称サイズを定めます。実際のパッド開口部サイズは、ソルダーマスク形成装置によって決まります。通常、半田マスクは光画像形成型液状ソルダーマスク(LPI)が使用されます。
  • ノンソルダーマスクデファインド(NSMD)。金属パッドのほうが、ソルダーマスク開口部よりも小さくなっています。表面配線基板のNSMDパッドでは、基板配線の一部が半田付けのために露出してあります。
図7. ランドパッドのオプション:ソルダーマスクデファインド(SMD)とノンソルダーマスクデファインド(NSMD)
図7. ランドパッドのオプション:ソルダーマスクデファインド(SMD)とノンソルダーマスクデファインド(NSMD)

プリント基板の設計では、電力やグランド、信号ルーティングなどを考慮して、NSMDパッドとSMDパッドのいずれを使用するかを決めなければなりません。特殊なマイクロビアを採用すれば、表面配線は不要になりますが、より高度なプリント基板技術が必要になります。1つのランドパターンでは、1種類のUCSPパッドのみを使用します。パッドと接続トレースは対称的に配置し、半田の濡れ力をセンターオフしないようにします。

UCSPパッドタイプは、以下の点を考えて選びます。
  • SMDパッドで使用するソルダーマスクエッチングプロセスよりも、NSMDパッドで使用する銅エッチングプロセスのほうが細かい制御ができるという利点があります。
  • SMDパッドでは、ソルダーマスクが重なっている部分に応力が集中し、疲弊が激しい条件で半田接合部に割れが生じることがあります。
  • PCB製造ルールで定められた銅パターンとその間隔にもよりますが、NSMDパッドのほうがエスケープルーティングを配置しやすいことがあります。
  • SMDパッドよりもNSMDパッドのほうがソルダーマスク開口部が大きいため、UCSP端子を置くプロセスウィンドウが大きくなります。
  • SMDパッドのほうが銅トレースの幅が広いため、電源やグランドプレーンと低インダクタンスの接続が可能になります。
  • マキシムでは、NSMDパッドを使って温度サイクルテストを行っています。
通常、NSMD PCBレイアウトでは、初期銅箔厚を1/2オンスか1オンスとします。NSMDの円形銅パッドの直径は11 +0/-3mil、円形ソルダーマスク開口部は14 +1/-2milとします。半田の逃げを避けるため、NSMD銅パッドへの配線パターンは、線幅を銅パッド直径の半分以下とした信号トレースネック1本のみとします。トレース幅が最小で4milから5milの設計でこれは可能です。ランドパターン上にトレースネックを対称に配置し、半田の表面張力のアンバランスによりデバイス位置がずれないようにします。半田によるショートが発生しないように、隣接するパッド間の銅配線にはソルダーマスクをかける必要があります。ソルダーマスク開口部の寸法公差や表面銅配線層に対する位置決めは重要であり、プリント基板メーカごとに異なります。また、PCB製造ルールに従ったソルダーマスク幅(開口部の間隙)を確保し、ソルダーマスクの破断を防止します。

SMDを採用したPCBレイアウトでは、表面銅配線の厚みはそれほど重要ではありません。SMDソルダーマスク開口部は最大12milとし、半田接合部高さが低くなりすぎてUCSP半田接合部の信頼性を損なうことのないようにします。銅製ランドパッドの幅は、ソルダーマスクとの最低オーバラップと最小スペースに関するPCB製造ルールに従ったものとします。新しいPCB製造装置を使用する場合には、ソルダーマスクの事前評価を行い、ユーザアプリケーションに適したソルダーマスクの品質と半田接合部の信頼性が得られることを確認します。

ソルダーマスクのはがれを防止し、パッド近くのソルダーマスクエッジ下への半田の流入を最小限に抑えるためには、銅メッキスルーホール(SMOBC)の採用が有効です。半田メッキされた部分にソルダーマスクをかけるのは避けるべきです。不慮にソルダーマスクがメッキ部分に付着したり、また、リフローによる表面実装時に半田が融けてソルダーマスクの下にもぐりこんだりする危険性があるからです。

PCBランドパッドの金属表面の仕上げ方法により、実装の歩留まりと信頼性が左右されます。ランドパッド表面仕上げについては、以下のガイドラインに注意してください。
  • 銅パッドには、OSPコーティング(有機半田付け性保存コーティング)を施すべきです。OSPは、金メッキよりも低コストで、信頼性が非常に高い半田接合部を実現できます。
  • 銅/OSPのかわりに、無電解ニッケル/金メッキ浸漬を使うのもいいでしょう。この手法では、金メッキ厚が20マイクロインチ以下に抑えられるという特長があるからです。半田接合部が脆化し、信頼性が低下するのを避けるために、金メッキ厚は0.5ミクロン以下に抑える必要があります。
  • 金電気メッキ法は、銅/OSPコーティングや金浸漬法よりもさらに低コストかつ確立された技術ではありますが、メッキ厚が変動する危険があるため、使用すべきではありません。
  • UCSPには、HASL (ホットエアソルダーレベル)仕上げは不適当です。半田コーティングの量とプロファイルが細かく制御できないからです。
マキシムとしては、UCSPの実装に半田ペーストの使用を推奨します。PCBレイアウトデータベースの多くは、半田ペースト用ステンシルのガーバーデータを持っています。SMT (表面実装技術)のエンジニアは、半田ペースト開口部のレイアウトを検討し、表面実装用の半田ペースト印刷プロセスに適しているかどうかを判断します。半田ペースト開口部のレイアウトに着目すれば、PCB設計者は実装工程の歩留まりを最適化できます。2 × 2、3 × 2、3 × 3という小規模ボールアレイを持つ小型UCSPでは、半田ショートを防止するために、半田ペーストの塗布位置をUCSPボール位置から0.05mmオフセットし、ステンシル開口部ピッチを0.50mmから0.55mmに拡大、あるいは2 × 2なら0.60mmピッチまで拡大します(詳細は図8を参照)。ランドパッドとソルダーマスク開口部については、特に変更する必要はありません。ボールアレイサイズが大きいUCSPでは(4 × 3、4 × 4、5 × 4以上)、周辺部の半田ペースト開口部をオフセットするとよい場合があります。可能な場合には、内部の(周辺部でない)半田ペースト開口部の塗布位置を、ノードが省略されている部分に向けてオフセットするといいでしょう。

SMTプロセスフロー

UCSP表面実装プロセスフローの例とともに、半田ペースト印刷や部品実装、半田リフロー、UCSPのリワーク、梱包、出荷に関するガイドラインを示します。

入荷時UCSPテープアンドリールの検査

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V

プリント基板に半田ペースト印刷

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V

プリント基板にチップを実装

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V

半田のリフロー

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V

フラックス洗浄(必要な場合)

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V

半田接合部の検査

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V

梱包・出荷

半田ペースト印刷プロセス

半田ペースト印刷は、PCB実装歩留まりをもっとも大きく左右する重要なプロセスです。少なくとも、半田厚、パッドカバー率、半田付け用ランドパターンの位置決め精度は検査する必要があります。
  • 半田ペーストの選定:Sn63/Pb37の共晶合金で、半田ステンシル開口部に応じて、Type 3 (半田粒径が25~45ミクロン)あるいはType 4 (20~38ミクロン)を使用します。また、低ハロゲン(ハロゲン化合物含有量100ppm未満)、無洗浄のロジン/レジンフラックスであるROL0/REL0 (J-STD-004による呼称)を使用し、リフロー後の洗浄処理をなくすことを推奨します。
  • 半田ステンシル作成:電解研磨したステンレスの薄板をレーザーカットするか、ニッケルベースの金属電気鋳造によって作成します。ニッケル電気鋳造は高コストですが、微小開口部が作れるので半田ペースト塗布の再現性が高く、また、ステンシル厚を自由に設定できるという利点があります。ステンシル開口部を台形断面とすることにより、ステンシルからのペーストの切れをよくすることもできます。
  • 半田ステンシル開口部の設計:10以下のボールグリッドアレイ(2 × 2、3 × 2、3 × 3)を持つUCSPパッケージでは、可能な限り、開口部をランドパッドからオフセットし、半田ペーストの間隔をなるべく広くして、ブリッジの発生を抑えます。図8と表4に、ステンシル開口部の推奨設計パラメータを示します。
  • 開口比は、開口部面積を開口部横壁の面積で割った数値です。半田ペーストの印刷を高い再現性で行うためには、正方形(角の半径25ミクロン)対、円形開口部で開口比を0.66以上にすることが望まれます。開口比を大きくするためには、開口部を広げるか、ステンシル厚を薄くします。
図8. 2 × 2ボールグリッドアレイの開口部オフセットの例
図8. 2 × 2ボールグリッドアレイの開口部オフセットの例

表4. 半田ペースト用ステンシル開口部の推奨設計値
Parameters
4x3 through 6x6 Full Ball Arrays

4x3 through 6x6 Full Ball Arrays
2x2, 3x2, and 3x3 Full Ball Arrays and 4x3 through 6x6 Perimeter-Only Ball Arrays
2x2, 3x2, and 3x3 Full Ball Arrays and 4x3 through 6x6 Perimeter-Only Ball Arrays
Paste Rule Option
B
C
X & Y Paste Aperture Offset²
No offset
Inner apertures:
0 (no offset)

up to 0.030mm from ball centers
All apertures:
up to 0.05mm from ball centers
Paste Aperture Size
0.305mm square
0.305mm square
0.33mm square
Stencil Thickness
0.10mm
0.10mm
0.125mm
Area Ratio3
0.76
0.76
0.66
Comment
Thin stencil
Thin stencil
Tolerates lower placement accuracy

注:
  • マキシムでは、UCSP製品認定で半田ルールのOption Aを採用しています。
  • ボールグリッドアレイの中心(0,0) では、ペースト開口部をオフセットしません。
  • 開口比は、開口部面積を開口部横壁の面積で割った数値です。半田ペーストの印刷を高い再現性で行うためには、正方形(角の半径25ミクロン)対、円形開口部で開口比を0.66以上にすることが望まれます。

部品の搭載

一般的なファインピッチ自動ICピックアンドプレース機(位置決め誤差0.050mm以下、4sigma)によって、キャリアテープリールのポケットからUCSPを取り出し、PCBサブストレートに搭載します。ピックアンドプレース機のテープリールフィーダーは、固定ベース型でなければなりません。機械的なセンタリングデバイスは、UCSPパッケージを損傷させる危険性が高いので使わないでください。
  • ピックアンドプレース機の位置決め精度は、ビジョンアライメントがパッケージアウトラインセンタリングであるかボールグリッドアレイセンタリングであるかによって異なります。位置合わせ精度が下がってもいいから高速搭載したい場合にはパッケージアウトラインセンタリングを、搭載速度が低くても高精度の位置合わせが必要な場合にはボールグリッドアレイセンタリングを使用します。パッケージアウトラインの中心線X,Yは、ボールグリッドアレイ中心線から±0.035mmずれることがあります。
  • 半田リフロー時の濡れ力によってセルフアライメントが行われるためには、PCBパッド中心から半田ボールのオフセットを最大で±0.150mm (X方向もY方向も)以下とします。
  • UCSPパッケージに加えられる力を、5N以下に抑える必要があります。製品の半田ボールのZ方向高さは、半田ペースト厚の50%を超えてはなりません。
  • 位置決め精度の測定と確認は、2次元X線検査機によって行います。
  • ピックアンドプレース作業にはピックアップノズル/先端の適切なクリーニングも必要です。一定かつ確実にキャリアテープからダイをピックアップしPCB基板へダイを置くためです。以下のようなガイドラインが推奨されています:
    • ダイのピックアップ先端部をIPAまたはメタノールでピックアンドプレース作業中によくクリーニングしてください。最適なピックアップ間隔で数回ピックアンドプレース作業を行った後に先端部に異物がないか検査することでクリーニングの頻度を決定できます。
    • レーザーマーク領域に触れないようなピックアップ先端を使用してください。
    • より一定にダイの吸着を開放してプレース後の位置ずれを回避するためにより大きな吸着先端を使用してください。

半田ペーストリフロー

マキシムUCSPに対しては、よく使用されるさまざまな半田ペーストリフロープロセスが適用できます。窒素雰囲気リフロー半田はオプションです。
  • リフロー中の伝熱量を制御するため、ガス強制対流式リフロー炉を推奨します。
  • 公称ピーク温度は220℃ ±15℃、半田溶融温度以上の保持時間は60秒±15秒です。炉の温度変化は、インライン熱電対によって測定し、確認します。共晶半田によるUCSPのリフロー温度プロファイルの例を、図9に示します。
  • UCSPパッケージは、3回のリフローサイクルに耐えられます(ピーク温度+235℃)。
  • リフロー後の半田接合部検査では、2次元X線検査あるいはX線断層撮影によって、半田ショートや半田不足、半田欠落、半田オープンの検査を行うことを推奨します。
図9. 共晶半田によるUCSPのリフロー温度プロファイルの例
図9. 共晶半田によるUCSPのリフロー温度プロファイルの例

UCSPのリワーク

UCSPのリワークは、ボールグリッドアレイ(BGA)のリワークと同様に行います。
  • UCSPの取り外しでは、まず、下部予熱ヒータとホットエアガンを用い、リフロープロファイルと同じように局所加熱します。
  • ノズル温度が190℃に達したら、不具合の生じたUCSPをプラスチックピンセットか吸着ツールを使って取り外します。
  • PCBパッドの表面は、温度制御付き半田ごてで均しておきます。
  • ジェルなどの粘着性フラックスをパッドに塗布します。
  • 吸着型のピックアップツールを使って新しい部品をピックアップし、ビジョンアライメント位置決め治具を用いて正確な位置に置きます。
  • 取り外し時と同じ下部予熱ヒータとホットエアガンを用い、上記のリフロープロファイルで部品のリフローを行います。

梱包・出荷

UCSP実装基板を梱包・出荷する際には、UCSPパッケージに損傷を与えないように注意する必要があります。特に、UCSPにアンダーフィルが施されていない場合には、細心の注意が必要です。UCSPを搭載したPCBについて、梱包仕様を詳細に検討し、最適化してください。

マキシムUCSP信頼性データ

マキシムでは、エンドユーザアプリケーションと同様、UCSPパッケージにも環境ストレステストを行っています。コンポーネントレベル(ウェハレベル)のテストとしては、温度サイクルやプレッシャークッカー、高温保存寿命などのテストを行っています。また、ボードレベルのテストとして、UCSPをFR4ボードに搭載した状態で、高温動作寿命や高温/高湿バイアス、温度サイクルなどのテストを行っています。詳細なテスト条件は、表5のとおりです。

表5. UCSP製品信頼性テストの条件
コンポーネントレベルのテスト
信頼性テスト
テスト条件
温度サイクルテスト(TCT) -40℃~+125℃、1000サイクル、昇降温速度11℃/分、サイクル間休止15分、1サイクル/時間
プレッシャークッカーテスト(PPT) 121℃/100% (相対湿度)、15psig、バイアスなし、168時間
高温保存寿命テスト(HSTL) 150℃/1000時間、バイアスなし

ボードレベルのテスト(UCSPを0.035インチ厚FR4ボードに搭載)
信頼性テスト
テスト条件
高温動作寿命テスト(HTOL) 環境温度135℃、バイアスあり、1000時間
高温高湿バイアステスト(THB) 85℃、相対湿度85%、バイアスあり、1000時間
温度サイクルテスト(TCT) -40℃~+125℃、1000サイクル、昇降温速度11℃/分、サイクル間休止15分、1サイクル/時間

UCSP信頼性テスト結果

表6に、マキシムのUCSP製品に関するUCSP信頼性テストの結果を、3 × 3から5 × 5までのアレイサイズについて示します。

表6. UCSP製品信頼性テスト結果
コンポーネントレベルのテスト結果
UCSP Solder Ball Matrix
Part Type
TCT
PPT
HTSL
3 × 3
MAX1819EBL
0/89
0/89
0/89
3 × 3
MAX1819EBL
0/91
0/91
0/91
3 × 3
MAX2246EBL
0/126
0/118
3 × 3
MAX2246EBL
0/124
1/1101
0/105
3 × 4
MAX4685EBC
0/107
0/107
0/98
4 × 4
MAX2251EBE
0/86
0/80
0/102

ボードレベルのテスト結果(UCSPを0.035インチ厚FR4ボードに搭載)
UCSP Solder Ball Matrix
Part Type
HTOL
THB
TCT
3 × 3
MAX1819EBL
0/40
0/41
0/45
4 × 4
MAX2251EBE
0/45

表6の注記

  • 若干のリークが発生。原因は不明。1例の障害発生件数は許容範囲内で合格。
  • 若干のリークが発生。原因は不明。1例の障害発生は許容範囲内で合格。
  • IccとIshdnが上昇。原因は不明。1例の障害発生は許容範囲内で合格。

その他のUCSP信頼性テスト

マキシムでは、表5と表6以外にも、さまざまな条件でUCSPの信頼性テストを行っています。たとえば、高温動作寿命テストや温度・湿度バイアステスト、低温動作寿命テスト、低温保存寿命テスト、温度サイクルテストなどを行っています。表7は、3 × 3 UCSPパッケージに対するこれらの信頼性テストの結果です。テストは、UCSPを4層FR4ボードに搭載して行いました。このFR4ボードに対し、以下の条件でストレステストを行いました。表7に示すように、当社の3 × 3 UCSPパッケージは、すべてのテストに合格しました。

表7. その他のUCSP信頼性テスト(UCSPを0.062インチ厚FR4ボードに搭載)
Reliability Test
Test Conditions
Test Duration
Results
温度・湿度バイアステスト
20℃ to 60℃,
6 hrs High/6 hrs Low,
90 to 95% R.H., with bias
240 hrs
0/10
高温動作寿命テスト
+70℃ ambient, with bias
240 hrs
0/10
低温動作寿命テスト
-10℃, with bias
24 hrs
0/10
低温保存寿命テスト
-20℃, no bias
240 hrs
0/10
温度サイクルテスト
-35℃ to + 85℃, 15 min dwell
150 cycles
0/10

ボードレベルのUCSPパッケージ信頼性(半田接合部の信頼性)

前述の標準的な信頼性テスト以外に、マキシムでは、UCSPパッケージに関して半田接合部の信頼性テストも行っています。このテストでは、通常、温度サイクルテストを行います。マキシムでは、4層FR4ボード(0.062インチ厚)に搭載したデイジーチェーン構造のUCSPを使用します。ボードアセンブリ全体を、温度サイクルチャンバーに入れ、-40℃から+125℃ (1サイクル/時間、昇降温15分、休止15分)という温度プロファイルにさらします。毎日、抵抗値の測定を行います。抵抗測定値の上昇幅が10%を超えると、不良とみなします。テスト結果は以下のとおりです。

表8. マキシムUCSP半田接合部信頼性テストの結果
UCSP
MATRIX
TEST
CONDITION
CYCLES
200
500
1000
1152
1200
1248
1296
1346
6 × 6 UCSP Daisy Chain
(62 mils FR4)
-40℃ to + 125℃
0/50
0/50
0/50
0/50
0/50
0/50
0/50
0/50

表8に示すテスト結果から、マキシム製6 × 6 UCSPの半田ボール接合は、-40℃~+125℃ (1サイクル/時間)というサイクル条件で1346サイクルを障害なしでパスしたことがわかります。

UCSPはMaxim Integrated Products, Inc.の商標です。


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