ENGLISH 简体中文 日本語 한국어  


アプリケーションノート3912

12Vバックコンバータを含んだ受電機器向けの低コストで完全な電源ソリューション

要約:MAX5953Aは、Power over Ethernet (PoE)システムの受電機器(PD)向けに、シンプルかつ安価、それでいて完全な非絶縁電源ソリューションを提供します。この回路は、IEEESM 802.3af規格に準拠した検出および分類シグネチャに加えて、プログラマブルな突入電流制御、一体化されたパワースイッチ、PWMコントローラ、および一体化されたハイ/ローサイドスイッチをPDに提供します。バックステップダウンコンバータは、80%以上の変換効率を持ちながら、12Vで0.85Aを供給する能力を備えています。

図1の回路は、12Vで最大0.85Aを供給するDC-DCコンバータを備えた、完全な受電機器(PD)です。MAX5953Aにはハイサイドとローサイドの両方のスイッチングFETが含まれていますが、内蔵のローサイドFETを同期キャッチダイオードとして設定することはできません。そのため、バックコンバータはハイサイドのFETのみを使用します。IC内の電流制限回路は、ローサイドFETを流れる電流から得られる電圧降下情報を使って動作するため、この回路には自動的な電流制限機能は含まれていません。搭載されたヒューズF1が、起動時の短絡防護を提供します。

図1. 12V、0.85Aバックコンバータを備えたPDの回路図
図1. 12V、0.85Aバックコンバータを備えたPDの回路図

MAX5953Aは、次のような特徴を備えています。
  1. TVSダイオードD1が、過渡電圧スパイクおよび逆電圧アプリケーションからの保護を行います。
  2. この回路は、入力電圧に応じて、PD検出シグネチャ、PD分類、およびPDパワーの3つのモードで動作します。すべての電圧スレッショルドは、オプショナルなダイオードブリッジの有無を問わず動作し、IEEE 802.3af規格に準拠しています。
    • PD検出モードでは、給電機器(PSE)は1.4V~10.1Vの範囲の最小間隔1VでVINに2つの電圧を印加し、その2点での対応する電流の測定値を記録します。次にPSEはΔV/ΔI を計算し、25.5kΩのシグネチャ抵抗R1の存在を確認します。MAX5953Aの内部回路の大部分はオフであり、オフセット電流は10µA以下です。
    • 分類モードでは、PDが要求する消費電力に基づいてPSEがPDを分類します。抵抗R2 (255Ω)は、このPDがクラス3動作を行い、最大出力が6.49W~12.95WであることをPSEに伝えます。
    • VINがUVLOスレッショルドである38Vを超えると、MAX5953Aはパワーモードに入り、徐々に内蔵MOSFETをターンオンして突入電流を制限します。
  3. 低速ターンオンが完了し、VOUT - VEE = 1.23Vになると、PGOODがオープンドレインモードに移行します。ソフトスタート用コンデンサC15が内部の33µAプルアップ電流から充電し、DC-DCコンバータのソフトスタートを提供します。抵抗分圧器R6/R7と1.33VのDCUVLOスレッショルドによって、DC-DCコンバータはVOUT = -30V (V+に対して)になるまで動作を抑止されています。
  4. クラス3のパワー上限は12.95Wであるため、パワー変換効率80%のとき負荷は12Vで0.85Aまでに限られます。

ホットスワップ回路の説明

デフォルトのUVLOターンオン電圧は38.6V、デフォルトのターンオフ電圧は約30Vです。UVLOターンオンとターンオフは、V+とVEEの間に抵抗分圧器を接続し、タップをUVLOに接続することによって、12V~67Vの任意の値に設定することができます。

ひとたびUVLOに達すると、10µAの電流でFETのゲートに充電することによって、内蔵のFETが徐々にターンオンします。この低速ターンオンによって100µFのC6の充電電流が最小化されます。この回路において、OUTのホットスワップ出力電圧は910mV/msの速度で低下し、入力に電圧が印加された8ms後から降下が始まります。図2をご覧ください。

図2. ホットスワップターンオンと立上りタイミング
図2. ホットスワップターンオンと立上りタイミング
CH1 = VSS, CH2 = VOUT

PWM回路の説明

DC-DCコンバータは、内蔵のハイサイドFETと外付けのショットキーキャッチダイオードを使用する標準的なバックコンバータです。動作可能な入力範囲は30V (DCUVLOの抵抗分圧器で設定)から60Vです。この範囲が、最小2.5:1から最大5:1までのステップダウン率に対応します。結果のデューティサイクルは20%~40%です。スイッチング周波数はR4とC4によって532kHzに設定され、最小幅420nsのONパルスを提供して低いスイッチング損失を維持します。

OPTOにおけるフィードバック電圧がCSSの電圧より1.45V以上高くならないように制限し、かつ内部の33µA電流ソースによってCSSのコンデンサを充電するという、タイミング動作の組み合わせによってソフトスタートが提供されます。CSSは、最初はPGOODによってGNDにクランプされますが、OUTがVEEから1.2V以内になってホットスワップ機能が完了すると、PGOODは解放されます。この手順によって、起動時のフィードバック信号の緩やかな立上りが可能になり、デューティサイクルが徐々に増大して出力電圧オーバシュートを防ぎます。ソフトスタート機能は、起動時のOPTO端子のスロープに明瞭に現れており(図3)、高負荷時を図4に、低負荷時を図5に示すように、VOPTOが2Vに達した時点で立上りは動作状態になります。

図3. ソフトスタートのタイミング
図3. ソフトスタートのタイミング
CH1 = VOPTO, CH2 = VCSS; CSS = 470nF

図4. PWMの制御は、OPTOにおけるフィードバック電圧をRAMP電圧と比較することによって行われる。
図4. PWMの制御は、OPTOにおけるフィードバック電圧をRAMP電圧と比較することによって行われる。
CH1 = VOPTO, CH2 = VRAMP, ILOAD = 400mA

図5. 低電流負荷条件下での、PWM立上りとOPTOにおけるフィードバック電圧との比較。
図5. 低電流負荷条件下での、PWM立上りとOPTOにおけるフィードバック電圧との比較。
CH1 = VOPTO, CH2 = VRAMP, ILOAD = 50mA

コントローラは電圧モードで動作し、R3とC3で電圧フィードフォワード立上りが設定される。OPTOの信号がRAMPの電圧と比較される。

起動時の出力電圧オーバシュート

ソフトスタート用コンデンサ(CSS)の470nFという値は、図6に示すようにオーバシュートを1%以下に最小化します。図7に示すように、これより小さなCSSの値を使用しても、ターンオン時の出力電圧オーバシュートを制御する上では穏やかな効果しかありません(図7ではCSS = 100nFのときオーバシュートは7.7%になっています)。CSSの値が小さければより高速な起動が可能になりますが、ターンオン時の出力オーバシュートが増えるという犠牲が伴います。

図6. 起動時の出力電圧オーバシュート
図6. 起動時の出力電圧オーバシュート
CH1 = VOUT, CH2 = VCSS, CSS = 470nF, RLOAD = 30Ω (IOUT = 400mA at 12V), Overshoot ≈ 0

図7. 起動時の出力電圧オーバシュート
図7. 起動時の出力電圧オーバシュート
CSS = 100nF

電流制限

MAX5953にはハイサイドとローサイド両方のFETが集積化されていますが、ローサイドFETはトランス結合で絶縁されたフォワードまたはフライバック回路用です。ハイおよびローサイドFETは同時にオンになり、通常はローサイドFETでの電圧降下を検出することによって電流検出が提供されます。この回路ではローサイドFETを使用していないため、電流検出は行われません。短絡発生時にMAX5953とその内部パスFETをダメージから保護するために、ヒューズが設けられています。しかし、DC-DCコンバータが起動した後は、出力の短絡に対する保護という点で、ヒューズには限られた効果しかありません。これは、ヒューズの熱的タイムラグの間にパスデバイスが破損する可能性があるためです。

負荷トランジェント

図8は、1/2負荷と全負荷の間でスイッチングが行われるときの負荷トランジェントを示しています。固定の400mAの負荷が存在し、出力にパルス状の400mAの負荷が並列に追加されます。図8のように、負荷が0mAから400mAにパルス状に変化する場合、負荷トランジェントは著しく増大します。しかし、図9に示すように負荷トランジェントは低く、50mA以上のDC負荷電流とはほぼ無関係です。

図8. 1/2負荷から全負荷への負荷トランジェント
図8. 1/2負荷から全負荷への負荷トランジェント
CH1 = VOUT, CH2 = ΔIOUT, Transients = 1.2%, IOUT = 800mA400mA800mA

図9. ゼロから1/2全負荷への負荷トランジェント
図9. ゼロから1/2全負荷への負荷トランジェント
CH1 = VOUT, CH2 = ΔIOUT, Transients = 5% to 10%, IOUT = 400mA0mA400mA

変換効率

変換効率は、250mAの負荷電流における71%から、1Aの負荷電流における80.5%まで変化します。図10は、850mA全負荷時に効率が80%以上であることを示しています。

図10. VIN = 48Vにおける変換効率
図10. VIN = 48Vにおける変換効率

ループ安定性

電圧モードの制御ループでは、4.1kHzのLCOUT (L1, C9)共振に2つのポールが現れ、COUTの小さなESRにより4MHz以上にゼロが現れます。タイプ3のループ補償を使用して、LCOUTの共振より上でユニティゲイン帯域を可能にしています。LCOUTの共振が持つ2つのポールを補償するため、2.1kHz (R9、C14)と4.1kHz (R11、C15)に2つのゼロが設けられています。2つのポールは20kHz (R9, C13)と125kHz (R10, C15)に配置されています。図11に示した制御ループのクローズドループボード線図から、ユニティゲイン周波数19.4kHz、位相マージン59°であることが分かります。

図11. クローズドループボード線図
図11. クローズドループボード線図

アプリケーション

この単純なバックコンバータは、低コストなトランス結合の構造が、短絡条件下における回路故障の可能性よりも重要になるPDアプリケーションに最適です。

MAX5953Aの部品表
Qty Description Designator Part Number
1 Capacitor, ceramic, X7R, 68nF, 10%,100V, 1206 C1 TDK C3216X7R2A683K Vishay VJ1206Y683KXB
1 Capacitor, ceramic, X7R, 22µF, 20%,16V, 1812 C10 TDK C4532X7R1C226M
1 Capacitor, ceramic, X7R, 1µF, 10%, 16V, 0805 C11 TDK C2012X7R1A105K
1 Capacitor, ceramic, X7R, 2.2nF, 10%, 25V, 0805 C12 TDK C2012X7R2A222K Vishay VJ0805Y222KXX
1 Capacitor, ceramic, X7R, 15nF, 10%, 25V, 0805 C13 TDK C2012X7R2A153K Vishay VJ0805Y153KXX
1 Capacitor, ceramic, NPO, 150pF, 5%, 50V, 0603 C14 TDK C1608COG1H151J Vishay VJ0805Y151JXA
1 Capacitor, ceramic, X7R, 470nF, 10%, 50V, 0805 C15 TDK C2012X7R2A474K Vishay VJ0805Y474KXA
1 Capacitor, ceramic, X7R, 4.7nF, 10%, 25V, 0805 C2 TDK C2012X7R2A472K Vishay VJ0805Y472KXX
1 Capacitor, ceramic, NPO, 100pF, 5%, 50V, 0603 C3 TDK C1608COG1H101J Vishay VJ0805Y101JXA
1 Capacitor, ceramic, NPO, 39pF, 5%, 50V, 0603 C4 TDK C1608COG1H390J Vishay VJ0805Y390JXA
1 Capacitor, ceramic, X7R, 1µF, 10%, 100V, 1210 C5 TDK C3225X7R2A105M
1 Capacitor, al. elec., 100µF, 20%, 80V, SM 10 x 10mm C6 Panasonic EEV-FK1K1010
1 Capacitor, ceramic, X7R, 2.2µF, 20%, 100V, 1812 C7 TDK C4532X7R2A225M
1 Capacitor, ceramic, X7R, 220nF, 10%, 50V, 0805 C8 TDK C2012X7R1H224K Vishay VJ0805Y224KXX
1 Capacitor, ceramic, X7R, 2.2µF, 20%, 50V, 1210 C9 TDK C3225X7R1H225M
1 Diode, TVS, 64V, SMA D1 Vishay SMAJ64A
1 Diode Schottky 90V, 1A , SMB D2 ON Semi MBRS190T3
1 Fuse, 1/2A, 1206 F1 Littlefuse 0433.500
1 Inductor, 68µH, 1A, 10 x 10mm L1 TDK SLF10145T-680M1R2
1 Resistor, thin film, 25.5kΩ, 1%, 0805 R1  
1 Resistor, thin film, 14.3kΩ, 1%, 0805 R10  
1 Resistor, thin film, 4.99kΩ, 1%, 0805 R10  
1 Resistor, thin film, 402Ω, 1%, 0805 R11  
1 Resistor, thin film, 17.4kΩ, 1%, 0805 R12  
1 Resistor, thin film, 2.00kΩ, 1%, 0805 R13  
1 Resistor, thin film, 255Ω, 1%, 1206 R2  
1 Resistor, thin film, 210kΩ, 1%, 0805 R3  
1 Resistor, thin film, 28.0kΩ, 1%, 0805 R4  
1 Resistor, thin film, 3.9kΩ, 5%, 0805 R5  
1 Resistor, thin film, 316kΩ, 1%, 0805 R6  
1 Resistor, thin film, 14.7kΩ, 1%, 0805 R7  
2 Resistor, thin film, 10.0kΩ, 1%, 0805 R8 R9  
1 IC, Controller, Power device +DC-DC converter TQFN50P700X700X48-EP U1 MAX5953AUTM+
1 IC, Reference, 1.24V 1% SO-8 U2 TI TLV431ACDBV


フィードバックをお寄せください。
内容に満足されましたか、あるいは満足されていませんか?もっと良いページにできると思いますか?あるいは、単なるコメントでも結構です。フィードバックをお待ちしています。—マキシムはお客様からいただく訂正、提案を元に改善していきます。 このページを評価し、フィードバックを送信する。


自動アップデート
お客様が関心のある分野でアプリケーションノートが新規に掲載された際に自動通知Eメールの受信を希望する場合は、EE-Mail™にご登録ください。



その他の情報  APP 3912: Feb 29, 2008
MAX5922 Power over LAN用、+48V、シングルポートネットワークパワースイッチ フルデータシート
(PDF, 448kB)
無料
サンプル
MAX5940 IEEE 802.3af準拠、Power Over Ethernet用、PDインタフェースコントローラ フルデータシート
(PDF, 240kB)
無料
サンプル
MAX5941 IEEE 802.3af準拠、受電側機器(PD)用、Power over Ethernetインタフェース/PWMコントローラ フルデータシート
(PDF, 388kB)
無料
サンプル
MAX5945 Power over LAN用クワッドネットワークパワーコントローラ フルデータシート
(PDF, 656kB)
無料
サンプル
MAX5953A パワーMOSFET内蔵、IEEE 802.3af PDインタフェースおよびPWMコントローラ フルデータシート
(PDF, 376kB)
無料
サンプル
MAX5953B パワーMOSFET内蔵、IEEE 802.3af PDインタフェースおよびPWMコントローラ フルデータシート
(PDF, 376kB)
無料
サンプル
MAX5953C パワーMOSFET内蔵、IEEE 802.3af PDインタフェースおよびPWMコントローラ フルデータシート
(PDF, 376kB)
無料
サンプル
MAX5953D パワーMOSFET内蔵、IEEE 802.3af PDインタフェースおよびPWMコントローラ フルデータシート
(PDF, 376kB)
無料
サンプル
 

ダウンロード、PDFフォーマットダウンロード、PDFフォーマット (219kB)
 AN3912, AN 3912, APP3912, Appnote3912, Appnote 3912



         


      プライバシーポリシー    法的お知らせ

      Copyright © 2008 by Maxim Integrated Products, Dallas Semiconductor