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アプリケーションノート4063

フェムト基地局アプリケーションおよび無線方式に関するノート

要約:このアプリケーションノートは、3G携帯電話フェムト基地局の開発と配備について検討します。市場動向と、各住居地とのラストマイル接続の技術的課題が検討され、3Gフェムト基地局が非常に優れたソリューションとして提案されます。マキシムの3GPP TS25.104準拠の無線ソリューションが提示されます。

フェムト基地局の配備の概要

3GPPに基づく第3世代携帯電話システムは、完全モバイルマルチメディア体験を提供するように設計されました。多くの場合、特に遠隔地や各居住地において、広範な普及が利用可能な受信状態によって制限されています。

1つのソリューションは、マクロノードBセルサイトをロードせずに、最大ユーザデータレートで家庭内のモビリティを提供する家庭内基地局です。これらの基地局は、「フェムト」パワーとして分類されます。
  • +45dBm:5kmまでの屋外セルサイトをカバーするマクロ基地局
  • +30dBm:0.5kmまでのキャンパスをカバーするピコ基地局
  • +15dBm:50mまでの屋内居住地をカバーするフェムト基地局
フェムト家庭内基地局は通常、居住地のDSLライン経由で利用可能なPSTN (公衆交換電話網)を通じてネットワークにアクセスします。ハンドセットは家庭内のフェムト局とのみ通信するため、ユーザのマクロセルの負荷は完全に軽減されます。

以下の各段落では、フェムト家庭内基地局の配備の原理を検討し、マキシムの無線ソリューションがこの技術にどのような重要な利点を提供しているかを示します。

携帯電話の受信範囲を改善する一般的な場合:他のソリューションとの比較

携帯電話システムは、ハンドセットのバッテリ寿命、ハンドセットのパワー計算、およびセルサイトのユーザロードのトレードオフに細心の注意を払って設計されています。さらに、携帯電話の規格は、ますます高性能化するモバイルDSPの利点を活用するために、絶えず進化しています。携帯電話キャリア各社は、この動向を活用して、自社の収益の増大と新規顧客の取込みを実現するために、さらに多くの高品質化したマルチメディアコンテンツを提供しています。最終的には、ユーザは「どこでも」モビリティから恩恵を受けています。たとえば、携帯電話の加入率は年間1億台を達成し、非常に合理化された汎用的な競合製品サプライチェーンが存在し、価格低下と性能向上を維持しています。

ブロードバンドワイヤレスと携帯電話のRFサービスの比較

この携帯電話開発の取り組みと並行し、広域ブロードバンドワイヤレスシステムの開発が進行しています。当初は、いわゆる「コーヒハウス」のWi-Fiを利用し、ユーザは特定のインターネット接続可能なレストラン近くに駐車するか、またはレストラン内にいるときに802.11インターネットアクセスが提供されまました。その後、いくつかの都市が、中心街にサービスを提供する実験的な都市内Wi-Fiアクセスポイントを構築しました。これらのモデルは非常に成功を収めたため、2004年には、「都市内ブロードバンド無線アクセス」サービスの構想のもとに、さらに高性能化した無線システムの802.16 WiMAX (およびKorean WiBro)が開始されました。

シングルキャリア変調の代わりにOFDMを使用することによって、これらのブロードバンド無線システムは、都市部のマルチパスを克服することができますが、4倍の送信パワーを必要とします。これは、WCDMA 3GPPのピーク-平均比(pk-avg)が5dBであるのに対し、OFDM 802.16dのピーク-平均比が約11dBとなるためです。Intel®は、WiMAXをフォームファクタが標準携帯電話ハンドセットの約6倍サイズ設定に規定されたUMPC(ウルトラモバイルPC)用のRF接続規格として擁護しました。そのため、UMPCケースは、WiMAXサービスに有効ですが、WiMAXには大型バッテリが必要なため、小型バッテリ内蔵の薄型/折り畳みハンドセット内に配備するのはそれほど容易ではありません。

タワービルドアウト

携帯電話とWiMAXの両方の配備に共通した1つのハードルは、タワービルドアウトと線路敷設権アクセスです。線路敷設権をリースするコストと「醜い」タワーを制限する都市規制は、両方のシステムが特定の場所に大体同じペースでビルドアウト可能であることを意味します。ただし、携帯電話キャリアは、ビルドアウトがWiMAXよりも約20年先行しているため、基地局タワーの受信範囲と新規ビルドアウトで明確な優位に立っています。

有線回線の固定居住地用サービスが適している場合

有線回線居住地用アクセスシステムは、固定居住地用WiMAXとじかに競合します。居住地用サービスは一般に、家庭までのファイバ(PON)、DSL電話回線、およびケーブルTVインターネットアクセスシステムを含みます。先進工業国では、これらのサービスは、最新式のネットワーク端末機器を備えた長い歴史を持つ基地設備から恩恵を受けています。PONは最新のエントリですが、ネットワークローカルエクスチェンジキャリア(LEC)はすでに線路敷設権を所有しているため、古い銅線回線の交換が必要なときに新しいファイバプラントのビルドアウトをスケジュールするだけで済みます。

フェムト基地局の配備の場合、これらのサービスは、次のセクションで詳述するように、無料の必須サービスです。

フェムト基地局の基本的な実装

図1は、ノードBマクロセル基地局を通じた従来の携帯電話接続とフェムト基地局の設置とを比較しています。

Figure 1. Traditional node-B macrocell cellular connection vs. femto base-station connection.
図1. 従来型ノードBマクロセル携帯電話接続vs.フェムト基地局接続

図1の左側のシナリオは、携帯電話ハンドセットから携帯電話タワーへの従来型ダイレクト接続です。ここでは、壁を通過するときの損失が比較的に低く、携帯電話用マクロ基地局とやや近距離にある木造住宅が示されています。

右側のシナリオは、アパートの室内にフェムト基地局が設置されたコンクリートの高層ビルを示しています。フェムト基地局へのネットワークの取り込みは、居住地用DSL回線を通じて行われます。このシナリオでは、集合住宅への信号が弱いことが示されています。フェムト局は、「個人専用の基地局」として機能し、マクロセルとは接続しません。

また、マクロセルや他のセル伝送を無視するフェムト基地局の能力が複数のベースバンドDSPプロバイダによって克服された重要な設計問題であることも付け加えられる必要があります。

フェムト基地局が克服する携帯電話システムの問題

容量制限の鍵

従来のマクロセル基地局は通常、ピーク負荷時間帯に全ユーザが通話を試みると通話容量が制限されてしまいます。このシステムは、統計的に設計され、トラフィックのキューイング理論を採用して平均時間持続する一定の通話量を処理します。したがって、長い通話はピーク負荷時の容量を制限します。

また、このセルサイトは、境界で稼働しているハンドセットにサービスを提供する必要がある場合も、マクロセルトランスミッタにパワーの増大を強制し、全通話に利用可能なダイナミックレンジの大部分を占有します。その結果、境界での携帯電話通話が容量を制限します。ダイナミックレンジが「独占」されるためです(図2を参照)。

Figure 2. Conceptual caller power occupancy for a macrocell transmitter.
図2. マクロセルトランスミッタの概念的な通話者のパワー占有率

これらの2つのファクタは、マクロセルサイト容量を制限するため、携帯電話キャリアの収益を制限し、最終的には、新規ユーザの取込みをスローダウンさせます。

DSL経由の家庭内基地局の場合

推定では、携帯通話数の約半分が家庭内からかけられており、多くのユーザがコンクリート構造の集合住宅内の受信の悪さに不満を抱いています。

図3は、2タイプの居住地内までのパス損失の推定値を示しています。大部分の3G携帯電話は、高信頼のIPデータサービスに得るために約-110dBm以上の受信トラフィックチャネルパワーを必要とします。このコンクリートの集合住宅の場合、受信感度は、ユーザがデータサービスを得ていないことを示しています。

Figure 3. Path loss into two types of residences.
図3. 2タイプの居住地までのパス損失

また一方で、DSLがヨーロッパで普及しつつあり、米国では非常に成長を遂げ、中国を含む環太平洋地域の大部分の地域で広く普及していることが見受けられます。新しいDSLモデムはこのサービスを融合することになります。

多くの米国および欧州の携帯電話ユーザは、コードレス電話(POTSまたはIP電話)、DSL/ケーブルモデムコンピュータインターネット、TVサービス、およびWi-Fiを自宅内に備えています。3G携帯電話キャリアは、これらのサービスと競合し、究極のマルチメディアサービスを提供しなければなりません。

図4は、フェムト基地局がどのように家庭内Wi-Fiアクセスポイントと共存し、コードレス電話に取って代わっているかを示しています。

Figure 4. Femto base-station coexistence with in-home Wi-Fi access point.
図4. フェムト基地局と家庭内Wi-Fiアクセスポイントとの共存

マキシムのフェムト基地局RFトランシーバチップセット

マキシムのV8.0フェムト基地局リファレンスデザインは、WCDMAバンドクラス1用のTS25.104要件に適合するように設計されました。このRFチップセットは、ベースバンドDSP/モデムへのシグマ-デルタビットストリームディジタルインタフェースを備えた2チップ構成のRFトランシーバで構成されます。このトランシーバは、下位レベルのLVDSインタフェースを使用し、チャネルフィルタリングがベースバンドDSP/モデム上で実行され、これによってソフトウェアによる再設定可能な無線が可能になります。

RFトランシーバセクション用の完全なリファレンスデザインが設計されています。このリファレンスは、レシーバIC内蔵のLNAを使用する送信帯域モニタモードをサポートしています。リファレンスボードの写真が図5に示されています。

Figure 5. Maxim femto base-station reference design.
図5. マキシムのフェムト基地局のリファレンスデザイン

UTRAバンド1フェムト基地局規格(3GPP TS25.104)に適合

フェムト基地局規格の主な要件が表1に示されています。WCDMAフェムト基地局の場合、レシーバとトランスミッタの両方のTS25.104ダイナミックレンジ要件に適合するのは、TS25.101準拠のハンドセット要件に適合するよりも10dB以上も厳しくなります。ただし、見込み生産量は、ハンドセットと同等の回路集積とBOMコストを要求します。そのため、このシステムは、低コストの高集積ハンドセットチップセット用に最適に設計される必要がありますが、(基地局に必要な)逆Tx/Rx帯域での優れた性能も備えている必要があります。

表1. TS25.104の主な要件
Uplink Requirements
Description Specification Condition
Frequency band 1920MHz to 1980MHz Band 1
Rx sensitivity -107dBm 12.2kbps data rate, BER shall not exceed 0.001%
Adjacent channel selectivity (ACS) -101dBm -38dBm, 5MHz offset WCDMA modulated interfering signal
Blocking (1900MHz to 2000MHz) -101dBm -30dBm (min), 10MHz offset WCDMA modulated interfering signal
Blocking (1MHz to 12,750MHz, except 1900MHz to 2000MHz) -101dBm -15dBm CW carrier
Intermodulation -101dBm -38dBm, 10Mhz offset CW signal and -38dBm, 20Mhz offset WCDMA signal
Downlink Requirements
Description Specification Condition
Frequency band 2110MHz to 2170MHz Band 1
Maximum output power Less than +24dBm
Adjacent channel leakage ratio (ACLR) -45dB/-50dB Offset frequency 5MHz/10MHz
Error vector magnitude 17.5%/12.5% QPSK/16QAM, RMS

このレシーバでは、たとえば、ACSの測定用に5MHzオフセットのインバンドブロッカが-38dBmに設定されています。これはハンドセットに必要な-52dBmブロッカに比べてはるかに厳しい数値です。同様に、チャネル選択度の測定用の10MHzオフセットのインバンドブロッカは、ハンドセット用の-56dBmに対し、-30dBmに設定されています。そのため、レシーバははるかに高いIIP2とIIP3性能を備えている必要があります。

同様に、フェムト基地局用のトランスミッタのリニアリティもハンドセット用よりもはるかに厳しい数値になります。WCDMAハンドセットの場合、ACPRは-33dBmに設定されているのに対し、TS25.104フェムト基地局の場合は-45dBmです。

システム性能の測定条件と分析

レシーバ感度は、RFチャネルの信号品質、およびDSPモデムセクションのベースバンド処理によって非常に影響を受けるシステム仕様です。最小信号レベル条件の下では、RFチャネル品質は、レシーバのNFで決定されるノイズ寄与によってのみ制限されます。

測定対象のレシーバ感度は、測定対象のシステムのNF (雑音指数)から計算されます。感度の計算の場合、(ベースバンド復調器で処理される) QPSK信号用の0.001%のBERに適合するための所要Eb/No は7.5dBです。この感度は、次のように計算することができます。

リファレンス感度 = KTB + NF + (Eb / No) - PG

ここで、各項目は以下を表します。
BW = 3.84MHzのチップレート
KTB = -174dBm/Hz + 10 log(3.84MHz) = -108.13dBm
PG(処理利得) = 拡散BWに対して12.2kbpsのビットレート = 10log(3.84MHz/12.2kbps) = 25dB

NFが10.5dBのとき、感度は次のように計算されます。
-108.13dBm + 10.5dB + 7.5dB - 25dB = -115.13dBm

ACSとブロッキング性能も同様に計算されます。システムのNFは、指定された干渉条件下で測定されます。この場合、NFは、干渉の影響から生成された追加のノイズのため、感度測定より悪くなります。

Tx性能は、TS25.141で規定されたテストモデル1 (TM1)信号を使用して測定されます。TM1信号は、高いピーク-平均比を持った現実的なトラフィックシナリオをシミュレーションしています。

最大パワーレベルは、3.84MHzのWCDMA帯域幅で測定されます。ACLRは、5MHzのオフセット位置で測定されます。この場合、送信ACLR性能は主として、外付けPA性能によって決定されます。

V8.0 UTRAバンド1フェムト基地局のリファレンスデザインの測定性能

表2. V8.0リファレンスデザインの測定性能
Uplink Requirements
Description Specification Maxim's Radio Performance
Frequency band 1920MHz to 1980MHz Band 1
Rx sensitivity -107dBm Exceeds
ACS -101dBm Exceeds
Blocking (1900MHz to 2000MHz) -101dBm Passes
Blocking (1MHz to 12,750MHz, except 1900MHz to 2000MHz) -101dBm Passes
Intermodulation -101dBm Passes
Downlink Requirements
Description Specification Measured Performance
Frequency band 2110MHz to 2170MHz Band 1
Maximum output power Less than +24dBm Passes
ACLR -45dB/-50dB Exceeds
Error vector magnitude 17.5%/12.5% Exceeds

Figure 6. TM1 64DPCH signal ACLR at +17dBm output power level.
図6. TM1 64DPCH信号ACLR (+17dBmの出力パワーレベル時)

Figure 7. TM1 64DPCH signal EVM at +17dBm output power level.
図7. TM1 64DPCH信号EVM (+17dBmの出力パワーレベル時)

結論

フェムト基地局は、居住地用携帯電話の利用者に大幅に向上したデータネットワーク体験を提供します。この回路設計は、厳格な基地局性能規格に適合しながら携帯電話ハンドセットと同等の低コストであることを要求されるため困難が伴います。マキシムのフェムト基地局チップセットは、3GPP TS25.104規格の主要要件に適合することに成功し、最も少ないBOM部品数を実現しています。

IntelはIntel Corporationの登録商標です。


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