4キャリアWCDMA基地局向けトランスミッタを実現する、超低ノイズ、高リニアリティ、2GHz、ゼロIF変調器
カリフォルニア州サニーベール ― 2005年8月15日 ― マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ(NASDAQ: MXIM)は、ワイヤレスインフラ向けに特別に設計された世界最小ノイズ、最高のリニアリティ、2GHz、ゼロIF変調器MAX2022を発表しました。RFからBITSまで実質上すべてのワイヤレス規格を網羅するマキシムの基地局用製品ポートフォリオは、急速な拡大を続けており、MAX2022はその1つとして追加された新製品です。
MAX2022は、2.5G/3G基地局向けトランシーバ用として設計されており、OIP3およびOIP2性能はそれぞれ23dBmと51dBm以上と高く、出力ノイズ密度は-173.2dBm/Hz以下と驚くほど低くなっています。較正されていない側波帯抑制定格は45.7dBcとなっており、ゼロ化されていないキャリアフィードスルーは-40.4dBmに制限されています。MAX2022は、-20.8dBmという高い最大出力パワーを提供し、ばらつきは非常に小さく、-40℃~+85℃で-0.005dB/℃となっています。出力パワーの平坦性も優れており0.32dBです。またキャリア当りのパワーは-27dBm、隣接チャネル漏洩電力(ACLR)は67dBなど、これらすべての優れた特長によって、真の4キャリアWCDMA/UMTSダイレクトコンバージョンアーキテクチャが可能となります。
MAX2022は、高いレベルのACLRとエラーベクターマグニチュード(EVM)トランスミッタ性能を維持するために、高いリニアリティと低いノイズ指数が必要不可欠となる1500MHz~2500MHz WCDMA、DCS/PCS/EDGE、cdma2000®、およびWiMAX(s)ワイヤレスインフラアプリケーションに最適です。WCDMAの場合、MAX2022は、1キャリア、2キャリア、および4キャリア動作で、それぞれ最大71dB、68dB、および67dBのピークACLRレベルを提供します。(キャリアパワーの関数としてのACLRと出力ノイズの完全な図については、図1を参照して下さい。)また、MAX2022は類似の競合ソリューションに比べて、OP1dBリニアリティが3dB優れ、出力ノイズ性能については15dBも優れています。(図2を参照して下さい。)
さらに、優れた出力ノイズ性能によって、変調器の直後に続く高価なマスクフィルタが不要になります。MAX2022は追加のベースバンドI/Qバッファアンプを使用せずにこれを実現する唯一の4キャリア変調器です。この送信フィルタが不要になることによって、システムの帯域幅がフィルタのマスクで制限されなくなることから、ディジタルプリディストーションアーキテクチャの設計が簡素化されます。
完全集積型SiGe ZIF変調器/復調器として、MAX2022はインフェーズおよびクアドラチャ信号を変調するための2つのマッチングされた最新ミキサコア、3つのLOミキサアンプドライバ、およびLOクアドラチャスプリッタを内蔵しています。バラン回路も内蔵されており、シングルエンドのRFとLOの接続が可能です。(図3を参照して下さい。)追加機能として、ベースバンド入力は、送信DACと直接インタフェースすることができるように整合されているため、コストの高いI/Qバッファアンプは必要ありません。これだけの集積度によって、アップコンバート変調器に使う総基板スペースは4分の1に、またディスクリートの部品点数は60%削減することができます。さらに、MAX2022のZIFアーキテクチャはIF送信段を完全に取り除くことができるため、基板面積と部品コストをさらに削減します。4つのIFアンプ、2つのアップコンバージョンミキサ、2つのLOバッファアンプ、2つのフィルタ、およびシンセサイザ(VCO + PLL)全体が、効率よく、このZIF変調器1つに置き換えられます。
マキシムでは、MAX2022のもたらした技術的ブレークスルーをきっかけに、ワイヤレスインフラ市場向けにRFからBITSまでのソリューションを提供する取り組みの1つとして、UMTS/WCDMAトランスミッタの完全リファレンスデザインを提供しています。図4は、インタポレーティングDACのMAX5895、RF VGAのMAX2057、RFパワーディテクタのMAX2015、およびゲイン/VSWRディテクタのMAX2016で構成されたトランスミッタソリューションの図です。図からわかるように、ACLRは目標値の65dBを4キャリアの場合でもクリアしており、出力当りのパワーは-6dBm、ノイズフロアはわずか-146dBm/Hzと非常に低くなっています。対応するACLRの図は、図5a、5b、および5cを参照して下さい。
| キャリア数 | 各キャリアのPOUT(dBm) | ACLR (dB) | ノイズフロア(dBm/Hz) |
| 1 | 0 | 73 | -146 |
| 2 | -3 | 68 | -146 |
| 4 | -6 | 66 | -146 |
MAX2022は6mm x 6mmの小型36ピンThin QFNで提供されます。鉛フリーパッケージ品も入手可能です。参考価格は$8.95(1,000個以上、FOB USA)です。
白書:製品開発の背景
ワイヤレスインフラ市場内におけるコストプレッシャー
携帯電話の登場以来、設計者はBTSのハードウェアのコストを下げなければならず、同時に、全体的な無線性能を維持(もしくは改良)しなければならないという2つの相反する命題と常に格闘してきた。近年、業界内での競争によるプレッシャーから、基地局に対するコスト削減は、設計上の最重要課題となってきており、エンジニアがBTSトランシーバハードウェアのコストを大幅に削減するための方法を模索しているという状況がある。
設計の世代が変わるごとに、30%~40%のコスト削減を目標とすることなど当り前になってきている。無線に関して言えば、コストを大幅に削減する方法は2つある。1つ目のアプローチは最も効果のあるやり方であるが、マルチキャリアアーキテクチャを採用することによって無線の構成のキャパシティを増やすこと(すなわち、ラジオ当りのキャリアを増やすこと)である。2つ目のアプローチは無線の全体部品点数を減らすことである。MAX2022は、最新鋭の高性能ゼロIFトランスミットアーキテクチャによって、両方の目標を実現することができた。
ゼロIFアーキテクチャの機会と課題
ゼロIF技術は決して新しいものではない。今日の成熟したハンドセット設計の実質上すべてがゼロIF(ZIF)アーキテクチャを採用している。これは、単にこのアーキテクチャがシンプルでコスト効率が良いからである。しかし、基地局に関して言えば、ZIFアーキテクチャは、性能の限界ゆえに、あまり使われてこなかった。ZIFトランスミッタは、歴史的に見ると、1キャリアのcdmaOneやcdma2000の動作は十分なトランスミットマスク性能で対応することができた。あいにく、W-CDMAやマルチキャリアのcdma2000などを含む広帯域アプリケーションのマスク仕様は、十分なマージンがとれず、到底満足させることができなかった。
マスクとはトランスミッタのスペクトルプロファイルを指す。そして、それは部品をカスケード接続したときのACLR性能によって主に定義される。4キャリアのWCDMA/UMTS設計は、特に難関である。なぜなら、キャリア当り-6dBmというオーダーのパワーレベルに対して、ACLRの限界は65dBがターゲットとされることが多いからである。伝統的には、スーパーヘテロダインアーキテクチャがACLR性能に優れているため優位を占めてきた。しかし、この従来の設計は部品点数、基板面積、および消費電力の点では著しく劣っていた。それでもなお、スーパーヘテロダインアーキテクチャの2つの派生形が、今日の基地局トランスミッタ設計の中に見られる。(図6aと6bを参照して下さい。)最初のアプローチは、IFからRFへの1回のアップコンバージョンとカップリングされた高IFインジェクションを利用したものである。
1回のアップコンバージョンというのは、部品点数とレイアウトの観点から見ると明らかに魅力はあるが、そのアーキテクチャは相当に高性能なDACが必要となる。したがって、このシステムの有利な点は、データコンバータの複雑性とコストによってゼロに相殺されてしまうのである。結果として、基地局用スーパーヘテロダイントランスミッタの大半は、2つ目の代替アプローチを利用している。すなわち、DACの複雑性とコストは抑えられるけれども、部品点数、レイアウトスペース、およびコストが大きくなるダブルコンバージョン方式である。
MAX2022が世に出るまで、設計者は性能とコストのターゲットを満足するために、これらのアーキテクチャの持つ欠点を我慢しなければならかなったのである。
MAX2022というデバイスが可能にするもの
MAX2022はZIF設計において長い間問題となっていたリニアリティとノイズの限界を解決する目的で開発が進められた。設計のコアには、マキシムの独自のSiGe FETミキサが2つあり、これは、元々高リニアリティのアップ/ダウンコンバータファミリのMAX2039/MAX2041/MAX2043およびMAX9994/MAX9995/MAX9996の主要ブロックとして開発された。これらのデバイスのLOドライブ回路も応用され、わずか-163.5dBc/Hzという驚くほど低い出力フェーズノイズを提供している。キャリア当り-27dBm以下のPOUTレベルに対して、得られる出力ノイズはサーマルリミットの-173.2dBm/Hzに近づく。伝統的なクアドラチャ構成で合わせると(図2)、これらのコアは、類似の競合製品を15dBも上回るカスケードノイズフロアを実現する。(図1と3参照)デバイスのP1dBリニアリティも3dB上回っている。そのため、MAX2022は競合する変調器に比べてダイナミックレンジが18dBも有利になっている。
MAX2022のアプリケーションが可能にするもの
MAX2022は、WCDMA/UMTS、DCS/PCS/EDGE、cdma2000、およびWiMAX規格に対応するシステムなど、1500MHz~2500GHzの周波数範囲に広がるワイヤレスインフラアプリケーションに最適である。
このデバイスの主な特長の1つに優れた出力ノイズ性能があるが、これのおかげで、変調器のすぐ後に続くトランスミットマスクフィルタが不要になる。MAX2022のみが、追加のベースバンドI/Qバッファアンプを使用することなく、この快挙を成し遂げる唯一の4キャリア変調器である。このトランスミッタフィルタを取り除くことによって、ZIFディジタルプリディストーションアーキテクチャを可能にし、本質的に簡素化する。なぜなら、システムの帯域がフィルタのマスクによって制限されないからである。プリディストーションアルゴリズムは、基本的に3次および5次(往々にしてさらに高次の)相互変調(IM)歪積を補償する。したがって、補償アルゴリズムは搬送波帯域幅よりも3倍から5倍広い帯域幅で複雑な信号を生成しなければならない。競合製品の変調器で必要となるマスクフィルタでは、マスク応答が搬送波帯域幅の1倍で、補償する3次および5次の補正を拒絶するため、明らかにプリディストーションアルゴリズムを妥協している。
Maxim Integrated Productsは、現実世界の信号処理を必要とするアプリケーションに向けた高品質アナログおよびミックスドシグナル製品の主要な国際的サプライヤです。詳細については、マキシム・ジャパン株式会社(03-3232-6141、URL:japan.maxim-ic.com)までお問い合わせください。
cdma2000はTelecommunicatons Industry Associationの登録商標です。
cdmaOneはCDMA Development Groupの商標です。
WiMAXはBandwidth.com, Inc.のサービスマークです。

お問合せ先
マキシム・ジャパン株式会社
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田3-30-16
マーケティングコミュニケーションinfoj@maxim-ic.com
|